小説掲示板明日への後悔のスレッド詳細|夜遊びweb関西版

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明日への後悔

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  • 1:

    柚子

    あの日、後悔をしたから今がある
    貴方も私も、あの日はもぅ無いけど今がある
    沢山の人に囲まれて思い出す過去はどれもこれも綺麗すぎて、悲しい
    後悔が明日へ繋がる様に、そう信じて悲しい過去を思い出してみる

    2006-01-29 00:24:00
  • 300:

    柚子

    誠汰朗とそんなこんなな関係になってから店には出入りしていなくて、彼も「来るな」とも「来い」とも言わなかった

    ホストっぽい社交辞令を交え乾杯をしたら、各組世界に入る
    あみちゃんと南の笑い声がなんだか遠い

    2006-02-04 14:25:00
  • 301:

    柚子

    「今、客きてるから…」
    そう言った誠汰朗は、もしかして別人じゃないかと思う程無表情に席をたった。
    はす向かいの席に移った彼が、女の子に優しく「ただいま」と言ったのを見て少しヤキモチをやいた

    2006-02-04 14:27:00
  • 302:

    柚子

    「あれぇ?セータローは放置なーん?」
    たったの30分で酔っ払いに変身したあみチャンと南が私に絡む
    「ココは若い皆様で…」
    そう笑いトイレと言って席を立った

    2006-02-04 14:31:00
  • 303:

    削除

    削除されますた

    あぼ~ん
  • 304:

    柚子

    一人暮らしを始めた日から化粧も、金の数え方も、多分世渡りも上手くなった。
    ―誠汰朗と出会って、きっと恋だってちゃんと出来てる。
    バカみたいにそう自惚れる自分が、ホスクラの鏡にうつっていた

    2006-02-04 14:47:00
  • 305:

    柚子

    トイレから出ると、誠汰朗がオシボリを手に待ち構えていた。
    「お客さん待ってるよ?私いいから…戻れば?」
    私の視線は誠汰朗を通り抜け、フロアーに突き刺さった。
    そして、その言葉をキッカケに歯車は狂い始める…

    2006-02-04 14:49:00
  • 306:

    柚子

    「何だそれ」
    その顔は、怒りを隠したりはしていない。
    誠汰朗の言葉は短く、余計にするどく突き刺さる

    2006-02-05 11:12:00
  • 307:

    柚子

    「あ、私いたら仕事しにくいか」
    かわいくない女が、誠汰朗に尋ねる
    「怒らしたいの?」
    ―だってもう、怒ってるじゃん

    2006-02-05 11:13:00
  • 308:

    柚子

    なんだか分からなくなってきた。
    ―私はアンタの何?
    そう聞いてしまいたい。でも傷つくのが恐い。
    そんな堂堂巡り

    2006-02-05 11:14:00
  • 309:

    柚子

    「信じるじゃなかった」
    そう言って笑った私に
    「俺もだよ」
    と誠汰朗も共鳴した

    2006-02-05 11:15:00
  • 310:

    柚子

    私は、こうやって人を傷つける…
    自分が傷つきたくない一心で、あんなに優しかった誠汰朗までも傷つけたんだ。
    ―私は君の何?―
    ちゃんとそう聞けば、誠汰朗は答えてくれたはず

    2006-02-05 11:18:00
  • 311:

    柚子

    私が傷つかない様に考えてくれていたはず。

    「信じるじゃなかった」
    大失敗の私の台詞の後の誠汰朗は結構見物だった

    2006-02-05 11:19:00
  • 312:

    柚子

    彼は、私が座っていた席に戻りあみチャンと南に
    「ホンマごめん!!あの人酔ってるから帰すな?ゴメンなぁ」
    と謝り、私のカバンとコートを持って戻って来た。
    それから、まだトイレの前で立っていた私の腕を掴み、フロアーへと引きずりだした

    2006-02-05 11:20:00
  • 313:

    柚子

    「痛い!」
    扉の前で彼の腕を振り払って叫んだ。狭い部屋に私の声が響く
    店中の視線が痛かった。誠汰朗と笑っていた女の子と目が合った。
    ―きっと…私も彼女と同じ眼をしてる

    2006-02-05 11:23:00
  • 314:

    柚子

    「いいから帰れ」
    ―私は本当に酔っているんだろうか?

    もう笑ってはいない彼の目がひどく悲しくて、自分の正気を疑った

    2006-02-05 11:24:00
  • 315:

    柚子

    春はもう目の前だと言うのに
    扉の外の朝はまだ、二人が出会った冬のまま。

    太陽が昇りかけたこの街はまるでハリボテみたいに閑散としていて、再び夜が訪れるのをひっそりと待ちわびている様だった。

    2006-02-05 12:02:00
  • 316:

    柚子

    「もう会わんとこーや」
    誠汰朗は、眠っている街に気遣うような小さな声でそう言った
    ―ねぇ、声ってどーやって出すんだっけ?何て言えば正解なの?
    「じゃぁ…」

    2006-02-05 12:12:00
  • 317:

    柚子

    必死に絞りだしたそれが、私の最後の声。
    数少ない通行人の視線はチラリ、チラリと私達の背中を突き差して通り過ぎてゆく。
    ホスクラの路地裏。スーツの男と若い女。
    誤解のしようがないスチュエーションの主人公は私

    2006-02-05 12:24:00
  • 318:

    柚子

    言葉の続きも見つからず、彼の視線を振り切るように私はうつむいた
    「じゃぁ何?バイバイ?」
    誠汰朗の強い口調
    すばると話していた時の彼の目を、うつむいたまま思い浮かべた

    2006-02-05 12:31:00
  • 319:

    柚子

    そんな私は相変わらず何も言えなかった
    「アンタ最低やな」
    そう言って彼は背中を向けた
    ―何がって、これが一番悲しかった。

    2006-02-05 16:41:00
  • 320:

    柚子

    誠汰朗が私を、「アンタ」とか「なぁ」って呼ぶのは、本名ではない名前を使わない為の配慮だと思っていた。

    ―やっぱりそれは自惚れだったんだ
    そう気付いたら、悔しくて、悲しくて

    2006-02-05 16:43:00
  • 321:

    柚子

    「泣くぐらいなら、言いたい事言えやッッ!」
    誠汰朗の怒鳴り声が、私の涙を擦り抜ける

    泣けばすぐに抱きしめてくれる…ずるいけどそう思っていた私がいて

    2006-02-05 16:51:00
  • 322:

    柚子

    いつもの優しい腕が、今日は無い現実…
    それがもっと悲しくて、もっともっと泣いていたんだ。
    「アンタはどーしたいの?」
    背中のまんまの誠汰朗がそう言っていた

    2006-02-05 16:56:00
  • 323:

    柚子

    ━「そばにいたい」

    そう言えばよかった、そう言いたかったのに。
    …もう言葉にはならなかった

    2006-02-05 16:59:00
  • 324:

    はるな ◆ofir7ZeOpE

    続き楽しみ♪

    2006-02-05 23:31:00
  • 325:

    柚子

    >>はるなサン
    ぁりがとぅこざぃます(′艸`*)
    はるなサンに楽しみにして戴けて、私はぅれしぃです ( ´∀`)頑張りまっす♪

    2006-02-06 11:51:00
  • 326:

    柚子

    ━誠汰朗が閉めた扉の向うが暖かに見えた
    その向こう側でいつも泣いていたくせに。

    彼の背中にかけたい言葉は沢山合ったのに、何一つ伝えられないまま、また私は一人になった

    2006-02-06 11:55:00
  • 327:

    柚子

    優しい嘘と偽りの愛で作り上げられたこの世界は
    本物の優しい手を
    偽りではない愛を
    そして誠汰朗さえも見えなくさせた

    2006-02-06 11:56:00
  • 328:

    柚子

    ―ねぇ誠汰朗?
    きっと私は、神様の作った失敗作だね

    誠汰朗が投げ捨てた鞄とコートを拾い、情けない女はポツリポツリと歩きだした

    2006-02-06 11:57:00
  • 329:

    柚子

    ━愛してる形━
    ずっと隠して来た本音。
    それは、すばるを想って泣く彼女を抱くたび虚しくなった。
    いつになったら、アンタは俺に抱かれながらアイツを想うのをやめるの?

    2006-02-06 11:58:00
  • 330:

    柚子

    「すばると会うな」
    そう言った俺の前には、今にも泣き出しそうなアンタがいた。
    一緒に居ても、笑っていても、一瞬たりとも忘れてないんだろ?
    いつかアンタが諦められるまで…そんな広い心は俺にはないよ

    2006-02-06 12:00:00
  • 331:

    コウ

    やばい!なんかめちゃ共感できる。泣きそうになりました。つづき楽しみ頑張ってね。

    2006-02-06 12:05:00
  • 332:

    柚子

    午前4:10
    イラつく理由はもう一つあった。
    「最近電話もくれないじゃん。女いるんでしょ?」
    やたらうっとうしい標準語を使って、俺に絡んでくる優

    2006-02-06 12:06:00
  • 333:

    柚子

    「女?おる訳ないやんかぁ!!」
    そう嘘を吐く自分の顔が歪んでいるのが分かった。
    「嘘つき!携帯見たんだもんッッ」
    嘘つき?お前がな…

    2006-02-06 12:07:00
  • 334:

    柚子

    すぐに嘘だと分るのは、虚しい真実のおかげ
    ゆなとはメールをしない、電話も会う日だけ
    俺の携帯にはゆなの存在はない
    「見られてもやましいモンないもーん。優ちゃん?カマはよくないよ。」

    2006-02-06 12:08:00
  • 335:

    柚子

    そう言って席をたった。
    もう2、3回同じ様な会話が続けばキレそうだった。

    ―彼女はいない、それはあながち嘘じゃない

    2006-02-06 12:10:00
  • 336:

    柚子

    俺はゆなのエアバックで、危険な時だけ必要とされる。
    安全な時は?
    ハンドルの中に丁寧にしまわれて居るだけ。
    だけどエアバックがなきゃ走れない、それも分かってる

    2006-02-06 12:12:00
  • 337:

    柚子

    「セータローさん?」
    声をかけてきたのは、るぅだった
    「なんやねん」
    コイツはちゃっかりあの事件を無いモノにして、あみチャンを獲得している

    2006-02-06 12:12:00
  • 338:

    柚子

    「えー!俺に切れてんのぉ?」
    オーバーリアクションにハイテンション。どれもこれも今の俺にはうっとうしい物だった。
    「ゆなサン、4卓に来てますよ」
    その言葉は俺がギリギリで保ってきた均等を打ち壊す。

    2006-02-06 12:18:00
  • 339:

    柚子

    半分以上が灰に変わってしまった煙草を見つめながら、掴みかけたはずの彼女の心がまた遠退いていくのが分かった

    「あー!!ゆなちゃんが好きなんだぁ?」
    るぅは愉快そうに俺の肩に手をかけて、そう言って笑った。

    2006-02-06 13:33:00
  • 340:

    柚子

    「うざいね、お前」
    そう言って振り返った俺は、るぅの手を肩から外し笑い返した
    無理矢理に装った平然は、『誠汰朗』をホストに変えてくれる。
    やっと戻ってきたホストの自分を確認して、その笑顔のまま、ゆなの席に向かった

    2006-02-06 13:37:00
  • 341:

    柚子

    ―ホストになれば、お金も愛も手に入るだろ
    そんな風に考えていた18才の俺を呪った日もあったよ。だけど今日は感謝している。
    ゆなの席で偽物の笑顔振りまきながらそう思っていた。

    2006-02-06 13:45:00
  • 342:

    柚子

    こんなバカみたいに笑っている俺は、彼女の目にどう映っているのかな?
    「今、客きてるから…」
    情けない自分を見兼ねて、ゆなの席をたった
    もうこんな笑顔を、ゆなに見せたくなかった

    2006-02-06 13:57:00
  • 343:

    柚子

    >>コウさん
    ぁりがとーござぃます(′艸`*)
    コレに共感できるだなんて…コウさんもなかなか波瀾万丈な人生を送られてるんですねぇ(((( ;゚Д゚)))
    喜んでがんばります((*^∪^*))

    2006-02-06 14:05:00
  • 344:

    柚子

    「ただいまぁ」
    そう言って、俺は優の席に戻った。
    ―あの席でゆなと話す事は、ホストと客に逆戻りするって事。
    なのになんでだよ、何でゆなは来たんだ。俺はアイツのなんなんだ

    2006-02-06 14:09:00
  • 345:

    柚子

    「ちょっと!!」
    優の声で現実に戻る
    「あれ彼女のなの?」
    そう言ってむくれる優が、ゆなにはない素直さが、なんだか可愛いかった

    2006-02-06 14:10:00
  • 346:

    柚子

    「優チャン…俺のこと好き?」
    そう聞いたのはゆなへの当て付けだった。
    「好きぃー!なんでぇ?」
    俺の右腕にしがみつきニコニコと笑う優は、いとも簡単にそう答える

    2006-02-06 14:20:00
  • 347:

    柚子

    「そっか…優チャンはかわいいな」
    そう言って気付く
    ゆなは一度でも俺に好きだって言ったか?
    好きだとも言えないそんな彼女が、作り笑いをして席をたったのが見えた

    2006-02-06 14:25:00
  • 348:

    柚子

    彼女がちゃんと笑えないのは
    彼女が素直になれないのは
    今まで大切にされていなかったから…誰に?
    すばるサンに。

    2006-02-06 14:27:00
  • 349:

    柚子


    どこまでも…どこまでも…すばるサンで構成されている彼女を、打ち砕いてやりたくなった

    2006-02-06 14:29:00
  • 350:

    ゆみ ◆CxQixBLQZs

    読んでるよ!

    2006-02-06 14:36:00
  • 351:

    名無しさん

    面白れーなぁ?

    2006-02-06 16:15:00
  • 352:

    名無しさん

    続き楽しみ?

    2006-02-06 16:52:00
  • 353:

    名無しさん

    2006-02-06 23:04:00
  • 354:

    柚子

    >>ゆみサン>>352-353サン
    ぁりがとーーーござぃまッす(*′艸`*)
    皆様の心優しぃコメントを、有り難く頂戴させて戴きますね(;□;)
    ぼちぼちラストスパートに入りますので、どぅぞ皆様ご一緒に全力疾走してくださぃませ

    2006-02-07 10:34:00
  • 355:

    削除

    削除されますた

    あぼ~ん
  • 356:

    柚子

    「お客さん待ってるよ?戻れば?」
    トイレから出てきた彼女の第一声で、俺の決意はふっとんだんだ。
    「何だそれ」
    「あ、私いたら仕事しにくいか」

    2006-02-07 10:37:00
  • 357:

    柚子

    「怒らしたいの?」
    ―自分勝手な感情が止められない。
    彼女を傷つけても何も変えられないのにな。

    2006-02-07 10:39:00
  • 358:

    柚子

    「信じるじゃなかった」
    だけど、そう言って笑った彼女を許せなかったんだ。
    「俺もだよ」
    ―もぉ…限界…

    2006-02-07 10:40:00
  • 359:

    柚子

    「痛い!」
    やってる事はすばるサンと何ら変わり無かった。
    「いいから帰れ」
    できるだけ自分を押さえて言ったけど、すごく傲慢な言葉に思えた

    2006-02-07 10:41:00
  • 360:

    柚子

    ゆなが優の視線を気にしているのが分かって、店内の視線に初めて気付いた。

    ―怒られるな…
    そうは思ったけど後のことなんて、どうでもよかった

    2006-02-07 10:42:00
  • 361:

    柚子

    「もう会わんとこーや」
    そう言ったのは彼女の為
    「じゃぁ何?バイバイ?」
    そう言ったのも彼女の為

    2006-02-07 10:42:00
  • 362:

    柚子

    「アンタ最低やな」
    そう言ったのは誰の為?
    「泣くぐらいなら、言いたい事言えやッッ!」
    そう怒鳴ったのは?

    2006-02-07 10:43:00
  • 363:

    柚子

    「アンタはどーしたいの?」泣いている彼女に、そう呟いたのは?

    最低なのは俺だった。

    2006-02-07 10:44:00
  • 364:

    柚子

    ―もぅ、分かったじゃないか。ゆなは俺を想ってくれている―
    何かを押し殺す様に泣きじゃくる彼女を見てそう思うのに
    言葉が欲しくて、形が欲しくて追い詰めた

    2006-02-07 10:53:00
  • 365:

    柚子

    すばるのおもちゃ箱の中で恋をしたお姫様
    救い出すのはおもちゃの兵隊
    抱き締めたいのにそうできないのは、剣と盾に両手をふさがれていたから
    おもちゃ箱の隙間から、ニタニタ笑うすばるが見えた気がした

    2006-02-07 11:03:00
  • 366:

    柚子

    「アンタどーしたいんだよ」それは俺への言葉

    俺はどーしたいんだ?
    彼女に投げ付けた言葉が深く突き刺さる

    2006-02-07 11:04:00
  • 367:

    柚子

    愛してるを形にしたくて、夢への扉を閉めた俺


    その時…泣きじゃくるゆなが何か呟いた様に思えた

    2006-02-07 11:05:00
  • 368:

    柚子

    ━それぞれの闇━

    泣いている彼女を置きざりにして店内に戻ると、るぅも優も従業員も、ゆなの友達までもが奇異の目で俺を待っていた
    バックヤードから俺を覗く代表が手招きをする

    2006-02-07 11:18:00
  • 369:

    柚子

    ―あっ、怒られるのか…。

    やっとこさ正気に戻った俺は、静まり返る視線をたち切る様に、その手招きに頷いた。
    …早くホストに戻りたかった

    2006-02-07 11:39:00
  • 370:

    柚子

    「いいの?お前」
    やけに落ち着いている代表と向かい合い座ると、すぐにそう聞かれた。
    質問の意図を誤魔化すように
    「会計は俺が払いますから」

    2006-02-07 11:46:00
  • 371:

    柚子

    俺はそんな的外れな回答をした。
    「まぁ、当然そうするよ」
    とクソ真面目に答えた代表は、「じゃぁ」と言って席を立とうとする俺の腕を捕まえて言葉を繋げた

    2006-02-07 12:25:00
  • 372:

    柚子

    「そーじゃなくて、帰して良かったのかって聞いてるんだけど?」
    テーブルを挟んで片腕を捕まれたままの俺は、お互いの不恰好な態勢に観念してもう一度椅子に座りなおした。
    「切れてもよかった客…なんで…」
    ―客じゃない。だけど、そんな事は言えない

    2006-02-07 12:29:00
  • 373:

    柚子

    自分で吐いた嘘まみれの言葉の羅列に、吐き気がした。
    「ふーん…ならいいわ。席戻れ、一席残ってるだろ?」
    そう言って、やっと俺の腕を解放しパソコンに向き直った代表の背中
    何だか、全て見抜かれている気がした

    2006-02-07 12:31:00
  • 374:

    はるな ◆ofir7ZeOpE

    ドキドキ・・・★

    2006-02-07 13:03:00
  • 375:

    柚子

    >>はるなサン
    また?ぁりがとーござぃます (*^ー^)ノ
    ドキドキ…☆頂きました(*′艸`)☆

    2006-02-07 22:47:00
  • 376:

    柚子

    「やっぱ彼女なんじゃん!!」

    席に戻った俺をそう怒鳴りつけ、優はさっさと帰っていってしまった。
    ―でも…これでよかったんだ。

    2006-02-07 22:49:00
  • 377:

    柚子

    そう思いながら、彼女の背中を見送った。
    どれだけ待ってたって俺には、彼女の欲しがる物は何一つ与えてあげられない。
    愛も、言葉も、安っぽい指輪でさえも…
    彼女達の「好き」がいつか本物の意味を持つ為に、俺なんかから離れた方がいいんだよ

    2006-02-07 22:52:00
  • 378:

    柚子

    だけど…そんな気持ちの真相は、自分を正当化したいだけ

    ―優はきっとまたすぐに…すがれるホストを探すんだ。
    本当はそうだと知っていた

    2006-02-07 22:55:00
  • 379:

    柚子

    「セイタローさん…よかったんですか?」
    どいつもこいつもそうやって、同じ質問を投げ掛けてくる。
    今回の声の主はるぅだとすぐに気付いたが、振り返るのも面倒でその台詞を聞き流した
    「ゆなちゃんは…すば君と切ろうとしてましたよ」

    2006-02-07 22:59:00
  • 380:

    柚子

    「ゆなチャンからすば君奪ったんはアンタやろ!」
    るぅの言葉が、俺のそんなセンチメンタルをぶった切る。
    あまりに大きな声を出すので、フロアーに聞こえるんじゃないかと思ったが、BGMにかき消され聞こえなかった様だった
    それを確認して、るぅを睨み付けた

    2006-02-07 23:07:00
  • 381:

    柚子

    「奪えんかった…それでいいやん。アイツはすばるのトコに帰ってハッピーエンドやんけ、文句なしのな」
    まっすぐに俺を見据えるるぅが、なんとなく大物に見えた気がした。
    「文句ありますよ。聞こえませんでしたか?ゆなチャンすば君と切ろうとしてたって。俺言いましたよね」
    「だけど…」

    2006-02-07 23:11:00
  • 382:

    柚子

    ―だけど…ゆなはまだ、すばるに会いに行ってるじゃないか。
    そう言い返すよりも早く、るぅが口を開いた
    「あみが言ってたよ。殴られた日は会ってくれないって‥セータロウにも何にも言わないって。アンタを想う数だけあの子の心と体の傷は、増えてるんやないか!どこがハッピーエンドやねん!」
    ―もう、言い返す言葉は浮かばなかった

    2006-02-07 23:16:00
  • 383:

    柚子

    ゆなを追い詰めて、追い詰めて、追い詰めて…。
    彼女を大事にしていると思い込んで、体も心も見てこなかった。
    すばるを気にしていたのは彼女じゃなくて、俺の方だったんだ。
    そう気付いた時には何もかもが手遅れで、俺の腕の中には何も残っていなかった

    2006-02-07 23:20:00
  • 384:

    柚子

    振り返ったらそこにはもうるぅは居なくて…―
    春の影が見えない夢の外への扉が、音を立て閉まるのが見えた

    ―ゆなはまだ、泣いているのだろうか

    2006-02-07 23:23:00
  • 385:

    名無しさん

    2006-02-07 23:23:00
  • 386:

    名無しさん

    (つД`)。゜。 えぇわぁ?

    2006-02-08 04:12:00
  • 387:

    名無しさん

    これちゅき?書いて?

    2006-02-08 06:03:00
  • 388:

    岡ちゃン

    今日初めて読んだンゃけど・・・すげぇー人生Σ(゚□゚;)俺にゎ真似できねぇー(´・ω・`)ショボーン↓↓でも面白い(*г′∀`)г*頑張って?

    2006-02-08 06:10:00
  • 389:

    柚子

    >>388-389サン、>>岡ちゃンサン
    ぇえデスカ!ほんまデスカ!!書きますょ!ぇぇ、そりゃもぅ喜んでッ ( ´∀`)
    岡ちゃンサンはメンズでらっしゃぃますか?ぇっと…書ぃてる自分でさえも、こんな人生はまっぴらゴメンですΣΣ(゚Д゚;)良いコゎ真似しちゃ駄目ですょ(´Д`;)
    ぃゃ?御感想ぁりがとーござぃます(;□;)少し早すぎたラストスパートに息切れしてぉりました所存です!だけど、もぅちょぃがんばります((*^∪^*))

    2006-02-08 10:34:00
  • 390:

    柚子

    ━少年の声━

    CLUB Dの看板の前に、私はきっともう30分は立たずんでいる。
    まるで辛い現実から目をそらすかのように、肩を抱かれ幸せを装いながら店へと逃げ込んで行く人を眺めていた。

    2006-02-08 10:38:00
  • 391:

    柚子

    そんな女の子の数…23人。

    ―そっか…まだ23人は仲間がいるんだ。
    そんな事を考えている私の目の前を、24人目の女の子が笑顔で通り過ぎていった。

    2006-02-08 10:43:00
  • 392:

    柚子

    「化粧がはげてるのか…」
    手鏡を広げて覗き込むと、笑いたくもなる様な、なんともムチャクチャな顔があった。
    必死になってマスカラとファンデで化粧を作り直したが、変な顔には変わりはなくて、仕方がないと諦めた。
    深呼吸を一つしてから、手の汗で曇ってしまっていた携帯を開いた。

    2006-02-08 10:52:00
  • 393:

    柚子

    誠汰朗と寝た2ヵ月前のあの冬の日から、私は数えきれないくらい何度もすばると話し合ってきた。
    そしてその数だけ、彼に殴られたアザを背負って彼の店に行っていた。
    それは事実、だけど真実じゃない
    ━私は無意識に、二人共と繋がっていられる方法を探しているんじゃないの?

    2006-02-08 11:13:00
  • 394:

    はるな

    あげとこ♪

    2006-02-08 11:39:00
  • 395:

    柚子

    誠汰朗の腕の中で『風俗嬢のゆな』がそう笑っている。
    ━…捨てられたってしょーがないんだよ。
    そう、捨てられたって仕方がないよね。
    いつの間にか、奈央にはゆなに負けてしまっていたんだ

    2006-02-08 11:43:00
  • 396:

    柚子

    誠汰朗を傷つけなくちゃ、そんな事も分からない自分を責めた
    ―ごめんじゃなくて、ありがとう。そう言いたい…。
    誠汰朗の笑顔を思い浮かべて、通話ボタンに願いを託す。
    ―コールは5回

    2006-02-08 11:49:00
  • 397:

    柚子

    「なに?」

    騒がしい音に交ざり、すばるの声が聞こえた―…

    2006-02-08 11:51:00
  • 398:

    名無しさん

    柚子さん文章うまい!
    続き楽しみしてます。

    2006-02-08 14:27:00
  • 399:

    名無しさん

    2006-02-08 18:45:00
  • 400:

    柚子

    >>はるなサン
    毎度ありィィ (*^ー^)ノ
    >>400サン
    400ぉめでとぅ&ぁりがとぅゴザィマスヽ (゚Д゚)人(゚Д゚)┛恐ろしぃ程の誤字脱字が…!!ぁりますね(◎∧◎;)意味分かんなかったぜひ聞ぃてくださぃ(≧人≦)

    2006-02-08 19:19:00
  • 401:

    柚子

    「急にごめん、今店の前に来てるんだけど」
    自分からそう言って、何だか懐かしい気分になっていた。
    最近はいつもすばるに呼ばれて行く事ばかりだったから…

    2006-02-08 19:22:00
  • 402:

    柚子

    「マジで?そんじゃー迎えに行くわ」
    ご機嫌なすばるの声が、まさに嵐の前の静けさの様だった。
    「ゆなから来るなんて珍しいやん。ほんじゃ入ろか!」
    そう言って、笑顔のすばるは私の肩を抱く

    2006-02-08 19:24:00
  • 403:

    柚子

    「入りたくない。‥ここで話すから」
    肩に回された腕を振り解いた私に、すばるは短いため息をついた
    「は?だるいなぁーお前。またあの話し?」
    呆れたような、怒っているようなそんな顔をしていた

    2006-02-08 19:25:00
  • 404:

    柚子

    「もう会わない。家にもこないで」
    何度も繰り返ししてきた話し。
    「またセータロー君やろ?別にええで俺は!セータロー君が困るだけやし(笑」
    そう言ってすばるが私の腕を掴んだ。血が止まるんじゃないだろうかと思う程きつく…

    2006-02-08 19:27:00
  • 405:

    柚子

    「誠汰朗は関係ない。私がすば君と離れたいだけやん。」

    今度は腕を、振り払えなかった。

    2006-02-08 19:31:00
  • 406:

    柚子

    「関係ないならええやん、客取られたって俺が騒げばアイツが迷惑するだけやろ。」
    「卑怯やわッ」

    その言葉とほぼ同時に、すばるの手の平は私の顔へと振り下ろされていた

    2006-02-08 19:34:00
  • 407:

    柚子

    「調子のんなよ?アイツも同じホストやでな。お前は俺に騙されとったらええねん!」
    「…違うかもしれないじゃん!」
    「一緒じゃッ!!」
    2発目はミゾオチ。咳き込んでうずくまっている私を蹴ったのが、確か3発目だった

    2006-02-08 19:37:00
  • 408:

    柚子

    ―どんだけ勇気を振り絞っても、神様は私に味方してくれない。

    冷たい地面から上半身だけをどうにか起こし、すばるを見上げていた

    2006-02-08 19:38:00
  • 409:

    柚子

    ―お願いだから、誰か‥頑張れって言ってよ。

    今が変わってしまう事が恐かった。
    もっとひどくなるくらいなら、今のままの方がマシなんじゃないかとさえこの時は思ったの。

    2006-02-08 19:40:00
  • 410:

    柚子

    「ゆなちゃんッッ!」
    まだ座り込んだままの私に駆け寄り
    「大丈夫?泣いたら駄目やで!がんばれ!」
    そう声をかけたのは誠汰朗ではなくて、神出鬼没のるぅ君だった

    2006-02-08 19:46:00
  • 411:

    名無しさん

    うぉぉぉああ?柚子ー?愛してるぜぇぇぇ?

    2006-02-08 20:00:00
  • 412:

    岡ちゃン

    岡ちゃンゎメンズです(`・ω・´)シャキーン!!俺ゎュックリ静かに暮らしますo(・∀・*(*・∀・)o完結まで頑張って書いてゃ(ノ∀ヽ*)*〃∀)

    2006-02-09 00:20:00
  • 413:

    名無しさん

    2006-02-09 01:03:00
  • 415:

    柚子

    >>413サン
    その愛、つつしんでぉ受け致しますm(__)m愛ってぃいょねッ( ´∀`)
    注:金品の請求は承ってござぃません、御了承くださいませ。

    2006-02-09 11:19:00
  • 416:

    柚子

    >>岡ちゃン
    メンズ報告ぁりがとぅゴザィマス ( ´∀`)そぅですね!ヒッソリ★ズンヤリを人生のテーマに共に頑張りましょぅ((*^∪^*))
    以後「ゃってしまった!」感溢れる作品になって行きますが、完結マデ頑張ります(*′艸`*)

    2006-02-09 11:20:00
  • 417:

    柚子

    「あれ?なんで…」
    そう言ってるぅ君を見たら、彼の視線は既にすばるへ向けられていた

    「すば君、もぅやめてあげて下さい。警察よびますよ」

    2006-02-09 11:22:00
  • 418:

    柚子

    私を道端に座らせ、すばるの前に立つるぅ君は言った。
    「お前は偉そうな口聞くな!」
    そう言って殴りかかろうとするすばるに
    「ちょっ…すばッ!!」

    2006-02-09 11:24:00
  • 419:

    柚子

    そんな光景に私はそう叫ぶしか出来なかった。

    ―カツンッ
    「いってぇ‥お前!」

    2006-02-09 11:25:00
  • 420:

    柚子

    随分マヌケな音を立てて、コンクリートに頭を打ち付けたのは意外にもすばるの方だった。
    それに比べてるぅ君は、何もなかった様にさらっと笑っていた
    「あっ仲間呼びます?そしたら6つも下の後輩に殴られた事ばれますけど…それは‥ダサイよな?」
    そう見降ろされたすばるは、まだ勢いを緩めずに怒鳴り散らした

    2006-02-09 11:27:00
  • 421:

    柚子

    「お前、仕事出来へん様にするぞッ」

    本日二度目のその台詞は、何だかものすごく惨めだった。

    2006-02-09 11:27:00
  • 422:

    柚子


    「え?そんなんできるんですか?」

    そう答えたるぅ君を凝視しながら、私は迂闊にも笑ってしまいそうになった。

    2006-02-09 11:29:00
  • 423:

    柚子

    当のすばるも呆気に取られた様に小さく
    「へっ?」
    と声を洩らしたまま、壊れたカラクリ人形の様にケタケタと音を立てて笑うるぅ君を見上げていただけだった。

    2006-02-09 11:30:00
  • 424:

    柚子

    ━奈央と龍━

    「市民病院までッ!あっ、僕三千円しかないからッ遠回りしたら払えないよ!!」
    るぅ君は、中途半端に立ち上がったまま静止していた私をタクシーに押し込んで、運転手にそう言っていた

    2006-02-09 11:39:00
  • 425:

    柚子

    それから、まだ少し状況を把握できない私に
    「ゆなちゃん…お金もってる?」
    と真剣な顔で聞いてくる彼がやっぱり可笑しくて、私は笑いながら「大丈夫」と言って頷いた。

    2006-02-09 11:43:00
  • 426:

    柚子

    タクシーに乗って10分後…すばるからメールが届いた。
    それは「ごめん」から始まる、長いながい言い訳の様だった。
    使い古されて意味を無くした愛の言葉
    どんなに探しても、見つかりはしない『好き』の2文字

    2006-02-09 11:48:00
  • 427:

    柚子

    そんなメールの影には
    『格好悪くなりたくない』とか『プライドが捨てられない』とかそんな男が見え隠れしていて、
    ―絶対にお前は戻ってくるんだ
    と、そう笑ってる彼が居た気さえした。

    2006-02-09 11:49:00
  • 428:

    柚子

    ―ゆなを離したくない―

    そう締め括られた液晶の上に、小さな水溜まりを作った私の涙。
    ―私は奈央で、すばるが離したくないのは『風俗嬢のゆな』?『都合のいいゆな』?

    2006-02-09 11:51:00
  • 429:

    柚子

    ―読まずに消してしまえば良かった。
    そうすりゃ、すばるに出会った事まで後悔しなくてすんだのに…

    手に取るように分かるすばるの心の内は、私にはまだ苦しかった。

    2006-02-09 11:52:00
  • 430:

    柚子

    「すば君から?」
    俯いて泣いていた私は、るぅ君のその質問にも答えられなかった。
    そんな私を気遣うように、優しい声でるぅ君は「あのさ…」と話し掛けた
    「返事するのは明日まで待ってよ」

    2006-02-09 11:53:00
  • 431:

    柚子


    ―明日?

    2006-02-09 11:56:00
  • 432:

    柚子

    「そぅ、明日!明日になったら泣かずに、それ読めるようになってるから」

    顔を上げると、いつもよりもっともっと優しい笑顔のるぅ君がいた

    2006-02-09 11:58:00
  • 433:

    柚子

    ―そうだといいな。

    何の根拠もないんだけど…ただ単純に、ただ純粋にそう思った。
    るぅ君の優しい優しい手が私の頭に届いた時には、産声をあげる子供みたいに声を上げて泣いていた。

    2006-02-09 12:04:00
  • 434:

    ?柚子ちゃω?ぁみちゃω?

    毎日読んでるょ???
    この時間になるのが楽しみょ?

    2006-02-09 14:20:00
  • 435:

    柚子

    >>?ぁみちゃω?サン
    毎日デスカッΣΣ(゚Д゚!)それゎ?楽しみにして頂きましてぁりがとぅござぃます(*′艸`*)
    今からマタ更新しますね┗(*^∨^*)┛

    2006-02-09 16:15:00
  • 436:

    柚子

    午前8:02
    るぅ君は薄暗い病院の診察室に私を放り込んで
    「少し大げさに診断書書いてよ!色々あるから」
    不機嫌そうなお医者サンにそう言って、ガチャンと扉を閉めた

    2006-02-09 16:16:00
  • 437:

    柚子

    「龍、お前さぁ!診察時間早めてるだけでも有り難く思ってよ!」
    とそのお医者サンは閉まってしまった扉に答え
    「アイツは医者にはならへんな…」
    と今度は独り言の様に言った

    2006-02-09 16:17:00
  • 438:

    柚子

    「龍君…?えっと…お知り合いなんですか?」
    肩の傷と、擦り剥いた膝を見てもらいながら私が聞くと
    「アレ?息子なんよ(笑」
    と恥ずかしそうに答え、ペカペカ頭に手を置いた。

    2006-02-09 16:19:00
  • 439:

    柚子

    ―龍君って言うんだ…。
    あんなに明るい少年でさえ、本名を捨ててしまいたいと思う程の過去があったんだ…
    そんな風に考えて、もしかしたら今でも必死にそんな過去を隠しているのかもしれないと思った。
    「末っ子でね、やりたい放題なんだよ」

    2006-02-09 16:34:00
  • 440:

    柚子

    私の勝手な想像に気付いたのか、るぅ君のパパはそう言って笑った。
    「譲る病院がある訳でもないし、龍の好きな様にすればいいんだけど…医者になるって聞かなくて」
    庭先の世間話の様ににこやかにパパはそう語り、私はただウンウンと笑いながら聞いていた
    正直、どうして私にそんな事を話すのか分からなくて戸惑っていた

    2006-02-09 16:47:00
  • 441:

    柚子

    「なんでこんな話って思ってる?」
    一瞬心を見抜かれたのかと思って
    「いや…そんな事は…ない?です」
    驚いてそんな訳の分からない返事をしていた

    2006-02-09 16:53:00
  • 442:

    柚子

    その時の私のひきつった笑顔が可笑しかったのかパパは少しだけ笑って、次は悲しい顔をした
    「龍はね、お嬢チャンみたいな女の子を救いたいって言ってたよ」
    ―お嬢チャンみたいな女の子…?
    そうやってパパが始めたるぅ君の話は、今の明るい少年からはまるで想像できないものだった

    2006-02-09 17:12:00
  • 443:

    柚子

    「僕はね、彼をどう愛していいのか分からないんだよ」
    そんな言葉に返事を飲み込んでしまった私に、パパは話しを続ける。
    「僕の母親はとても厳しい人でね、今だに僕はあの母親を愛したかどうか分からない。僕自身…愛されていたかどうかも分からない」
    パパが消毒をしていた肩の傷が、少し痛かった

    2006-02-09 17:39:00
  • 444:

    柚子

    「愛し方が分からなくて、今まで龍をほったらかしにしてたんだ。ずっと…無関心な父親だったと思う。おじちゃん情けないやろ?」
    そう悲しい顔のまま笑ったパパは、私の相づちを待たずに
    「龍が君を助けたいと言うなら力になってやりたいんだ」
    とそう言った。

    2006-02-09 17:55:00
  • 445:

    柚子

    それからパパは私にグルグルと包帯を巻き、捻挫や打撲などが大げさに書き込んだ診断書を私に渡した
    「龍はこの紙切れで、君を守ると言ってるんだよ。だったら僕は君を助ける事で、龍の愛したいんだ」
    そう言って笑ったパパは、やっぱりるぅ君と同じ顔をしていた。

    2006-02-09 18:10:00
  • 446:

    柚子

    「龍は…俺より先に愛を探し出したんだな」
    お礼を言って診察室の扉に手を掛けた時、パパは私の背中にそう言った。
    その言葉の意味を考えなかった訳じゃない、ただ考えたくなかった。
    だって…もしもそうだとしたら、私は本当にひどい人間だと思ったから

    2006-02-09 19:41:00
  • 447:

    名無しさん

    柚子はあたしのもんや?

    2006-02-10 06:17:00
  • 448:

    柚子

    >>449サン
    その闘争心しかと受け取りました。ぜひとも私を二等分して戴ければと思う次第でございます ( ´∀`)
    ではただ今より更新いたしますので、ぜひ続きも読んでくださいませm(__)m

    2006-02-10 11:07:00
  • 449:

    柚子

    「あははっ!スッゴイ包帯!ッ!(笑」

    その扉を開けると、私の膝を指差して子供みたいに騒ぐるぅ君がいた。

    2006-02-10 11:08:00
  • 450:

    柚子

    「るぅ君のパパ、お医者さんだったんだね」
    何だか一人で気まずい空気を感じながら、彼にそう聞いたら
    「もうすぐ僕も、お医者さんになるんよ?」
    まるで当たり前かの様にそう真面目に言って、手に持っていた携帯をポケットに押し込んだ。

    2006-02-10 11:09:00
  • 451:

    柚子

    「あっ、コレ…」
    その素振りで、自分が手に持っていた診断書を思い出して彼に差出した。
    「ああ、それゆなチャンのな!今度すば君が来たら、それ見せて『警察いくぞ!』ッテ言ってやりな?あの人結構ヤバいから(笑」
    ―私を守るって‥その事だったんだ…

    2006-02-10 11:10:00
  • 452:

    柚子

    そう分かった瞬間に、打ち消したはずの考えがまた浮かんだ

    ―もしもパパの言葉の様にるぅ君が私をスキだったら…?

    2006-02-10 11:10:00
  • 453:

    柚子

    目の前で「よかったね!」と笑うるぅ君。

    ―私はこの子にすごくひどい事をしているんじゃないんだろうか

    2006-02-10 11:11:00
  • 454:

    柚子

    彼に与えてもらった自由を、私はどうして誠汰朗に使えるの?
    私は自分でも知らない間に、他人を利用して生きていた。
    愛も恋も、るぅ君が独りぼっちで必死に探してきた大切な物をバカにしながら利用していた。
    そして今それに気付かせてくれたのはるぅ君なのに、私には何もあげられない。

    2006-02-10 11:13:00
  • 455:

    柚子

    一層の事、るぅ君を愛せばいいのだろうか…


    そう思った私はやっぱりまだずるい大人。

    2006-02-10 11:13:00
  • 456:

    柚子

    「あのさ…セイタローさんはゆなチャンにあんな事言っちゃってすごく後悔してるんだよ」
    何の前触れもなく突然るぅ君はそう言って、私はそれをただ呆然と聞いていた。

    「僕が…あみの事で問題起こして、そんで二人は仲良くなったんだよね?僕は…キューピットなんだよね?」

    2006-02-10 11:16:00
  • 457:

    柚子

    ―答えられなかった。
    息が、胸が、そして心が苦しくて。

    例えば小さく頷くだけで、私はきっとるぅ君を傷つけてしまうから。

    2006-02-10 11:18:00
  • 458:

    柚子

    そんな事を考えながら、手を持っていた診断書をただ見つめていた。

    その時隣のるぅ君が、小さく短い深呼吸をしたのが分かった

    2006-02-10 11:22:00
  • 459:

    柚子



    「できる事なら最後まで、僕は天使のままでいたい」

    2006-02-10 11:24:00
  • 460:

    柚子

    まだ人気のない待合室にるぅ君の声が響いて、その言葉が空気の中に溶けてしまうのをほんの少し待っていた私。
    「後悔するかもよ?私も誠汰朗も…るぅ君も…」
    そう言いながら彼から目が離せなかった。
    いつもの様に笑っているだけなのに私は…笑い返せなかったんだ。

    2006-02-10 11:25:00
  • 461:

    柚子

    「僕は…自分が産まれた事を後悔した日に、全部置いてきたんだ。あの日に僕は泣いたからもう…ずっと笑ってられる気がする」
    少しだけ曇った彼の笑顔がすぐそばにあって
    「今は?パパの事…嫌い?」
    同じように笑うるぅ君のパパを思い出した。

    2006-02-10 11:30:00
  • 462:

    柚子

    「昔は大嫌いで、とにかく反抗して家飛び出したけど…社会に出たら僕は、診断書の一枚すら書けなくて。ゆなチャンの怪我だって治してあげられない。
    今、それができるパパを今は尊敬してる。あんな風になりたいんだ」
    ―パパの愛はちゃんと龍君に届いてるんじゃん。
    走って行って、パパにそう伝えてあげたかった。

    2006-02-10 11:32:00
  • 463:

    柚子

    でもそれができなかったのは
    「…ゆなチャンを好きになって分かった事なんだけどね?」
    まるで何かのオマケみたいに付け足したその言葉が、私の腕を掴んだから。

    2006-02-10 11:33:00
  • 464:

    柚子

    ―最後まで僕は天使のままでいたい。
    私はその時、そう言ったるぅ君を思い出していた。

    例えこの子を悪魔に変えても、私が愛してあげれば救われるのかな。

    2006-02-10 11:35:00
  • 465:

    柚子

    だけどもう…分かってたよ。

    ―誰かに心を奪われたまんま、優しい腕の中で恋をしてもその優しさを傷つけるだけ。
    それはすばるが教えてくれた後悔

    2006-02-10 11:37:00
  • 466:

    柚子

    だからもう二度と…私や誠汰朗、それにるぅ君にだって後悔はさせたくなくて、
    「ごめん…でもッ、私ね…」
    ―誠汰朗に会いたいんだよ。
    そう言おうとした

    2006-02-10 11:39:00
  • 467:

    柚子


    「うん、頑張ってね!」

    何も言っていないはずなのわたしに、るぅ君はそう答えていた。

    2006-02-10 11:41:00
  • 468:

    柚子

    「いいから行きな?僕ね『ゆなチャンが今から行くからね!』って、メッチャ張り切ってセイタローさんに電話しといたんだから!きっと待ってくれてるよ!!」

    るぅ君はそう話しながら、病院の前に止まっていたタクシーに私を乗せた。
    タクシーの運転手に、誠汰朗の家の住所を伝える彼の心の中が、どんなに傷ついていたかは私には分からなかったけど

    2006-02-10 11:58:00
  • 469:

    柚子

    タクシーが動きだしたその時に
    「ありがとう」
    そう伝えたくてガラス越しに彼を振り返ったら
    手を振っていたるぅ君が、初めて泣きそうな顔をしていたのが見えたんだ

    2006-02-10 11:59:00
  • 470:

    ?

    ?

    2006-02-11 01:07:00
  • 471:

    らいむのしぉり?

    2006-02-11 02:02:00
  • 472:

    名無しさん

    ユズさんいつも読んでるよ?この話好き?頑張れ?

    2006-02-11 11:58:00
  • 473:

    柚子

    >>らいむサン
    しぉり?ぁりがとぅゴザィマス(*′艸`*)中傷なんかに負けず、ここにはマタしぉりつけて下さいね (*^ー^)ノ
    >>474サン
    ぁりがとぅござぃます ( ´∀`)るぅパパの暴走が止められず、一人あせってぉりました(;□;)好きだと言って頂けたらスゴク励みになります((*^∪^*))

    2006-02-11 12:25:00
  • 474:

    柚子

    ━少年のカタチ━
    ―これもいつか、消えてしまうのだろうか?
    ベットにゴロンと転がると、ほんのりゆなの匂いがしてそんな事を思った。
    よくある香水や、彼女の煙草の匂いなんかじゃなくて、いつも飲んでたカフェオレの匂い

    2006-02-11 12:28:00
  • 475:

    柚子

    忘れられない人が誰でも一人はいたりする。
    それが彼女にとってすばるで、俺にとってのゆな…。
    だけど彼女は忘れようとしてくれていて、俺を好きでいてくれて
    わかってる、だから…どうしようもなく孤独なんだ。

    2006-02-11 12:29:00
  • 476:

    柚子

    追い掛けられない俺に、深い後悔と毛布の波が押し寄せる
    ただゼロに戻してやりたかった。
    すばるにすがりつく前の彼女に戻してやりたかった。
    ―「俺ってワガママなのかな…」

    2006-02-11 12:30:00
  • 477:

    柚子

    グチャグチャの毛布の波に飲み込まれ、ミノ虫みたいになった俺が独り言を言った時
    テーブルの上の携帯が鳴った。
    ―ゆな?
    そんな事を思わなかった訳じゃない。

    2006-02-11 12:31:00
  • 478:

    柚子

    だってこの時の俺は、ベットからテーブルまでを歩いた記憶がないくらい、ものすごく緊張していたから。

    ―…よく掛けてこれたな、ホントに。
    ディスプレイを確認して、期待はずれの電波の主に呆れながらも通話ボタンを押した。

    2006-02-11 12:34:00
  • 479:

    柚子

    「今どこですか?」
    唐突にそう切り出したのはるぅで、何だか脱力と言うか、ホッとしたと言うか…俺はそんな気分で、テーブルの周りをクルクルと回っていた。
    コイツが悪い訳じゃない、俺の機嫌が悪いのは自分の決断力のなさのせいだ。
    でもちょっぴり八つ当り…

    2006-02-11 12:35:00
  • 480:

    柚子

    「いまぁ?家や!つーか、お前さぁ無欠、当欠、無断早退!ホント首になるよ?俺助けないからな!」
    まぁ正直コイツは、罰金が売り上げを越えてるらしいよ?
    そんなるぅは俺の説教なんて基本無視。
    自分の用件だけを適切に伝えてくる。

    2006-02-11 12:36:00
  • 481:

    柚子

    「少ししたら、ゆなちゃんそっち行きますから!」
    テーブルの周りをまだ回り続けていた俺の足は、その言葉で止まった。
    「少しって…お前等一緒なん?どこ!?」
    彼女との細い細い糸は、どーにかまだ繋がっている。そんな風に思った。

    2006-02-11 12:37:00
  • 482:

    柚子

    「気になるなら自分で追い掛けりゃぁ良かったんですよ」
    生意気なガキはそう言って笑った。
    「…で、何で?」
    しかしまぁ、もっともな話に少し弱気な俺がいた。

    2006-02-11 12:42:00
  • 483:

    柚子

    「僕が追い掛けたんですぅ。すば君とこに居るって大体分かってたし。だから助けて下さいよ、クビ…」
    「やっぱり…」
    助けるかどうかはこれからの話次第
    ―ゆなはアイツと何をしてたんだ。

    2006-02-11 12:43:00
  • 484:

    柚子

    「勝手に勘違いしないで下さいよ。ゆなチャンはすば君と話付けに行ったんです。結局殴られちゃって…」
    格好悪いのは承知の上で聞いてください。
    「ちゃってってお前助けろよ!」
    なんて男の情けない台詞

    2006-02-11 12:44:00
  • 485:

    柚子

    「助けましたよぉー。本気だせばチョロイもん」
    そう言ってるぅが、フンと鼻で笑ったのが電話越しにでも分かった。
    チョロイそいつに殴られた俺は救い様がない。
    「でぇー病院連れて来てぇー、終わったらぁ、セータローさんち送りまっす!だから俺のクビなしですやん?ねっ?」

    2006-02-11 12:48:00
  • 486:

    柚子

    そんなるぅのふざけた口調を聞いていたら、何だか必死な自分が馬鹿らしく思えてきた
    「努力しますよ…でゆなの怪我は?」
    「自分で確かめて下さい」
    相変わらずの笑っている声だった。

    2006-02-11 12:50:00
  • 487:

    柚子

    言っとくけど俺だって、るぅの気持ちには何となく気付いてた
    じゃなくちゃ、コイツの行動に説明がつかないじゃないか。
    だけどるぅはそんな素振りをちっとも見せたりしないからさ
    もしかしたら勘違いなのかな?…と何度となくそう思っていた訳よ

    2006-02-11 12:54:00
  • 488:

    柚子

    「僕はセイタローさん好きですよ?尊敬できるし…何よりその堅い頭が父親にそっくりで(笑」
    そう言って続ける

    「だから僕は…ゆなチャンを諦めますね」

    2006-02-11 12:55:00
  • 489:

    柚子

    ―そうなんだよな。
    るぅが何かと俺等に絡んでくるのは、ゆなが好きだったから…
    そう考えれば妙に納得できる奇行の数々…

    2006-02-11 12:57:00
  • 490:

    柚子

    いつ好きになったのか?とか
    どこが好きになったのか?とか
    そんな事までは俺にも分からないけど…でも…

    2006-02-11 13:02:00
  • 491:

    柚子

    るぅが朝に晩にこの街をウロウロしてるのは
    ―同じ街に住む誰かに、偶然会おうとしているからなのかな?
    ってそんな風に思って…「ゆなに会った」と俺に電話して来たあの日
    その誰かが『ゆな』だったんだと気付いた

    2006-02-11 13:04:00
  • 492:

    柚子

    でもさぁ…こんな情けない男に、ゆなを譲ってくれたんだよな?
    なぁ、俺はアイツを守れるのかな?
    お前みたいにケラケラ笑いながら、知らん顔で愛せるのかな?
    「なぁ、お前愛してるってカタチ…どんなのか知ってるか?」

    2006-02-11 13:06:00
  • 493:

    柚子

    考えがたまたま台詞になってしまった…と言った方が正しい。
    だけどるぅは知ってる気がしたんだ
    「はぁ…カタチですか?」
    ちょっと不思議そうに言葉を繰り返し、答えたるぅ

    2006-02-11 13:09:00
  • 494:

    柚子

    「そんなんないっしょ!あはは!カタチって(笑!!やっぱ考え方がヤバイよね?23にもなると、やたら哲学に走るんすかねぇー?いやーちょっと恐いなぁ、そんな大人。つーかハゲますよ?セータローさん…。カタチって(笑!!」
    そんなむごい回答が返ってきた。
    人生最大級の悩みを、生意気なガキに「ハゲる」だ「オッサン」だと笑い飛ばされ
    傷心+傷心=すごく傷心な俺

    2006-02-11 13:23:00
  • 495:

    柚子

    そんな傷心ボーイの俺ができる仕返しと言えば…
    まだ笑いが止まらないるぅに
    「クビになると今月の給料出ないらしいーよ」
    と負け惜しみを言って、一方的に電話を切ってやる事くらいだった

    2006-02-11 13:27:00
  • 496:

    柚子

    ―確かにね、心も言葉も愛にだってカタチなんてない。
    だから恐くて俺達は、ちっぽけな指輪や薄っぺらな紙切れで、それを型にはめていくんじゃないか
    小さな頃は友達も恋人も、言葉だけで繋がっていられたのに
    ゴメンナサイと言うだけで仲直りだって出来たのに

    2006-02-11 13:33:00
  • 497:

    柚子

    るぅはカッコよくも、賢くもない言葉で俺とゆなを繋いでゆく。
    愛なんかにしがみつかずに。
    自分なんかにしがみつがずに。
    アイツは小さい頃のまんま、生きているんだろうな

    2006-02-11 13:34:00
  • 498:

    名無しさん

    ?500柚子?

    2006-02-11 17:53:00
  • 499:

    名無しさん

    2006-02-11 18:56:00
  • 500:

    柚子

    俺はもう一度携帯を開き、代表に電話を掛けた。
    ―今日のるぅの早退は俺のにしといて下さい。

    それがるぅへの「ありがと」

    2006-02-11 19:04:00
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