-
夜遊び夜遊び
-
お水お水
-
ホストホスト
-
風俗風俗
-
ビューティビューティ
-
ファッションファッション
-
悩み相談悩み相談
-
モデルモデル
-
芸能芸能
-
雑談雑談
-
食べ物・グルメグルメ
-
生活生活
-
恋恋
-
インターネット・ゲームネット・ゲーム
-
ギャンブルギャンブル
-
過去ログ倉庫過去ログ倉庫
-
運営運営
3Ldkの城・?
-
1:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
?は、↓です。
http://bbs.yoasobiweb.com/test/mread.cgi/yomimono/1132987687/-52005-12-19 14:05:00 -
2:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
「俺、寄るとこあるから‥先帰っといて」
2人の握手を穏やかに眺め、陽平は笑顔で手を振った。
「え、夕飯食べるやろ?」
花は、彼にあわてて声をかける。2005-12-19 14:12:00 -
3:
名無しさん
は?なんでなん
2005-12-19 14:15:00 -
4:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
「おう!豪勢に作っといてや。すぐ帰るから!」
陽平は2人に明るく答え、駅の方向へと走っていった。
残された花と千草は、たわいない会話を繰り返しながら‥帰宅する。
陽平が帰ってきたのは、夕飯を作り終えた頃。2005-12-19 14:15:00 -
5:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
?
2005-12-19 14:16:00 -
6:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
テーブルに並べた料理を前に、陽平は千草に小さな紙袋を手渡した。
千草は、頭にはてなを浮かべ‥中を確かめる。
そして、中を出さずに彼を見上げた。
陽平は、ニコリとほほえむ。2005-12-19 14:19:00 -
7:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
袋から出てきたのは、水色のリボンを通した‥家の鍵。
花は、それを見て‥笑みをこぼした。自分のことのように喜ぶ彼女に、千草は熱い視線を送る。
そのときの陽平は、彼の花に対する気持ちを薄々‥感じていた。
だが、2人を心から受け入れることで‥不安をもみ消していた。2005-12-19 14:24:00 -
8:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
【つづく】
2005-12-19 14:26:00 -
11:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
狭い玄関の靴箱の上に飾られた‥鍵かけの板。
そこには、黄色と赤色と‥水色のリボンが信号のように並べられている。
同じ鍵が‥3つ。
3LDKの部屋、ここは‥たった1つの居場所。2005-12-20 00:18:00 -
12:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
「おい!何してんなよ?主役が来な、始まらんやんか」
リビングから、呼びかけてくる陽平。
「電気消す方がいい?」
ジュースのペットボトルをリビングに運びながら、陽平に問いかけている千草。2005-12-20 00:25:00 -
13:
杏子
これからどうなってくんかめちゃ楽しみ??主さん頑張ってねっ?
2005-12-20 00:29:00 -
14:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
ジャージ姿にお団子頭の花は、鍵かけから彼らに視線を移し‥微笑んだ。
そして、リビングの電気がパッと消される。同時に、テーブル上でローソクの火が灯り出す。
‥そう、今日は花の誕生日。2005-12-20 00:33:00 -
15:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
杏子さんありがとう。頑張りますo(_ _*)o
2005-12-20 00:34:00 -
16:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
「誕生日おめでとう!!」
暗い部屋に‥ほのかな灯り。テーブルいっぱいに飾った料理を前に、2人は花を祝う。
花は、照れくさそうに口元を緩ませ‥ローソクに向けて息を吹く。
真っ暗になった部屋を確認し、拍手と共に‥電気がつけられる。花は、2人の笑顔の中で‥22歳を迎えた。2005-12-20 00:43:00 -
17:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
「やっと、花も22かぁ。俺は夏生まれやからなぁ」
ケーキに刺さったままのローソクを抜き取り、千草は花に微笑んだ。
「もう、段々‥歳とってくわぁ」
彼女は、不満げな言葉を並べながら‥情けなく笑った。2005-12-20 00:49:00 -
18:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
「陽平はいつ?もう終わったん?」
「‥俺は、来月。3月31日」
「うっわ、めっちゃキワやん!」
料理を食しながら‥流れていく2人の会話に、花は嬉しそうにケーキを切っていた。2005-12-20 00:52:00 -
19:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
なぜなら、今日は‥母親の命日やから。
病気持ちの母親は、あたしを産むと同時に‥命を落とした。
そんな日を、父親は祝ってくれるはずがない。
毎年‥誕生日には、たくさんの親戚が家に訪れ、仏壇に手を合わす。2005-12-20 01:00:00 -
20:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
‥誰も祝ってくれない。
誰も、あたしを見ない。
みんな‥真剣な顔で、用を済ませば帰っていく。
だから、あたしには“誕生日”なんて‥なかった。2005-12-20 01:03:00 -
21:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
「はい、主役っ」
皿に移したケーキの上に、板チョコを乗せる陽平の手。
“はなちゃん お誕生日おめでとう”
花は、陽平に満面の笑みを見せた。2005-12-20 01:06:00 -
22:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
板チョコに書かれたメッセージが、自分の存在を認めてくれている。
この暖かい空気が、生まれてきたことを‥受け入れてくれている。
花は、嬉しかった。
初めて、自分の出生を喜ぶことが出来た。2005-12-20 01:10:00 -
23:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
微笑み合う2人を静かに見上げる千草は、気をそらすかのように‥夢中で料理を頬張っていく。
‥イライラする光景。
「板チョコ食べるん‥勿体無いなぁ」
「いらんやったら、食ったろか?」2005-12-20 01:16:00 -
24:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
「あかん!最後にゆっくり食べるんやから!」
気まずさも無くなり、2人は再びジャレ合うようになった。
千草は、黙々と口に料理を放り込んでいく。
2人は、そんな彼の空気さえも気づかない。2005-12-20 01:22:00 -
25:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
すると、千草の側にある包み紙に‥陽平の手が伸びてくる。
「これ、俺と千草から」
陽平は、2人で選んだプレゼントを花に手渡した。
千草の表情が、次第に曇り出す。2005-12-20 01:24:00 -
26:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
「わぁ!ネックレス!?」
花は、これ以上ないというかのような笑顔で‥チェーンを手に取った。
「俺ら2人共、一応トップを争う営業マンやしな」
得意げな口調で囁く陽平。2005-12-20 01:29:00 -
27:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
「ありがとうな!2人共っ」
花は、ネックレスを首に飾りながら‥笑いかけてくる。
千草は、イライラした顔を瞬時に消し‥彼女に合わせる。
しかし、不満は募るばかり‥。2005-12-20 01:33:00 -
28:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
「はぁー!食った食った!」
あんなにも沢山あった料理は、すべて綺麗に無くなった。
花は、空いた皿を集め‥その場を立ち上がろうとする。
千草は、彼女の代わりを勤めようと思い‥口を開きかける。2005-12-20 01:36:00 -
29:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
「あ、俺洗うで」
その言葉は、先に陽平が声に出す。
千草は、開きかけた唇をキュッと閉じた。
「あ、洗うよ」
2005-12-20 01:39:00 -
30:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
「えぇって!お前は主役なんやから」
遠慮する彼女の手から、皿を奪い‥立ち上がる彼。
千草の眉は、みるみると歪んでいく。2005-12-20 01:42:00 -
31:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
シンクの前に立ち‥蛇口をひねる彼を、そわそわしながら‥眺める彼女。
千草は、そんな2人の姿に耐えられず‥口を開いた。
‥誕生日やから、困らせたくなかったけど。2005-12-20 01:45:00 -
32:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
「俺、花のこと‥冗談抜きで好きになった」
‥それは、最近‥気づいた気持ち。
千草は、2人の背中に向けて‥声を張り上げる。2005-12-20 01:48:00 -
33:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
汚いことばかりしてきた俺を、花は‥受け入れてくれた。
こんな俺と、ちゃんと向き合ってくれる女。
最初は、どうでも良かった。
どっちかって言うたら、うざい存在。2005-12-20 01:52:00 -
34:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
“挫折も知らんくせに、へらへらと笑いやがって”って。
陽平と“幼なじみごっこ”を楽しんでる‥バカな女。
そう思っていた。
でも、実際は‥孤独を知ってて。俺よりも、つらい経験してて。2005-12-20 01:56:00 -
35:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
強い女だった。
守りたいと思った。
いつの間にか‥愛してほしいと思ってた。2005-12-20 01:58:00 -
36:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
突然の告白に、2人は体を凍らせた。
時間が止まったかのように、2人共‥振り返らない。
千草は、真っ直ぐ彼女の背中を見つめる。
‥耳にはいるのは、蛇口から流れていく水の音だけ。2005-12-20 02:02:00 -
37:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
【つづく】
2005-12-20 02:03:00 -
38:
名無しさん
2005-12-20 02:51:00 -
39:
名無しさん
>12-40
2005-12-20 02:52:00 -
42:
名無しさん
頑張ってください。
2005-12-20 20:14:00 -
45:
名無しさん
長い 完結まだ ?
2005-12-21 05:07:00 -
46:
>>46
そんな事言いなや!!ウチらが読むために書いてくれてはるんやから!!
芽衣さんへ
初めて書き込みします。?突入ですね(^o^)
書き込み控えた方が良いのは、私も小説書いてたんでわかりますが、応援したくてつい書いちゃいました(笑)
完結目指して頑張って下さい☆★2005-12-21 07:27:00 -
47:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
読んでくださったり、応援の言葉ありがとうございます。
ほんま励まされますo(_ _*)o2005-12-21 12:00:00 -
48:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
“花のこと‥冗談抜きで好きになった”
それは、勢いよく流れる水の音に絡まった台詞‥。2005-12-21 12:03:00 -
49:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
突然の告白に、花と陽平は黙ったまま‥動けない。
花は、頭が真っ白になっていた。
‥これって、あたし‥告られてる?
脳内は混乱し‥開いた口が塞がらない。2005-12-21 12:05:00 -
50:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
千草があたしを‥?
水を流しっぱなしにした陽平の背中を眺めながら、ツバをゴクリと飲み込む。
「陽平、俺‥本気や。お前は、どうなんよ?」
後ろにいる千草が、前に立つ彼に問いただす。2005-12-21 12:10:00 -
51:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
その言葉で、陽平の体はやっと動き出す。
「‥どうなんよって、」2005-12-21 12:11:00 -
52:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
その言葉で、陽平の体はやっと動き出す。
「‥どうなんよって、何が?」
スポンジで皿を洗いながら、平然と答える彼。
千草はまっすぐ彼を見つめ、もう一度声を出す。2005-12-21 12:13:00 -
53:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
※52は間違えて打ちました。
2005-12-21 12:13:00 -
54:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
「花のこと‥好きなんやろ?でも、俺‥引く気ないから」
やっと見つけた‥女を、簡単にあきらめたくない。例え、2人が両思いやったとしても‥。
千草は、強い思いを堂々と口にする。
陽平は、まだ背中を向けたまま。2005-12-21 12:17:00 -
55:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
何も答えない彼に、千草はしつこく聞き続けようとした。
すると、その時‥陽平は振り返る。
2人の目に映る‥陽平は、毅然とした態度で微笑んでいた。
「好きやよ」2005-12-21 12:20:00 -
56:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
ニッコリと笑いながら囁く。
その4文字の台詞に、花の胸は大きく波を打つ。
千草は、険しい表情で彼を眺めた。
だが、陽平は続けて言った。2005-12-21 12:23:00 -
57:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
「幼なじみとして」
平然と言いきる彼に、花は静かに視線をおとしていく。
「‥じゃあ、俺は好きにさしてもらうで」
彼の姿から目を放さず、千草は強い口調で言葉を吐いた。2005-12-21 12:30:00 -
58:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
「好きにしたら」
再度‥シンクに向かい、陽平は皿を洗い出す。
花の眉間は、深く歪みを見せていく。
数秒間の‥沈黙。
千草は、視界を彼から花へ移した。2005-12-21 12:35:00 -
59:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
「‥花っ」
真剣な声で、彼女の名を呼ぶ。
花は、肩に力を入れて‥ゆっくりと振り返った。
陽平は、黙々と皿を洗い流している。2005-12-21 12:38:00 -
60:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
「誕生日やのに、困らせて‥ごめんな。でも、軽い気持ちじゃなく‥マジで好きやから」
瞳を逸らすことなく、千草は彼女を熱く見つめる。
花は、緩んだ唇をきつく噛んだ。
「返事はまだいらん。これからの俺みて‥考えて」2005-12-21 12:44:00 -
61:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
そう言って、千草は自分の部屋へと入っていった。
残された花は、陽平を横目にその場を離れようとした。
「花、何かあったら‥言えよ」2005-12-21 12:46:00 -
62:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
陽平は、ドアノブに手を伸ばす彼女に声をかける。
花は、何も答えず‥部屋へと入った。
蛇口をキュッと閉め、陽平はため息をついた。
こらえる思いを表すかのように、濡れた手は強くシンクを掴んでいた。2005-12-21 12:51:00 -
63:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
千草は、部屋の電気もつけずに‥布団に寝転がった。
そして、目元に置いた腕を‥ゆっくりと剥がしていく。
暗い視界に、ぼんやりと広がる天井。
千草は、まぶたを閉じた。2005-12-21 12:55:00 -
64:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
‥陽平は、気持ちを誤魔化してる。でも、俺はわざと‥それを鵜呑みにした。
‥遠慮なんか、絶対したくない。素直に引き下がるほど、適当な気持ちじゃないし。
やっと見つけた女や。遠慮なんかして、手放したくない。
絶対、花がほしい。2005-12-21 13:00:00 -
65:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
千草は、どうしても花を手に入れたかった。
陽平が本音を言っていないことも、花が困っていることも、全て気づいている。
でも、遠慮なんかしたくない。
枕元に置いていた煙草に手を伸ばし、千草は気持ちを落ち着つかせようとしていた。2005-12-21 13:05:00 -
66:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
一方、花は部屋のテーブルに頬をつけ‥瞳を閉じていた。
冷たい感覚が、混乱を溶かしていく。
深いため息が漏れていく。
花は、捨てきれない思いに胸を苦しめていた。2005-12-21 13:09:00 -
67:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
“幼なじみとして”
陽平の言葉が‥つらかった。
やっぱり、あたしたちは‥それ以上へは進めない。
期待なんか‥してなかった。2005-12-21 13:12:00 -
68:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
‥解ってた。
でも、なんでやろ。
「なんで‥泣いてんやろ」
テーブルへと流れていく‥一筋の涙が、本音を知らせていた。2005-12-21 13:15:00 -
69:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
‥消したつもりやった。陽平への想いは、捨てたつもりやった。
でも、消えてない。‥捨ててなかった。
あたしは、陽平の優しさや笑顔に期待をしてた。
こんな気持ちに気づいても、何か変わるわけでもない。2005-12-21 13:20:00 -
70:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
花は、首にかけたネックレスを手のひらで包み‥息を漏らした。
こらえても‥こらえても、溢れ出す気持ちは粒へと化して‥頬に水たまりを作る。
花は、声を小さく震わせながら‥泣いた。
【つづく】2005-12-21 13:25:00 -
72:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
10代の時は、22歳って‥もっと大人やと思ってた。
2005-12-21 17:44:00 -
73:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
「あああーっ!めっちゃ可愛いっ!」
翌朝‥ロッカーの前でネックレスを外していると、リンリンがパタパタと駆け寄ってくる。
「誰かにもらったんですかぁ?」
チェーンに飾られた“ダイヤの花”を手に取り‥うらやましそうに問いかけてくる。2005-12-21 17:48:00 -
74:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
「‥あぁ。同居人の2人から」
花は、ネックレスを眺め‥ポツリと呟いた。
ダイヤで作られた花ビラは、きっと‥あたしの名を意識して買ってくれたもの。
でも、今のあたしが‥これをつけても、きっと綺麗な花ビラには見えない。2005-12-21 17:53:00 -
75:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
「なぁんや、彼氏からかと思いましたよぉ!あたしも、彼氏から‥なんか欲しいなぁ」
リンリンは、ネックレスから手を放し‥ブツブツと独り言を言っている。
花は、ロッカーの中にネックレスを直しながら‥ため息をついた。
‥誕生日が来ても、まったく成長しない自分。いつまで経っても、あたしは陽平に期待を持ち続けている。
そして、現実を見て‥勝手に傷ついてるアホな女。‥陽平は、昔からずっと‥あたしを女として見てないのに。2005-12-21 17:59:00 -
76:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
花は、ロッカーを閉めて‥駅へと向かった。
「あ、同居人の人ら来ましたよ!」
トイレでバケツに水を入れていると、リンリンが声をかけてくる。
花は、バケツを手にトイレを出た。2005-12-21 18:03:00 -
77:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
眠たそうな顔をして歩いてくる2人。
花は、深呼吸をして‥彼らに挨拶をした。
「おはよ」
いつも通りに挨拶を返す陽平。2005-12-21 18:05:00 -
78:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
花は、苦しくなる胸を抑え‥笑顔で見送る。
「花、今日‥デートしよう」
明るく振る舞う彼女に、千草は誘いを持ちかけた。
その言葉に、陽平は振り返る。花は、驚き‥ポカンと口を開いた。2005-12-21 18:11:00 -
79:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
「‥いいやろ?」
千草は、立ち止まる彼に問いかけた。花も、彼の反応を伺う。
2人の視線に、陽平は目を背けた。
「勝手にしたら?」2005-12-21 18:13:00 -
80:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
そう言って、彼はトントンと階段を降りりていく。
去っていく陽平の背中を眺め、花は唇を噛んだ。
「いや?」
うつむく彼女の顔をのぞき込み、問いかける千草。2005-12-21 18:16:00 -
81:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
恐る恐る返事を待つ‥千草の顔。
花は、彼を見て‥小さく微笑んだ。
「‥うん。しよっか」
いい加減、陽平のことを想うのは‥やめにしよう。
花は、前に進みたい一心で‥彼を受け入れた。2005-12-21 18:20:00 -
82:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
みるみると嬉しさを顔に表し、「やった!」と言って‥拳を作る彼。
花は、喜ぶ彼を眺め‥小さく笑った。
‥陽平、あたし‥ちゃんと諦めるから。2005-12-21 18:23:00 -
83:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
約束を交わし、花は彼を見送った。
「常盤千草と松浦さんって、付き合ってるんですかぁ?」
千草に手を振る彼女の隣に並び、リンリンがひそひそと問いかけてくる。
花は、彼女に優しく微笑んだ。2005-12-21 18:27:00 -
84:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
「‥どうやろな」
曖昧に答える彼女。
リンリンは、その返事に興奮し‥冷やかしてくる。
バケツの中にモップを入れて、花は彼女の言葉にケラケラと笑っていた。2005-12-21 18:31:00 -
85:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
あたし、いつから‥嘘の笑顔を覚えたんやろ。
嬉しくないのに、笑顔が作れる。
本音を隠した顔。
花は、頭の中にいる陽平の顔をもみ消すかのように‥笑みを振りまいていた。2005-12-21 18:35:00 -
86:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
【つづく】
2005-12-21 18:36:00 -
87:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
「飯食う前に、行きたいとこあるねん」
夕方‥駅で待っていると、千草は嬉しいそうに片手を上げて現れた。隣にいる陽平と離れて、花の元へ駆けつける。
花は後ろめたさを感じ、陽平の目を見ることが出来なかった。
2人で街に繰り出すと、千草は照れた様子で声をかけてくる。2005-12-22 11:22:00 -
88:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
何かを秘めているかのような彼の言葉に、花は頭の上にハテナを浮かべる。
そして、彼に連れて行かれたのは‥華やかな光を放つ宝石店。
千草は、マフラーをまき直し‥店内へと入っていく。
「2人で買ったネックな‥陽平が渡したから、俺の手で何か渡したいねん」2005-12-22 11:27:00 -
89:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
ケースの中を覗きながら、千草は口を尖らせて‥呟いた。
花は、慌てて遠慮をする。だが、彼は口を“への字”に曲げて‥身を引かない。
周りを見渡せば、白い店内には‥肩を並べて寄り添うカップルがチラホラといる。
そして、ケースの中を見る。そこには、“0”が沢山書かれた数字ばかり。2005-12-22 11:31:00 -
90:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
「ちょっ‥、ちゃんと貰ったから‥もういいって!」
花は、困った顔で彼の腕を引く。
すると、千草の目は一点に集中した。
「これ、いいやん」2005-12-22 11:34:00 -
91:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
そう言って、彼はケースに人差し指を当てた。
花は、冷や汗をかいたまま‥指が差す先に目を向ける。
目に映ったのは、ネックレスと同じ“ダイヤの花”の指輪とピアス。
その隣には、今‥首にかけているものがあったかのように、スペースが空いていた。2005-12-22 11:38:00 -
92:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
「金なら、気にせんでいいから。‥俺、自分の手でプレゼント渡したいねん」
彼女の頭に軽く手を置いて、彼は満面の笑顔を見せてくる。
店員がケースから出したのは、指輪とピアス。
千草は、そこから指輪を手に取り‥花の右手に手を伸ばす。2005-12-22 11:48:00 -
93:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
「左手は嫌やろ?だから、右手」
そう言いながら、千草は指輪を指に通していく。
‥ひんやりと冷たい感覚が、指先から伝わってくる。
「マ‥マジでいいから!指輪とかっ」
唇をきつく噛み、花は声を張り上げた。2005-12-22 11:53:00 -
94:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
静かな店内に、彼女の声が響きわたる。
同時に、指輪を持つ‥千草の手がピタリと動きを止めた。
花は、困った表情でうつむいている。2005-12-22 11:56:00 -
95:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
‥きつく言い過ぎた?
花は、すまなさそうな顔で彼を見上げた。
「じゃあ‥ピアス」
千草は、苦笑いで指輪を元の場所へ戻した。2005-12-22 11:58:00 -
96:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
「ピアスやったら安いし、いいやろ?」
耳に飾るピアスを眺め、千草は口元をクイッと動かした。
鏡に映る‥小さな耳。耳たぶには、ネックレスと同じ‥ダイヤの花ビラ。
チラッと隣を見れば、千草は寂しそうな笑顔で見つめてくる。
花は、コクリと頷き‥礼を言った。2005-12-22 12:06:00 -
97:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
きっと‥さっきの言葉に傷ついてる。
宝石店を出て‥街を歩く彼を横目に、花はため息をついた。
‥気持ちは嬉しいけど、指輪って‥なんか特別な気がするから。
だから、指の根元まで‥通されたくはなかった。2005-12-22 12:11:00 -
98:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
「何食いたい?」
“何も気にしていない”と言うかのように、彼は明るく笑いかけてくる。
我に返り、花は慌てて考える。
千草は、そんな彼女を見下ろし‥クスクスと笑った。2005-12-22 12:14:00 -
99:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
「えっ、なんで笑っ‥」
自分を見て笑い出す彼に、花はポカンとした顔で問いかけようとした。
すると、目の前に黒い色が広がる。
彼は、ふわりと首にマフラーを巻きつけた。2005-12-22 12:19:00 -
100:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
「強引なことして‥ごめんな。俺、なんか‥張り切りすぎたっ」
自分のマフラーを彼女の首に通して、彼は恥ずかしそうに目を伏せた。
毛糸に残っている‥わずかな体温。
花は、髪の毛をかきあげ‥彼にピアスを見せた。2005-12-22 12:28:00 -
101:
?チャン?
今初めヵラ一気に読んだょッッ??この小説めたスチなったァ???頑張ってねぇ?完結までずっとぉ供しますぅ?
2005-12-22 15:34:00 -
105:
密子
初めまして☆友達からこのサイトを教えてもらって今、読み終わりました。あまり長い感想はここでは好ましくないみたいですが、本当に面白かったので言わずにいられなくて書いちゃいました(>_
2005-12-23 01:50:00 -
106:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
チャンさん、密子さん、あと読んでくれてる方。本当にありがとうございます。
2005-12-23 15:38:00 -
107:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
花と千草が街でデートをしている頃、陽平は家に帰ってきた。暗い表情のまま、タンスの前に立つ。
カタン‥。
引き出しの奥を見て、彼は唇に力を入れた。
‥手元にある写真は、この1枚だけ。
離婚して、自分に残されたものは‥孤独と屈辱感。2005-12-23 15:52:00 -
108:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
写真立てを持つ手に、怒りがこもっていく。
陽平は、再度‥それを引き出しの奥にしまい込んだ。
そして、テーブル上にあるリモコンを手にし‥テレビをつける。
‥箱の中から流れてくる笑い声。
陽平は、表情を変えることなく‥それを眺めていた。2005-12-23 15:57:00 -
109:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
目とテレビの間に浮かび上がるのは、帰り際‥デートに繰り出した2人の後ろ姿。
陽平は、目を伏せて‥煙草をくわえた。百円ライターが灯す小さな炎が、そっと先端を燃やしていく。
“お前は、どうなんよ?”
白い煙を吐くと、同時に千草の台詞が頭の中に流れる。
陽平は、煙草をくわえたまま‥床に寝転んだ。2005-12-23 16:08:00 -
110:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
ため息をついて、まぶたを閉じる。
“陽平っ”
親鳥からの餌を待つ‥雛のように、純粋な目をする花。2005-12-23 16:12:00 -
111:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
“‥陽平”
彼女の涙は、幼い頃から‥ずっと見てきた。
流さないように‥こらえても、溢れ出す涙は頬を濡らしていく。
強がって‥人に見せたりしない涙を、俺の前では素直に流してた。2005-12-23 16:18:00 -
112:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
“また遊ぼうっ”
1度突き放した俺を、彼女は‥優しく受け入れてくれた。
その日から、俺は“幼なじみ”として‥花を守り続けることを決意する。
もう2度と‥中途半端な手は差し伸べないことを誓って。2005-12-23 16:25:00 -
113:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
恋愛感情なんか‥持つ必要はない。
その方が、絶対いい。
“幼なじみ”という関係は、何年経っても‥崩れたりはしないから。
下手に恋愛へと踏み込めば、きっと‥花は涙を見せたりしなくなる。
彼女の唯一の逃げ場として、俺は存在したいから。2005-12-23 16:30:00 -
114:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
“陽平、聞いて聞いて”
“陽平っ‥”
“もぉー!陽平のアホ!!”
部屋中に広がる白い煙を、彼はぼんやりと眺めていた。2005-12-23 16:40:00 -
115:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
嬉しそうに‥駆け寄ってくる姿。
今にも泣き出しそうな顔で‥名を呼ぶ声。
からかうと、彼女はいつも‥頬を膨らませて怒る。
「‥うるさい」2005-12-23 16:47:00 -
116:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
陽平は、煙草を灰皿に擦り付け‥目を閉じた。
だが、彼女の面影は‥まぶたの裏に焼き付いている。
陽平は、決意とは裏腹な感情に狂いかけていた。2005-12-23 16:50:00 -
117:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
「‥俺には、恋愛してる余裕なんか‥ないねん」
彼は、自分に言い聞かすかのように‥つぶやき続けた。
俺には、恋愛よりも‥せなあかんことがある。じゃなきゃ、ここに住み続けてる‥意味がない。
余計な感情を捨てるために、陽平は前髪をきつく掴み‥歯を食いしばっていた。2005-12-23 17:06:00 -
118:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
「おいしいっ!」
細長いスプーンを持ちながら、満足げにニカッと微笑む花。
「そんなんばっか食ってるから‥ブクブク太るんやでぇ、はなぶぅ」
彼女の笑顔をクスクスと笑いながら、千草はホットコーヒーを静かに飲む。
2人は、宝石店の近くにある‥飲食店に足を運んでいた。2005-12-23 17:16:00 -
119:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
テーブルの上には、先に平らげた料理の皿が‥数枚並んでいる。
「太ったら、ダイエットすればいい話やん」
生クリームをすくったスプーンを口に放り込み、花はツーンとした顔をした。
「じゃあ、今ダイエットせなあかんやん。パフェとか食ってる場合ちゃうで」
余裕を見せる彼女に、千草は皮肉を口にする。2005-12-23 17:27:00 -
120:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
「うるさい!」
ムゥっと口を尖らせ‥膨れる彼女。
コロコロと表情を変える彼女に、千草はケラケラを笑い出した。
花は、ブツブツと文句をこぼしながらも‥パフェを頬張っている。2005-12-23 17:37:00 -
121:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
「怒んなって、機嫌直せよっ。冗談やん」
視線がかち合うと、花は頬を膨らませて‥プィッと顔を背ける。
千草は、クシャッと笑顔を作り‥機嫌を取った。
彼女は、チラリと彼を見る。2005-12-23 17:56:00 -
122:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
「‥チーズケーキ」
にこやかに見つめてくる彼に、花は一言囁いた。
千草は、あごを乗せていたヒジを‥ガクッと倒した。
「まだ食う気!?」
「デザートは別腹やの!」2005-12-23 18:02:00 -
123:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
呆れ果てる千草を無視して、花は店員を呼ぶ。
ため息をつき‥コーヒーのお代わりを頼む彼を眺め、花は口元を緩ませた。
最近、こんな風に‥時間を楽しんだりしてなかったな。
千草とおったら、しんどい気持ちが‥少し楽になった。
憎まれ口を言い合いながら、花は千草の笑顔に癒されていく。2005-12-23 18:13:00 -
124:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
【つづく】
2005-12-23 18:15:00 -
126:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
129サン(TдT)読んでくれてありがとぅ!!今日は頑張って更新しますょ!!!!
2005-12-23 23:27:00 -
127:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
時計の針は、午後11時を表している。
2本の針を眺め、陽平は深く息を吐いた。
テレビの音さえも‥苛立ちを増していく。
彼は、荒々しく画面を黒くした。2005-12-23 23:35:00 -
129:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
「ただいまぁ」
長針が“3”にたどり着く頃、笑い声と共に帰宅する2人。陽平は、彼らを迎えることもなく‥手元にある新聞を開いた。
「あ、起きてたん?返事ないから、寝たんかと思った」
リビングのドアを開けた千草は、彼を見下ろし‥声をかけてくる。
陽平は、平然を装い‥軽く返事を交わす。2005-12-23 23:43:00 -
130:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
132サン
ありがとぅ(>д2005-12-23 23:44:00 -
131:
あゆみ
はじめて書き込みするケド、ずっと読んでるょ?読みやすくて、書き方がすごぃ情景が想像できるからハマってます?頑張ってね?
2005-12-24 00:08:00 -
132:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
上着を脱ぐ彼は、幸せそうに笑いかけてくる。
ざわめく‥胸。
陽平は、表情を曇らせた。
「ただいまっ」
夜風で赤く冷え切った頬に手を当て、花がリビングに入ってくる。2005-12-24 00:17:00 -
133:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
あゆみチャン(_
2005-12-24 00:20:00 -
134:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
相当‥楽しかったのだろう。2人は、勢いよく会話を続けている。
陽平の手は、新聞紙にシワを作っていく。
「あ、千草。これ‥ありがとう」
追い打ちをかけるかのように、花は首に巻いたマフラーを彼に手渡した。
その光景を眺める陽平は、ある物を目にし‥目が点になる。2005-12-24 00:26:00 -
135:
名無しさん
しおり
2005-12-24 00:34:00 -
136:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
モヤモヤとした感情が、背後から覆い被さってくる。
たった数時間で、こんなにも近くなって‥帰ってくるなんて。
微笑み合う2人を見つめ、陽平は冷や汗をかいた。
‥付き合ったん?
口には出せない質問が、頭の中をグルグルと回っていく。2005-12-24 00:40:00 -
137:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
139サン(>д
2005-12-24 00:41:00 -
138:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
‥30分後。
「ん?‥どうしたん?」
千草が体を暖めている頃、先に風呂から上がった花は‥コットンを化粧水で濡らしていた。
彼女は、いつもと変わらないジャージ姿で‥髪の毛をお団子に結いでいる。
しかし、どこか楽しげで‥明るい表情が目立っていた。2005-12-24 00:58:00 -
139:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
陽平は、表情を1つも変えずに‥彼女のスッピンを眺めている。
「‥何よ?‥肌荒れてる?」
手前にある鏡に顔を近づけ、花は不安げに問いかけた。
そんな彼女の態度に、陽平は目つきを鋭くする。2005-12-24 01:06:00 -
140:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
「似合ってるよ、ピアス」
刺々しく、皮肉を口にする。
「あ‥うん。‥ありがとう」
花は、耳に向けられる視線から逃れるかのように‥目を逸らした。2005-12-24 01:10:00 -
141:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
「楽しかった?デート」
気まずそうな彼女の振る舞いが、余計に苛立たせていく。
陽平は、無表情のまま‥質問を投げ続けた。
シーンと静まり返ったリビングでは、逃げ場など‥見つからない。
花は開き直り、彼を見た。2005-12-24 01:18:00 -
142:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
「なんやぁ?妬いてんのかぁ?」
彼女は、明るい口調で彼をからかった。ニカニカと歯を見せて、笑いかける。
しかし、視界に映るのは‥真面目な顔。
花は、言葉を失った。次第に、笑顔も乾いていく。2005-12-24 01:26:00 -
143:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
陽平は、鋭い視線で彼女の体を凍らせた。張り詰めた沈黙が、彼女の体に突き刺さっていく。
「マフラーまで借りて、えらい仲良ぉなったんやな」
囁かれる言葉は、彼女の不安を増していく。
「好きになった?千草のこと」2005-12-24 01:37:00 -
144:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
陽平は、震える唇に力を込めて‥問いかけた。
「そんなんじゃ‥」
花は、慌てて否定しようとした。だが、開きかけた唇を‥再び閉じる。
頭の中によぎった‥千草の笑顔。振り向かせようとする‥必死な姿。
花は、視線を落としていく。2005-12-24 01:52:00 -
145:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
戸惑う彼女の姿に、陽平の苛立ちは頂点へと達した。
次の瞬間、彼はテーブルの上にヒジを置き‥身を乗り出していく。
急な彼の行動に、花は驚いて‥動けない。2005-12-24 01:57:00 -
146:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
後頭部に触れる‥大きな手。
近づいてくる‥真剣な顔。
乾いた唇に重ねられた‥柔らかい感触。2005-12-24 02:00:00 -
147:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
‥彼の前髪が、左目を撫でていく。
花は、1度‥まばたきをした。
だが、思考回路は停止し‥何も浮かばない。
2005-12-24 02:07:00 -
148:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
閉じていた彼のまぶたは、ゆっくりと開いた。
そして、まばたきもせず‥静かに唇を離していく。
数センチ離れた距離から、陽平は彼女の顔を眺めた。
花は、一点を見つめたまま‥凍り付いている。
彼は視線を逸らし、リビングを後にした。2005-12-24 02:15:00 -
149:
ぁ?チャン
リァルタイム????初??カキコだぁ???頑張ってね??
2005-12-24 02:16:00 -
150:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
1人‥残された彼女は、呆然とする。
そして数秒後、右手の中指で‥そっと触れた部分をなぞった。
‥キス‥された?
2005-12-24 02:19:00 -
151:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
アーチャン(o^ー^o)ありがとうです!!!!
2005-12-24 02:20:00 -
152:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
状況を把握しようとしても、脳内は混乱し‥はっきりと読みとれない。
彼女は、両手で口を塞いだ。
波打つ鼓動は、急な早さで動いていく。
‥突然のキスに、花の思考は混乱の渦に巻き込まれていた。2005-12-24 02:29:00 -
153:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
【つづく】
2005-12-24 02:32:00 -
154:
きさ
めっちゃ更新されてうれしい???これからどぅなるんかめっちゃ気になる??
2005-12-24 02:49:00 -
155:
闇読者
また、ええとこで
終わっとるがな?(OДO;)
BOOKMARKOK(゚∀゚)ъ2005-12-24 02:54:00 -
157:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
きさサン、闇読者サン、読んでくださっている方々へ。いつもありがとぅです(>∀
2005-12-25 04:49:00 -
158:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
パタン‥。
部屋へと移動した陽平は、閉めたドアにもたれ掛かる。
真っ暗な部屋の中で呆然と立ち尽くし、彼は瞳を閉じた。
自己の突発的な行動は、彼自身も驚いていた。
彼女に触れた唇を前歯でなぞり、荒々しく髪の毛を乱していく。2005-12-25 05:10:00 -
159:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
「‥‥何やってんねん、俺は」
今更‥悔やんでも、消すことの出来ない行為。
髪の毛を掴んでいた手のひらは、スルスルとずれ落ちていく。
‥びっくりしていた彼女の顔が、目に焼き付いて‥離れない。
陽平のため息は、六畳一間の闇に吸い込まれていった。2005-12-25 05:39:00 -
160:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
「ちょっとぉ‥ちゃんと聞いてくれてますぅ?」
日中‥あくびばかりする彼女に、リンリンはムッとした顔をする。
「‥あ、うん。‥聞いてるよ」
花は、すまなさそうに両手を合わせた。
「‥でねっ、何回も電話したんやけど‥拒否られてて‥連絡取られへんようになってねっ」2005-12-25 05:55:00 -
161:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
リンリンは、気を取り直して‥再び語り出す。
昨夜‥彼氏に振られた彼女は、朝からずっと彼氏への未練を訴えかけてくる。
ところが、花は睡眠不足で‥話の大半は耳を通していない。
目に涙を浮かべるリンリンの隣で、彼女はぼんやりと昨夜の出来事を思い出していた。2005-12-25 06:14:00 -
162:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
ゆうべの‥キス。
昨晩、花は一睡も出来なかった。
なんで、あんなことするん?
どんなに考えても、答えは出てこなかった。
そして‥どんな顔をして接しればいいのかわからず、明け方から用意をして‥足早に家を出てきた。2005-12-25 06:28:00 -
163:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
彼らが出勤する時間には、それとなく女子トイレに閉じこもり‥姿を隠す。
花の頭の中は、いまだに整理が出来ていなかった。
「もぉーっ!!また聞いてないでしょぉ!!」
ぼんやりと考えごとをしている彼女を見て、リンリンは泣き叫ぶ。
その声で我に返り、花は慌てて彼女に謝った。2005-12-25 06:44:00 -
164:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
一方、静かな社内で千草は彼女に異変を感じていた。
「俺‥なんかしたかな?」
ポツリとつぶやきながら、首を傾げる。
起きた頃には、彼女はとっくに出勤していた。そして、駅でも姿は見あたらなかった。
どう考えても‥おかしい。2005-12-25 06:57:00 -
165:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
あの花が早起きしたり‥見送ってくれへんとか、絶対‥おかしい。
千草は、昨日の言動を振り返り‥考え込む。
‥だが、特に思い当たることはない。
「‥俺じゃなかったら」
彼は、ふと陽平を見た。2005-12-25 07:04:00 -
166:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
「花のやつ、何かあったんかなぁ?朝‥見送ってくれへんとか、おかしいと思わん?悩み事でもあるんかな?」
千草は、彼の隣に並んで‥カマをかける。
案の定、彼の表情はかたくなる。
千草は、それを見逃さなかった。2005-12-25 07:10:00 -
167:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
「‥‥さぁ」
陽平は素っ気なく返答し、スタスタと去っていく。千草は、鋭い瞳で彼の背中を眺めた。
「‥ビンゴ」
‥花が避けてるのは、コイツか。
千草は“2人に何かあった”と確信した。
2005-12-25 08:51:00 -
168:
名無しさん
略‥ナシ。
【つづく】2005-12-25 08:52:00 -
169:
かな
しおり?
完結楽しみにしてます?2005-12-25 15:53:00 -
171:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
かなサン、名無しサン、ありがとぅです(_
2005-12-25 23:20:00 -
172:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
「でも今思えば、あの男‥“梅子”って名前で引いてたし。スッピン見て、機嫌悪くなるし。別れて正解かもっ」
リンリンの悲しみが怒りに変わる頃、花の気持ちも落ち着きを持ち始めていた。
窓ガラスを拭きながら、花は昨日の彼を思い返す。
‥あんな真剣な顔。
千草とデートしたことを、妬いているかのような発言。2005-12-25 23:33:00 -
173:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
‥陽平は、あたしのことが‥好き?
自惚れ‥かもしれない。
でも、やっぱり‥期待してしまう。
口元は緩み、身の動きも軽くなる。
花の心は、陽平への想いを再発させていた。2005-12-25 23:42:00 -
174:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
「お姉ぇさんっ、上の方‥ちゃんと拭けてないでぇ」
ぼんやりと外を眺め‥ガラスを拭いていると、背後から注意を受ける。
聞き覚えのある声に、ピタリと動きが止まる体。
花は、恐る恐る‥振り返る。
「代わりに拭いたろか?」2005-12-25 23:49:00 -
176:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
驚く彼女に、彼はケラケラと笑っている。
「‥千草」
声の主は、ベンチに腰掛け‥ネクタイを緩めていた。彼の姿を見て、花の胸は複雑になっていく。
「なんで?まだ4時過ぎやで」
彼女は、時計を眺め‥問いかけた。2005-12-25 23:58:00 -
177:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
‥まだ仕事中じゃないん?なんで、こんなところにおるん?
頭の上で、ハテナを浮かべる。
すると彼は、彼女に近づき‥スプレーと雑巾を奪い取る。
「基盤先に行くついでに、寄った。‥今日、まだ会ってなかったから」
そう囁きながら、スプレーを片手に‥届かなかった場所を拭いていく。2005-12-26 00:05:00 -
178:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
179サン、ありがとぅです(T_T)
2005-12-26 00:06:00 -
179:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
花は、彼の横顔を眺め‥うつむいた。
「‥陽平から聞いた」
ぎこちない彼女の態度を横目に、千草は再びカマをかける。
その台詞で、彼女は複雑な表情で顔をあげる。
‥やっぱり。‥何があったんなよ?2005-12-26 00:10:00 -
180:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
千草は、平然を装いながら‥ツバを飲む。
彼女が流す沈黙に、不安が増していく。
彼は、静かに彼女の声を待った。
「‥陽平、何て言うてた?」2005-12-26 00:15:00 -
181:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
花は、頬をほんのり赤く染め‥問いかけてくる。
「‥別に‥何も言うてなかったけど」
ていうか、何があったんか聞いてないし。
千草は、当たり障りのない答えを出す。
‥なんなよ?何があったんなよ?2005-12-26 00:19:00 -
182:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
‥2人のことやから、直接聞いても‥答えるわけがない。だから、遠回しに聞き出している。
だが、なかなか見えてこない真相に、千草は苛立ち始めていた。
「‥そっか」
花は、がっかりした顔をする。
千草は、窓ガラスから雑巾を放し‥彼女を眺めた。2005-12-26 00:23:00 -
183:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
1つだけ、わかることがある。
‥2人の反応からして、今から聞き出そうとしていることは、きっと‥俺にとって良くないことだということ。
‥嫌な予感がする。
「花は、どう思ってんの?」
千草は、意を決して‥問いかける。2005-12-26 00:27:00 -
184:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
すると、彼女は‥チラリと千草を見た。そして、気まずそうに口を開いた。
「‥キスした‥理由を知りたい」
その言葉は、途切れ途切れにつぶやかれた。2005-12-26 00:33:00 -
185:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
千草は、目を見開いた。
目の前が暗くなり、気が遠くなっていく。
見下ろせば、彼女は切なさに溺れた顔をしている。
彼は、ゆっくりとまぶたを閉じた。
震える手に力を入れて、拳を作っていく。2005-12-26 00:56:00 -
186:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
「‥俺、基盤行かな」
千草は、平然を装い‥時計を見た。そして、彼女に背を向け‥ベンチに置いていた鞄に手を伸ばす。
今‥口開けたら、絶対あかん。絶対、きついこと言うてしまう。
「気ぃつけてな!」
見送る彼女の声に、千草は振り返らなかった。無言のまま、その場から逃れていく。2005-12-26 01:07:00 -
187:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
【つづく】
2005-12-26 01:08:00 -
189:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
192サン、ありがとぅですm(_ _)m
2005-12-26 03:42:00 -
190:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
小さくなる背中を眺め、花は振っていた手を下ろした。そして、再度仕事に取りかかろうとする。
「‥キスってマジですか?」
「ひっっ」
突如、目の前に現れたリンリンの顔。花は驚いて、肩に力を入れた。
「そんなトロピカルな気分なんですか!?」2005-12-26 03:50:00 -
191:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
羨ましそうな顔を近づけて、目をウルウルとさせる彼女。花は、ハァッとため息をついた。
「そんな‥えぇもんちゃうよ」
なんでキスされたんか‥わからんし。
そう呟いて、花は淡々と仕事を続行していく。
そんな彼女を眺め、リンリンは冷静を取り戻した。2005-12-26 03:57:00 -
192:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
「“陽平”って、あの人でしょ?いつも常盤千草とおる‥」
ゴミ箱の袋を交換しながら、リンリンは彼女に問いかけた。
だが、花は何も答えず‥背を向けたまま。
「あたし、てっきり松浦さんは‥常盤千草と出来てんやと思ってました。‥もう1人の方やったんですね」
リンリンは、彼女の後ろ姿から視線を外し‥囁いた。2005-12-26 04:05:00 -
194:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
彼女の言葉で、花の表情は一変する。
“千草”
‥最低や、あたし。自分のことばっかで、全然‥千草のこと考えてない。2005-12-26 04:12:00 -
195:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
197サン、ありがとぅです(>д
2005-12-26 04:13:00 -
196:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
千草は、あたしのことが好きやのに。キスのこと‥相談するとか、最低やん。
「‥ごめん」
ポツリとつぶやき、花は目をぎゅっと閉じた。
‥あたし、千草の優しさに‥甘えてる。2005-12-26 04:18:00 -
197:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
優しいから、どうしても甘えてしまって。‥そして、傷つけてる。
「返事‥せな」
‥このままで良いわけがない。ちゃんと、答えを出してあげないと。
花は、窓の外を眺めた。
‥町はオレンジ色に染められ、華やかに飾られている。2005-12-26 04:44:00 -
198:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
それは、まるで‥花の心を映しているかのようだった。
彼女は、はっきりと‥自分の気持ちが見えていた。
“陽平のことが‥好き”
2005-12-26 04:48:00 -
199:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
キスされて‥思った。
あたし、もう隠されへん。‥これ以上、幼なじみなんか‥続けられへん。
陽平が結婚したとき‥悲しかった。でも、諦める‥良いチャンスやと思った。2005-12-26 04:53:00 -
200:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
陽平の瞳に映るときは、いつも幼なじみを演じてた。でも、陽平の背中をみる‥あたしの瞳は、いつだって‥中学生んときと同じ色。
結婚して‥距離が余計に広がって、内心‥ホッとしてた。
理性を保てる自分に‥安心してた。
でも、陽平は離婚した。2005-12-26 05:01:00 -
201:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
彼の離婚で、あたしは‥醜い自分を見てしまう。
『‥離婚してん』
電話越しに囁かれる言葉に、あたしは喜んでいた。
途切れながらも言葉を繋げ、理由を語る‥辛そうな声を、あたしは真剣に聞いてた。
‥‥真剣なフリをしてた。2005-12-26 05:07:00 -
202:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
本当は、嬉しかった。‥まだ好きやったから。
でも、また‥傷つきたくない。そう思う気持ちがあった。
だから、演じ続けた。2005-12-26 05:10:00 -
203:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
執着しないように‥心がけて。
でも、無理やった。
一緒に住んでから、あたしは‥演じることが出来なくなっていた。2005-12-26 05:13:00 -
204:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
得意だった泣き真似さえ出来なくなり、無意識に‥本当の涙ばかり流して。
執着しないって決めてたのに、気がつけば‥求めてる。
彼の表情や仕草‥ひとつひとつに、ドキドキしてた。2005-12-26 05:21:00 -
205:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
今までは、やばいなって思えば‥離れていた。離れることで、感情は薄らいでいくから。
でも、同じ屋根の下に身を置いてからは‥心の調節が出来なくなっていた。
陽平、もう‥無理やよ。
キスなんかされたら、期待してしまう。2005-12-26 05:28:00 -
206:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
‥好き。
陽平のことが、ほんまに好き。
2005-12-26 05:30:00 -
207:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
数年秘めていた想いは我慢を捨て、彼女の胸に広がっていく。
花は凛とした表情で、夕暮れを吸い込む月を眺めていた。
【つづく】2005-12-26 05:38:00 -
212:
ゅら
しおり☆頑張ってね(>ω
2005-12-27 00:53:00 -
214:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
シオリを付けてくれた『ゅらサン』、読んでくれてる方、ありがとうございます。
3Ldkも、あと4分の1になりました。
最後までお付き合いくださると嬉しいですo(_ _)o2005-12-27 03:35:00 -
215:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
数時間後、残業を終えた陽平は1人で会社を出た。強い風が頬を冷やし、彼は身を潜めた。
そして数歩‥先に目をやり、足を止める。
「何してん?」
「‥残業お疲れ」
ガードレールに腰掛け‥こちらを見る彼に声をかける。‥千草は、陽平の帰りを待っていた。2005-12-27 03:45:00 -
216:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
「待っててくれたん?‥コーヒーでも飲んで帰るか?」
彼の冷え切った白い顔を心配し、喫茶店へと誘う陽平。
少し先にある喫茶店へと歩く彼を、千草は黙って眺めた。
そして、軽く浮かせていた足を‥地につける。2005-12-27 03:50:00 -
217:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
「さっむいなぁ。だいぶ待っ‥」
「ぬけがけ?」
体を縮め、陽平の足は速くなる。千草は、喫茶店へと急ぐ彼の言葉を覆った。
‥ピタリと動きを止める足。
陽平は、ゆっくりと振り返る。2005-12-27 03:57:00 -
218:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
向かい風は追い風へと化し、後ろ首を冷やしていく。
目の前に立ち尽くす彼は、殺意を込めた瞳で睨んでいた。
陽平の背筋は凍りつく。
同時に、彼の台詞が何をさしているのかを‥瞬時に察した。2005-12-27 04:06:00 -
219:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
‥まばたきもしない瞳。
千草は、完全にキレている。
「‥寒いし、とりあえず喫茶店でも行こ」
弱々しい言葉しか出てこない。
陽平は、視線から逃れるかのように‥うつむいた。2005-12-27 04:10:00 -
220:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
‥だが、彼は動かない。
後ろめたさが、胸を締め付けていく。
陽平は、戸惑いながら‥再度彼を見上げた。
すると、千草はゆっくりと近づいてくる。2005-12-27 04:13:00 -
221:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
詰め寄るかのように歩いてくる彼に、陽平はポケットの中で拳を作った。
すると、千草は彼の隣を通り過ぎていく。そして、背後で立ち止まった。
殺気を感じ、陽平は振り返ることが出来ない。2005-12-27 04:20:00 -
222:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
「俺、引く気ないから」
その言葉は、勢いよく吹く風の音と交わった。
「頭悪いみたいやから、教えたるわ。‥幼なじみは、キスなんかせぇへんで」
向こうを向いたままの彼に、千草は強く言い放つ。
そして、彼を置いたまま‥木枯らしの中をすり抜けていった。2005-12-27 04:31:00 -
223:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
【つづく】
2005-12-27 04:35:00 -
224:
きさ
あと?分の?なんやぁ?もぅ少しやね?頑張ってね?完結まじ楽しみ?あたし的には千草と花が付き合ってほしいなぁ??(笑)
2005-12-27 10:47:00 -
226:
侍
陽平と花やろ???
2005-12-27 17:04:00 -
227:
名無しさん
千草、いいオトコ? 花みたぃな優柔不断な女にゎもったいない?
2005-12-27 17:29:00 -
228:
名無しさん
花ョリ男子のつくしと花がかぶるぅ??
2005-12-27 18:39:00 -
229:
名無しさん
この話したしかに引き込まれるけど、ありきたりな筋書きやね?1二人の男が一人の女を取り合う
2 片方の男はやさぐれててでも次第にヒロインに引かれていく
3 ヒロインにはつらい過去がある(家庭関係)
・・・ほぼ王道な?2005-12-27 18:43:00 -
230:
名無しさん
アフォな女が好きそーな話しだ
2005-12-27 18:50:00 -
233:
名無しさん
アフォな女デス。この話スキ。
2005-12-27 21:46:00 -
234:
名無しさん
私も好き?ずっとみてるし?文句あるなら見るなや?完結までガンバ??
2005-12-28 01:00:00 -
235:
名無しさん
完結頑張ってくださぃ??毎日楽しみに読んでましたょぉ???途中で終ゎるのゎ悲しぃょ??
2005-12-29 10:59:00 -
236:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
今忙しくて、なかなか書く時間が無いんです(>д
2005-12-29 11:12:00 -
237:
きさ
主さんがまた書いてくれるまで待ってます????
2005-12-30 01:34:00 -
240:
かな
主さん、どの小説にも中傷や荒らしはつきもの。ぅちはこの小説大好きです。荒らしなんかに負けずに頑張ってください。応援してます。
2005-12-30 20:59:00 -
241:
名無しさん
応援してるで?頑張って?
2005-12-31 08:42:00 -
243:
名無しさん
あげ
2006-01-03 23:55:00 -
244:
みぃ
仕事大変ゃろけど頑張ってねぇ????
めっちゃ待ってるしぃ???(*´∀`*)ノ゙アゲ?2006-01-04 10:07:00 -
246:
ぁ?チャン
茅衣????頑張ってネン???みんな応援してるカラ?ゅっくりでいぃカラさぁ??
2006-01-05 19:41:00 -
247:
名無しさん
http://xmbs.jp/oooaa/
2006-01-05 20:35:00 -
249:
名無しさん
まだぁ―??
2006-01-06 03:39:00 -
250:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
「あ、おかえりぃ」
玄関のドアを閉めると、花はスタスタと側に寄ってくる。
「遅かったなぁ。ご飯あるけど、先に風呂入る?」
彼女の表情は、夕方会ったときよりも‥すっきりしていた。
「‥陽平は残業?」2006-01-06 12:25:00