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俺ら、いくらで買ってくれますか?

スレッド内検索:
  • 1:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    ようやく夢に見たNO.1にのしあがった。今、あいつらは二人は今何やってるんだろう?
    紫苑、ヒカリ。
    たまには俺だって感慨深くなるさ。
    会いてぇな、お前らに。

    2005-11-09 22:42:00
  • 2:

    ?

    ファイト?

    2005-11-09 22:56:00
  • 3:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    強烈な個性でなく、身近に感じられる、お茶の間アイドルに近いのだろう。
    とっつきやすさと、人見知りしない性格も助けゆっくりではあったが、確実にお客とホスト仲間の人気を集めていった。
    ナンバーがあがるごとに風格も備わりだす。

    2005-11-09 23:06:00
  • 4:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    ホストを始め2年半、長かった下積みを乗り越えようやく称号を手にした。
    この店ではなく、この街の『NO.1』。

    2005-11-09 23:30:00
  • 5:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    人があふれる歓楽街の一等地。地下に導く階段を下りれば細かな細工の施されたシャンデリア、アンティークものだろうか重厚なグランドピアノ。そして50人を越える男たちが出迎える。『CLUB E'S』

    2005-11-09 23:38:00
  • 6:

    ?リんカ|?

    楽しみにしてます?頑張って?

    2005-11-10 01:36:00
  • 7:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    ?さん、?りんか?さんありがとうございます?
    また今から少し書き進めていきます?

    2005-11-10 03:10:00
  • 8:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    自分の私物をしまい込み、適当なテーブルに腰を下ろすとポケットの中からセブンスターを取り出し、火を点ける。
    重くてクセと甘味を感じながら灰の奥まで煙を吸い込んだ。
    「おはよう、トウヤ。今日は一人淋しく出勤か?」

    2005-11-10 03:22:00
  • 9:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    NO.2にして店長のカイだ。「俺はいつでもロンリーボーイさ、お兄さん」
    濃い煙を吐き出し、おどけながら言った。
    トウヤとカイは入店時期こそトウヤの方が早かったが、店で一番仲が良い。
    あえていうなら好敵手。ジャニーズのような美少年顔のカイは強敵だった。

    2005-11-10 03:32:00
  • 10:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    「まぁ今日も頑張ろうぜ?ロンリーボーイ」
    拳をぶつけ合い、カイはバックに戻って行った。
    タバコを灰皿に押しつけ、本日のメールチェック。
    …《今日、行ってもいい?会いたいょぅ…美沙子》
    美沙子はソープ嬢。

    2005-11-10 03:40:00
  • 11:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    カチカチ。
    …《だるいから店休んだ。でもトウヤには会いに行くねぇ?セリナ》
    セリナは銀座のホステス。早い時間に来そうなのはとりあえずこの二人…。すぐさまメールを打ち返す。
    その間にも数件の新規メールがトウヤの携帯に飛び込んでくる。
    マメにマメに。女を落とすためにはひたすらマメに。

    2005-11-10 03:46:00
  • 12:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    女はメールが好きだ。文字で愛を語り、絵文字で可愛くしめる。女たちはトウヤの愛とハートのつまったメールを保護し、まるで、その愛を確認するかのように何度も読み返す。
    だからこそ一通一通気が抜けない。
    返しても返しても、すぐさま降ってくるメールの嵐に追われていると、あっという間に開店時間だ。

    2005-11-10 03:52:00
  • 13:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    予想どおり、指名客一番乗りは美沙子だった。
    最近指名で通うようになった美沙子はこの辺りではそこそこ有名な子だ。雑誌も頻繁に登場してる。それにもう一つ、『初回荒らし』としても有名だった。
    初回でその店のナンバーワンを呼び付け品定め。気に入らなければ罵詈雑言を浴びせ、初回料金だけでホストに一気を強要する。

    2005-11-10 03:59:00
  • 14:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    厄介な女ということでも有名だった。
    美沙子が現われたのはほんの2ヵ月前のこと。噂どおりナンバーワン指名だ。
    しかし美沙子は現われたナンバーワンに拍子抜けした。

    2005-11-10 04:03:00
  • 15:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    たいがいの店では初回でナンバーワンを呼び付けたりすると、ダルそうにやってきた。お前、初回料金だけで俺を呼んでいいと思ってんの?せめてシャンパン一本俺に空けてから呼べよ。
    笑顔の裏からそんな声が聞こえてきそうだった。
    自信と金に溢れた彼らが嫌いだった。

    2005-11-10 04:08:00
  • 16:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    ここはこの街で100はあるだろうホストクラブの中で一番大きくて有名だ。そこのNO.1なんてどんな偉そうな奴かと思っていたら、かなり普通の男だった。
    クラスで一人はいるであろうお調子者、トウヤはそんな感じ。
    こちらのペースも関係なしにどんどんと話を振り、一人で盛り上がる。

    2005-11-10 04:14:00
  • 17:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    こっちのことなんかお構いなしだ。最初は警戒していた美沙子も、なんだか警戒している自分が馬鹿らしくなり思わず笑ってしまっていた。
    「美沙子ちゃん、笑うほうがかわいいじゃん!笑わないと福もやってこないよ〜」

    2005-11-10 04:17:00
  • 18:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    気付いたらトウヤのペースにすっかりはまってしまっていた。何を強要するわけでも、欲求するわけでもない彼をいつのまにか指名して、E'Sに通うようになった。仕事柄ストレスは計り知れない。いつ来ても底抜けに明るいトウヤに慰められている。

    2005-11-10 04:23:00
  • 19:

    名無しさん

    ????????????

    2005-11-10 05:59:00
  • 20:

    名無しさん

    見てます?早く続きみたい

    2005-11-10 19:12:00
  • 21:

    らむ

    らむの∪おリ+ニ゙ッちゃ?

    2005-11-10 20:31:00
  • 22:

    名無しさん

    なんかdeeploveホストのぱくりみたいな小説やな

    2005-11-10 22:41:00
  • 23:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    みなさんありがとうございます。         今から書いていきます。 >24さん        ディープラブとはまったく違った構成になってますので、よかったら見ていってください。

    2005-11-11 00:38:00
  • 24:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    「美沙子おはよ!今日は何のみたい気分?」
    美沙子の頭にポンッと手を乗せて顔を覗き込み、無邪気な笑顔でトウヤが尋ねた。
    「トウヤは美沙子に何飲ませたい??」
    毎回変わらない同じ質問。もちろん同じ返答はしない。

    2005-11-11 00:46:00
  • 25:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    少し考えた末、今日のドリンクをボーイに耳打ちする。ボーイが頷き、バックへ戻って行った。
    「何頼んだの??」
    「カムカム」
    「カムカム?何それ?新しいカクテルかなんか?」
    スッとボーイがやってきて透き通った赤いような黄色いような液体の入ったグラスを美沙子の前に置いた。

    2005-11-11 00:59:00
  • 26:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    美沙子が添えられたストローで一口飲んでみる。ほのかに甘く、酸味がありスッキリしていた。アセロラジュースに近いか。
    「カムカムってブラジルかどっかの果物らしいよ。アセロラジュースよりもビタミンが豊富なんだって。ちょっとお肌荒れ気味」
    そう言って美沙子の頬を軽くつねった。

    2005-11-11 01:06:00
  • 27:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    はっとして、思わず顔を手で覆い隠す。
    「トウヤ変なとこ細かく見すぎだよ!」
    最近確かに忙しくローションで肌が荒れがちだった。「疲れてんの?お姫さまは無理したらダメでしょ〜?疲れたときは俺の胸にカムカム」

    2005-11-11 01:33:00
  • 28:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    プッ…
    「トウヤ本当はそれが言いたかっただけじゃないの!?ほんとくだらない事ばっかり言うんだから…もうちょっと貫禄ある言葉をいいなさいよ」
    「永遠の少年には貫禄必要ないからね〜はぁーい、お疲れカンパイ!」

    2005-11-11 01:49:00
  • 29:

    とうや#

    ほんとに良く細かいところまで気がつく。
    新しいスカルプ、新色のグロス。
    お客より、店の女の子より、ちゃんと変化に気づいてくれる。

    2005-11-11 02:00:00
  • 30:

    トウヤ

    今からPCで書き込みさせてもらいます。
    ややこしくなってすいません。

    2005-11-11 02:04:00
  • 31:

    トウヤ#

    そんなトウヤに美沙子はどんどん引かれていった。
    しかし、そんな美沙子に気づいているのかいないのか、色めいたことを一切言ってこない。
    物足りなくはあったが、軽い口調とノリとは裏腹なそれが逆に安心だった。

    2005-11-11 02:10:00
  • 32:

    トウヤ

    「トウヤさん、失礼します…」
    ボーイがトウヤの横に来て耳打ちする。
    どうやらセリナが予定よりも早く到着したらしい。
    「美沙子ちょっといい子しといてな??」

    2005-11-11 02:13:00
  • 33:

    トウヤ

    「わかった。早く戻ってきてね」
    にっこりと笑顔を残し、トウヤはセリナが通されたテーブルへと足を速める。
    セリナは銀座で半年、というまだホステスとしては長くないが、財政界にも通じている大物のパトロンがいるらしく、かなりの太客だ。


    2005-11-11 02:18:00
  • 34:

    名無しさん

    おもろいからアゲ??

    2005-11-11 02:19:00
  • 35:

    トウヤ

    「セリ〜、ちょっと早かったな。そんなフェイントで俺を揺さぶろうって作戦か!?さすがやり手だ…」
    大げさなリアクション。
    セリナが笑うのと同時に横に滑り込み座る。
    「今日仕事休んじゃったの」
    「なんで?ヤな事あった?」

    2005-11-11 02:22:00
  • 36:

    トウヤ

    少しふくよかなほっぺを膨らましながらセリナはタバコを取り出した。
    すかさずライターで火をつけ、灰皿を用意する。
    「ママと喧嘩した…。だってね、トウヤ聞いて?ママったら、池田さんばっかりに売り上げたより過ぎだって言うの。他にもちゃんと新規客を捕まえたりしないとダメ!!って。いいじゃんねぇ?池田さん今月も100万以上お店で使ってくれてるんだよ?」

    2005-11-11 02:26:00
  • 37:

    トウヤ

    池田さんはセリナのパトロン。
    まだ今月始まって数日しかたっていない。このままのペースでいったら月に500万は落としていくんだろう。
    それにプライベートのお小遣い。プレゼント。
    セリナがそれだけ魅力的かどうかはさておいて、よほど気に入られてるらしい。

    2005-11-11 02:30:00
  • 38:

    トウヤ

    商売としていうと、太い客は確かにおいしい。
    他の接客に手を抜いてしまってもそいつがかぶってくれたら済む。だがそれをやってしまうと、その客が切れた時に痛い思いをするのは自分だ。
    太い客はあくまで宝くじ。
    細くても何本も客を持っているほうが最終的には自分のためになる。

    2005-11-11 02:33:00
  • 39:

    トウヤ

    だがそんなことは絶対に口に出さない。
    セリナは…いや女の子全般そんな説教じみたことは期待していない。しっかりと、優しく自分のこぼす愚痴を「うん、そうだね」と言って聞いて欲しいのだ。
    あくまで挟むのは相槌。
    これに徹する。

    2005-11-11 02:37:00
  • 40:

    トウヤ

    今夜も俺はイエスマンだ。
    「セリナは悪くないし……そう思うでしょ?トウヤも」
    「そうだな、セリナは悪くない。でもママも心配してくれてる、そうだろ?賢いセリナはそれくらい分かってるか。でもムカつくことはムカつくもんな」

    2005-11-11 02:41:00
  • 41:

    トウヤ

    同意して、少し反対し、最後に相手の意見を通す。
    これが聞くテクニック。
    同意だけじゃ本当に聞いているのか疑う。
    でも反対されたらムカつく。だれもお金を払ってムカつきたくはないし分かってることで説教されたくない。

    2005-11-11 02:44:00
  • 42:

    トウヤ

    だから最後にこうやってきっちり相手の意見を通してやるのだ。
    「トウヤはほんと優しいよね、ちゃんと話聞いてくれるし」
    素直なところはかわいいよ。
    心の中の声。

    2005-11-11 02:48:00
  • 43:

    名無しさん

    2005-11-11 08:47:00
  • 44:

    トウヤ

    >36さん ありがとう!
    >45さん 読みやすくしてくれてありがとう!
    今からまた書いていきます。

    2005-11-12 01:21:00
  • 45:

    トウヤ

    「ほんとトウヤはくだらない話とかでも馬鹿にせずにちゃんと話し聞いてくれるもん。セリナうれしい…」
    「はぃ、自分の悩み事をくだらないとか言わないの」
    セットされてない少し痛んだ栗色の髪の毛を、手ですくいながら微笑む。いっちょ上がり。
    セリナも満面の笑みを浮かべていた。

    2005-11-12 01:34:00
  • 46:

    トウヤ

    「ねぇトウヤ、しゅわしゅわしたの飲んでいい??」
    「ほほぅ、それはどのようなものですかなぁ〜姫様。お色は何色で?お姫様にお仕えする下僕の一人といたしましては、姫様の淡いくちびるのような桃色がよろしいかと」
    「もう!そうやって言われたら断れないじゃん、もぉぉしょうがないなぁじゃあピンドンで」
    今のこの勢いを逃さないように、すぐさまボーイを呼びつけ用意させる。

    2005-11-12 01:44:00
  • 47:

    トウヤ

    「ピンドンいただきやしたぁ〜〜!!」セリナの席の周りに続々とホストが集まりだし、E'S自慢のシャンパンコールがマイクを伝い広い店内に響き渡る。火蓋が切って落とされた。今宵もお姫様たちの夢の舞台が繰り広げられる。誰がお姫様の落としたガラスの靴を拾うか、若い男たちの熾烈な争奪戦。

    2005-11-12 01:51:00
  • 48:

    トウヤ

    今夜も客が引ききることはなく、すべての業務を終えて、一息つくころはすでに昼前。
    仕事を終え続々とホストたちが引き上げる。広い店内にはカイとトウヤだけになっていた。
    「ああぁあぁ、気持ち悪い…。最後のワインで悪酔いしたかなぁ…。」
    トウヤがへばることは珍しい。

    2005-11-12 02:11:00
  • 49:

    トウヤ

    「今日お前意味分からん一気しすぎだから」
    GPSの煙を吐き出しながら、ぐったりソファにへたり込むトウヤにカイが笑いながら言った。
    「おうよぉ〜せっかく手に入れた地位を取り返されたらたまんねぇよ。カイはジャニースでも入ってMステでも出てればいいだろ〜」
    「でもほんとお前よく頑張ってるよな。実際、俺抜かれると思ってなかったもん。入った当時はあんなにやる気なさ気だったのに。何かあった?お前を突き動かすスペシャルな出来事でも」

    2005-11-12 02:17:00
  • 50:

    トウヤ

    スペシャル…。
    あれは、ある意味悪夢で、そんでクソってほど大事な。
    一枚の写真も、お前らと過ごした事実を示すものなんてなんもないけど。
    でもあれは20歳の事実。


    2005-11-12 02:21:00
  • 51:

    トウヤ

    =2年前=
    俺はトウヤ。「山崎透夜」これが本名。
    親は知らない。昔からお世話になってるのは叔父の家だ。そこでは親の話は禁句。
    叔父らは気を使って育ててくれているのは分かったが、どこか一線引かれて育てられているという事位、子供でも分かった。

    2005-11-12 02:27:00
  • 52:

    トウヤ

    先輩のススメで、金融屋をやったり、軽い運びをしたり。
    ヤクザの下っ端のような危ない橋を渡っていた。
    それでも金回りは悪くなかったので、その年にしたら金を持っていたので先輩に連れられ、あるいは連れを誘っては繁華街を飲み歩いていた。

    2005-11-12 02:33:00
  • 53:

    トウヤ

    ↑上、文章おかしいですね。
    「金回りは悪くなく、」
    で読んでやってください。

    2005-11-12 02:34:00
  • 54:

    トウヤ

    その時出来た連れのひとりがホストをやっていたので、イレギュラーで俺も週の何日か出勤していた。
    金を持ち遊び歩いていた俺にとって、ホストという仕事は暇つぶし、や小遣い稼ぎでしかない。
    ただで酒は飲める。
    言い寄ってくる客は片っ端から喰える。

    2005-11-12 02:39:00
  • 55:

    トウヤ

    それはそれは楽しい暇つぶし。
    売り上げや、順位、そんなもの眼中にない。
    そのうちサイトで嫌ってほど叩かれだし、店にも白い目で見られはじめていたが、嫌になれば辞めればいい。
    俺には本職あるし??そんな気持ちでホストをやりだし4ヶ月がたった。

    2005-11-12 02:45:00
  • 56:

    トウヤ

    急に俺の身辺が慌しくなる。
    周りが次々パクられだしていく。
    昨日一緒に飲んでたやつがパクられた、と聞いた時は本当に血の気が引いた。
    さすがの俺もヤバイと思い出し、その街から離れたのだった。

    2005-11-12 02:49:00
  • 57:

    トウヤ

    流れ流れて、大きな大きな街にたどり着く。
    こんなに人が多ければ隠れる事も容易に出来るのではないかと思い、その街で暮らし始める。
    だが手元にはあまり金がない。
    こんな事なら飲みに行くんじゃなかったと後悔してもすでに遅い。

    2005-11-12 02:52:00
  • 58:

    トウヤ

    住み込みで働けて、金になる仕事。でも指名手配されているかもしれないから、堂々と働きにくい。
    悩みに悩んで考えついたのが、またホストという道。
    今から考えてみると、指名手配はされていなかたんだろう。
    でもそのときの俺は必死だった。

    2005-11-12 02:55:00
  • 59:

    トウヤ

    求人誌を隅々まで覗き込み、「ホスト募集」という欄を食い入るように見つめる。この街のことはまったく知らないからどこがいいのかさっぱりわからない。ぱらぱらページをめくっていくと、目が留まった。「CLUB E'S」

    2005-11-12 02:57:00
  • 60:

    トウヤ

    この街のことは知らなくても、名前を知っているほどの有名店。
    よくTVのドキュメンタリーでやっていた。
    その時は気にも留めてなかったが、自分の勘と、その知名度を信じ電話をして面接の約束を取り付けた。

    2005-11-12 03:00:00
  • 61:

    名無しさん

    ゃばぃ?はまた??がんばってね??

    2005-11-12 05:00:00
  • 62:

    名無しさん

    2005-11-12 11:10:00
  • 63:

    トウヤ

    65さん ハマっていただいてありがとう(笑)
    66さん 続き書いていくので、また読んでやってください!

    2005-11-13 01:03:00
  • 64:

    トウヤ

    電話をした次の日、着古したスーツを着込み俺は店に足を踏み入れる。広くて豪華な店内。さまざまな、でも男前のホストたち。
    空気に圧倒される。
    だが、ぶっちゃけ自信はあった。なんだかんだ言われてたが前の店でもTOP10には入っていたし、多少大きな店であっても基本事項は変わらない。

    2005-11-13 01:10:00
  • 65:

    2児のママ

    ゥチの次男トゥヤ(冬哉)ってゅぅ名前?応援してるから頑張って(^O^)v

    2005-11-13 01:17:00
  • 66:

    トウヤ

    俺を面接してくれたのは当時店長をしていたシンゴさん。
    簡単な経歴や目標を聞かれ、寮に入ることもすぐ許可された。なんだ大きい店だから面接ももっと厳しいかと思ってたけどめちゃくちゃ楽勝。
    こんな店だったらちょっとまじめにやればすぐある程度金も入ってくる。

    2005-11-13 01:24:00
  • 67:

    トウヤ

    そんな俺の考えが読めているかのようにシンゴさんが口を開く。
    「うちは来るもの拒まず、去るもの追わずだから。まぁ頑張ってみたら?ただうちの名前を落とすようなことがあればすぐ切るから。まぁ頑張って?」
    そう言って席を立たれた。
    そんな言葉俺には届かない。その日のうちに寮に荷物を運び、次の日から仕事に入った。

    2005-11-13 01:29:00
  • 68:

    トウヤ

    予想していたキャッチもない。
    週末のためか店は忙しく、ヘルプにつきっぱなし。
    バタバタしてすぐに過ぎていく。

    2005-11-13 01:31:00
  • 69:

    トウヤ

    >2児のママさん
    応援ありがとうございます!
    でもトウヤに下手なことさせられないですね(笑)

    2005-11-13 01:33:00
  • 70:

    トウヤ

    E'Sに入って1週間。何かが違う。全然指名されない。それどころかヘルプについても鼻で笑われることが多い。下手すりゃ口すら利いてもらえない。なんでだ??

    2005-11-13 01:35:00
  • 71:

    トウヤ

    先輩のホストたちは何も言わない。
    こっちに危害を加えることもなければ、こっちに興味を持って世話を焼くわけでもない。
    トウヤから話しかけなければ、話も振られない。

    2005-11-13 01:37:00
  • 72:

    トウヤ

    自力で指名を取れるようになるまではE'Sの一員とは認められない、そんな空気が漂っていた。意味が分からない。普通新人が入ったら世話とか焼くもんだろ!?なんだこの店は…。まるで俺はいないものかのように扱いやがって。

    2005-11-13 01:40:00
  • 73:

    はまりました??楽しい??頑張って下さい??

    2005-11-13 05:23:00
  • 74:

    憂奈

    頑張れ???゛

    2005-11-13 06:13:00
  • 75:

    みお

    おもしろいですよ〜!!

    2005-11-13 16:03:00
  • 76:

    ????????????????????????

    2005-11-14 11:59:00
  • 77:

    名無しさん

    ????????????

    2005-11-14 13:36:00
  • 78:

    名無しさん

    2005-11-14 14:45:00
  • 79:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    みなさんアゲてくれてありがとうございます!
    いま少しバタバタしてるので落ち着いたら書かせてもらいます。
    待っていてくれた人本当にすいません。
    完結させますので、少しの間待っていてください。

    2005-11-14 21:57:00
  • 80:

    憂奈

    待ってまぁす?

    2005-11-15 17:04:00
  • 81:

    トウヤ

    時間出来たので、少しだけ書いていきます。しかし言ってもまだ一週間。焦ってもしょうがない、一ヶ月もするころには仕事も覚えなんとかE'Sにもなじめてくるだろう。そう思っていた。

    2005-11-15 19:32:00
  • 82:

    トウヤ

    だが一ヶ月後も自体は変わらない。指名もない。さすがに焦りが生じてくる。
    トウヤの少し後の入ったカイは、今までにどこかでホストをしていたらしく、もうすでに何人かの指名客を持っていた。
    …このままじゃカッコもつかねぇ…。
    何か自分で行動を起こさないと、まずいよなぁ。

    2005-11-15 19:35:00
  • 83:

    トウヤ

    そう思いみんなより早起きし、街頭キャッチを始める事にした。
    「すいませ〜ん、今時間あります??」
    「・・・」
    「仕事から帰るの?どっか遊びに行くの?
    「・・・」

    2005-11-15 19:37:00
  • 84:

    トウヤ

    ナンパには自信があったトウヤだがことごとく素無視される。
    この街では、返事を返すなり笑って断るなり、そんな愛想もクソもないのか!?
    毎日毎日路上に立つが、成果は一向に上がらない、よくて電話番号を聞き出せるだけだ。

    2005-11-15 19:39:00
  • 85:

    トウヤ

    俺、ホスト無理なのかもな…。
    来る日も来る日も失敗の連続。今日も休みの日を割いてキャッチをしている。さすがに落ち込んで、街の片隅でしゃがみ込んでいた。
    季節はもうすぐ冬だ。
    深夜になると少し息が白くなる。

    2005-11-15 19:42:00
  • 86:

    トウヤ

    タバコをあまり星の見えない空に向かって吐き出す。
    東京は甘くねぇ…かぁ。
    吐き出し、正面を向くと女が一人しゃがみ込んでこちらを向いている。
    「うわぁって、びっくりした〜!!どしたの!?」

    2005-11-15 19:51:00
  • 87:

    トウヤ

    不意のことで驚き、思わず意味の分からない声を出してしまった。
    「・・・タバコ、セッタ??一本くれへん?」
    「関西弁…はじめて聞いた!!すげぇなぁ!儲かりまっかぁとかいうんだろ!?」
    タバコを差し出し、初めて関西弁に少し興奮しながら答えた。

    2005-11-15 19:55:00
  • 88:

    トウヤ

    「ありがと、ってかそんなん言わへんしな。日曜やのにキャッチ?仕事めっちゃ頑張ってんなぁ」
    そういうと、黙って火をつけ、重いタバコを灰に入れていく。
    暗めの茶髪。お姉系の服。落ち着いた声と喋り口。
    「そうだよ。東京は厳しいからなぁ、全然指名とか取れないしさ。カッコつかないだろ??ちょっとは頑張らないとさ」

    2005-11-15 20:00:00
  • 89:

    トウヤ

    わざわざこんな事言うこともなかったが、その落ち着いた口調に思わず本音が口をついた。プライベートで誰も喋る相手もいなかったし、ストレスもたまっていたのだろう。
    「大変やでぇ、こんな混沌とした街で生き延びるのは。誰を信じたらいいのか、何を生きる糧にしたらいいのか、それを見つけることもしんどいしな」
    細く長い指で、汚い地面に灰を落としながら女は言った。

    2005-11-15 20:12:00
  • 90:

    トウヤ

    「女の子一人でこんな場所いたら危ないよ??待ち合わせでもしてるの?こんな時間から。」
    すでに時刻は深夜二時を過ぎている。日曜のため人影もまばらだ。
    「せやで〜。友達が一人仕事終わってもうすぐ来るねん。あんたも暇やったら一緒に飯でも食いにいくかぁ?金とかは心配せんでもええしさ」

    2005-11-15 20:21:00
  • 91:

    トウヤ

    タイミングを見計らったかのように、彼女の携帯から着メロが鳴り響いた。
    「もしもし??あんた遅いわ!なんかなぁ、一人オス犬拾ってんかぁ!飯連れてって言いやろ〜?うん、わかった。待ってるなぁ」
    「いやいや、オス犬って、お姉さんそりゃあんまりだよ」
    電話を切ると同時に爆笑してしまった。

    2005-11-15 20:27:00
  • 92:

    トウヤ

    「あんた犬っぽいやんか、普通に。拾われて感謝せなあかんで!」
    彼女も笑い返す。微笑んだ顔は少しタレ目でふっくらした厚い唇がかわいかった。
    「あっ、紫苑!ここやで!」
    彼女が勢いよく立ち上がり、手を振った。

    2005-11-15 20:30:00
  • 93:

    トウヤ

    紫苑かぁ…綺麗な名前だなぁ、なんて思いながらトウヤも立ち上がり、彼女が手を振った先に視線を向ける。
    視線の先には思わず息を呑んでしまいたくなるほど、華奢で、綺麗で、一目見ただけで人を釘付けにいてしまいそうな、男がいた。
    「それが噂の子犬ちゃん〜?男前じゃん。いい拾い物したねぇヒカリ」
    男がすたすたこちらに近づいて、よぉ、と手を上げ笑いかけてきた。

    2005-11-15 20:37:00
  • 94:

    トウヤ

    絶世の美男、紫苑。
    関西弁の女、ヒカリ。
    この二人が俺の人生をああも引っ掻き回すなんて、このときの俺は全然思いもしなかった。

    2005-11-15 20:39:00
  • 95:

    名無しさん

    ????????????

    2005-11-15 23:10:00
  • 96:

    名無しさん

    ?00(*´・д)(д・`*)ネー

    2005-11-16 00:54:00
  • 97:

    ????????????????????????

    2005-11-16 01:44:00
  • 98:

    名無しさん

    ?????

    2005-11-16 16:08:00
  • 99:

    名無しさん

    2005-11-16 16:40:00
  • 100:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    みなさんあげてくれてありがとうございます★
    少しですが更新していきます!

    2005-11-18 03:06:00
  • 101:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    どこにいくかと着いて行ってみると、有名ななクラブだった。SPに目配せし、紫苑がずんずん奥に進んでいく。
    ヒカリも物怖じしていない様子から何度も足を運んでいることがうかがえた。

    2005-11-18 03:09:00
  • 102:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    フロアをあがり、一番奥に進んでいくと防音ガラスで仕切られたVIPルームになっていた。
    大きくやわらかそうな白いソファに紫苑とヒカリがどかっと座る。
    「何つっ立ってるの?早く座りなよ」

    2005-11-18 03:13:00
  • 103:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    紫苑にうながされて、あわてて席についた。
    「これはこれは、いつもありがとうございます」
    黒服の男が頭を深々と下げにくる。ネームプレートにば支配人"の文字。
    「お腹すいてるし、なんか適当に持ってきてよ」

    2005-11-18 07:59:00
  • 104:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    ガラスが防音になっているので、外の喧騒はあまり伝わってこない。
    日曜なのにかかわらずフロアのなかは人で溢れかえっている。
    トウヤはガラス越しに人々の熱気をぼーっとみていた。

    2005-11-18 08:06:00
  • 105:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    「お待たせいたしました」次々とテーブルに料理が運ばれてくる。
    シャンパンが抜かれ、各々の前にグラスが並べられた。
    「んぢやぁ、よい拾い物をした記念に乾杯でもしようか」

    2005-11-18 08:25:00
  • 106:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    乾杯を交わし、出された料理に箸を付ける。キャッチをずっとしていて何も食べていなかったのに今気付いた。
    うまいなぁ〜コレ…。二人に目をやるとなごやかに会話している。ふと疑問がよぎった。

    2005-11-18 14:44:00
  • 107:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    こいつらはいったい何者なんだろう?若いのにこの待遇、この羽振り。
    同じ業界か?それとも…?「子犬たんどぉしたぁん、うちらの顔じっと見て。言いたい事あったらはっきりいいやぁ!」
    視線に気付き、ヒカリが言葉を投げ掛けてくる。

    2005-11-18 14:48:00
  • 108:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    「じゃぁ聞くけどお前ら一体…」「何者なんだ?って聞きたかったんでしょ」
    トウヤから言いおわる前に紫苑が言葉を遮った。
    心を読み透かされた気分になり少し恥ずかしくてうつむいてしまう。

    2005-11-18 14:53:00
  • 109:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    「そうだね、自己紹介もまだだった。子犬君からまずしてよ、いいだろ?」二人の視線に見つめられ、気まずいながらも口を開く。「…俺はトウヤ。山崎透夜。いろいろあって今E'Sっていうとこでホストをしている…」簡単に今までの経緯を話す。

    2005-11-18 14:58:00
  • 110:

    名無しさん

    ????????????????????????

    2005-11-18 15:56:00
  • 111:

    ぉまめ ◆X/l2UzVPhE

    感想ありがとうございました☆しおり☆

    2005-11-18 16:44:00
  • 112:

    名無しさん

    2005-11-18 17:51:00
  • 113:

    あぃか ◆IzbMcnjBBo

    今日初めて見て一気に読んだょ??
    すごぃおもしろぃっ??時間ぁる時ゅっくりでぃーから、頑張って完結させてなぁ??

    2005-11-18 20:36:00
  • 114:

    トウヤ

    皆さん上げてくれて感謝します!
    本当にマイペースになりますが、頑張ります。

    2005-11-19 13:43:00
  • 115:

    トウヤ

    「…っていう感じかな。二人はどうなんだ?俺いきなりだし、名前も聞いてないしさ。いきなりこんなVIP待遇で正直驚いてるっつーか」
    「そら〜そうだよね〜んじゃヒカリ次してよ」
    常に微笑を絶やさぬ紫苑がシャンパングラスを回しながら言った。

    2005-11-19 13:54:00
  • 116:

    トウヤ

    食べていたパンを飲み込み、ペリエで流し込むと立ち上がる。
    「あたしはヒカリ。分かると思うけど、大阪生まれやねん。まぁなんでこっち来たかはさておき。ん〜仕事?なんて言うたらええかあんま分からんけど、さくっと言うと個人SMやってるねん。店舗ととかには属してなくて…村上隆のトパーズって本読んだことない?まぁ簡単に言うと個人契約のSM嬢ってやつやな。あっ、引いた?普通の人やから大丈夫やで」
    と一気に言い切った。

    2005-11-19 14:05:00
  • 117:

    トウヤ

    「S…M…」
    突然のことに言葉がすぐに紡げず、一瞬沈黙。
    「…あはははは!!ほら、ビックリしてるよ!ヒカリ。あんま普通の人を驚かせたらダメだろ〜??」
    「だってさぁ、それ以外説明できんくなぁい??」

    2005-11-19 14:13:00
  • 118:

    トウヤ

    「もっとオブラートに包んでやさし〜くまろやかに説明しなよ」
    「もぉイイって!はい次紫苑!」
    「ただいま紹介に預かりました、僕が紫苑。もう名前は分かるよね。僕の仕事は愛人さ。男でも女でも飼ってくれる人なら誰でも飼われる。言うなればペット業だね」

    2005-11-19 14:17:00
  • 119:

    トウヤ

    頭がくらくらしてきた。
    俺もたいがいまともじゃない生活をしてきたつもりだが、この二人は何でこんな爽やかに、こんな激しい職業を暴露してるんだ。
    「みてみて、ヒカリ。トウヤ君本気で困ってるじゃん」

    2005-11-19 14:27:00
  • 120:

    トウヤ

    「ヒカリより、あんたのほうが困らしてるんちゃうん?あ、ちなみにトウヤはいくつなん?」
    「あっ、俺は今年20歳だけど」
    「ほんと〜??僕ら三人とも同い年じゃん。奇遇だね〜せっかくだし、トウヤ君家おいでよ。僕ら一緒に住んでるんだ。ルームメイトってやつ」

    2005-11-19 14:32:00
  • 121:

    トウヤ

    「どうせ今ホストの狭い寮にでも住んでるんだろ?部屋余ってるし。トウヤ君悪いやつじゃなさそうだしね。こういうのも何かの運命だと思わない?」
    「ほんまやなぁ!みんなで住もうや。みんなですんだら楽しいで?いいやろトウヤ」
    いったい何がどうなってこういう展開になってしまったんだ?まだ会って2時間ほどしか立ってないのに。
    「いや、いいやろっていうか…。なんで俺にそんなこというの?ってよりなんで俺にそんな気を掛けてくれるんだ?」

    2005-11-19 14:37:00
  • 122:

    名無しさん

    2005-11-20 01:07:00
  • 123:

    名無しさん

    おもろい??頑張って下さい〜??

    2005-11-20 12:09:00
  • 124:

    名無しさん

    ????????????????????????

    2005-11-20 13:19:00
  • 125:

    名無しさん

    ????????

    2005-11-20 15:30:00
  • 126:

    トウヤ

    見てくれている人ありがとうです★
    エラーなるかもしれませんが書けるだけ書いていきます!

    2005-11-21 02:52:00
  • 127:

    トウヤ

    紫苑とヒカリがビックリしたような顔こちらを見る。
    そしてふいにヒカリが言う。
    「んじゃあ、トウヤはなんで得体の知れないあたしらに着いて来たん??」
    「それは…」

    2005-11-21 14:34:00
  • 128:

    トウヤ

    思わず言葉に詰まる。
    「なんて言うか。なんとなく着いて行きたくなったっつーか…?難しいことはよくわかんないんだけど。直感みたいな感じかな」
    「やろ?あたしもそうやもん。物事に理由とかいらんくない?なんも感じやんやつをご飯に誘ったり、ましてや紫苑が一緒に住もうとかいわへんやん。なんか感じるものがあって、お互い何か感じて、引き寄せられてるからここにこうやっておるんちゃうんかな」

    2005-11-21 14:48:00
  • 129:

    名無しさん

    2005-11-21 14:52:00
  • 130:

    トウヤ

    紫苑が付け合せのチェリーを口に頬張りながら頷いた。
    「そういうことだよ、トウヤ君。まぁ家の件はどちらでもいいよ、強制できることではないし、いきなりの話だしね…」
    「いや、俺一緒に住むよ!!」
    自分でもビックリするほど大きな声。俺はとっさに言ってしまった。

    2005-11-21 14:58:00
  • 131:

    トウヤ

    何も考えず、それこそ直感で。
    こいつらに何を感じたのか自分でもよく分からなかったが、なんとなくこいつらと一緒にいたい気がした。打算も何もなく。
    「ほんじゃあ、決まり!!荷物とかほとんどないんでしょ!?今から引越ししようよ」
    「まぁじで!?今から!?しゃーないなぁ…よっしゃ、ほなやろかぁ〜」

    2005-11-21 15:03:00
  • 132:

    トウヤ

    俺に発言権はないらしい、どんどん話が進み、その日の2時間後のは俺は紫苑とヒカリが暮らすマンションに座っていた。
    彼らが住むマンションは都心のど真ん中。
    広さは半端ない。
    最近テレビで見た、「社長のゴージャスマンションライフ特集」にでていた家のようだ。

    2005-11-21 15:11:00
  • 133:

    トウヤ

    大きくとられた窓からは眠らぬ街の光が輝いている。
    もう少ししたら、ビルの間から朝日が昇って綺麗なのだろう。
    「トウヤ君、ドンキでいろいろ買ってきたから、あとは自分でコーディネートしなね〜、なんかあったら部屋きて」
    そういい残し部屋の扉が閉められた。

    2005-11-21 15:14:00
  • 134:

    トウヤ

    もともとゲストルームであっただろう部屋のベッドに突っ伏してみる。
    かなりフカフカだ。寮の薄っぺらな布団とは全然寝心地が違うな…それにしても今日はなんだかいつにもまして濃い一日だった…。
    そんなことを考えているうちにいつの間にかトウヤは眠りに着いた。

    2005-11-21 15:17:00
  • 135:

    トウヤ

    次の日、いつものように出勤し、仕事にかかる。でも今日はいつもとは違っていた。
    「トウヤさんVIPルームにお客さんがいらしてます」
    VIP??お客もいない俺が何でVIP?
    不思議に思いながらVIPに向かうとその光景に唖然とする。

    2005-11-21 15:21:00
  • 136:

    トウヤ

    見た顔が一人、といかにもお金持ちそうなマダムが2人。
    紫苑が微笑みながら手を振っていた。
    「来ちゃったよ〜あはは、ビックリしすぎだから」
    「ああっと、いらっしゃいませ、トウヤです!お席失礼します」

    2005-11-21 15:23:00
  • 137:

    トウヤ

    あっけにとられつつ、席に座る。
    「お前…なんで??」
    「仕事中のトウヤ君を見とこうと思ってね〜。ちなみにこの彼女は僕のご主人様の京子さん。そちらにいらっしゃる美人さんは麻美さん。貿易会社の代表をされてるんだ。」
    「はじめまして、トウヤ君。うちの紫苑と仲良くしてくれてるんだって?紫苑に一度会わせたいって言われてね、お邪魔しに来ちゃったわ」

    2005-11-21 16:02:00
  • 138:

    名無しさん

    リアルタイム更新中やん?今日一気に読みましたぁ?おもしろぃ?頑張れぇ?

    2005-11-21 16:05:00
  • 139:

    トウヤ

    余裕のある緩やかな喋り口。
    年は両方とも40を過ぎたくらいだろうか、上質な仕立ての服。金のかかった肌、指には大きな宝石が輝く。
    「いえ、紫苑君には僕のほうこそお世話になってます。こんな美しい女性にお会いできて光栄ですよ」
    作り笑顔でにっこり微笑んだ。

    2005-11-21 16:08:00
  • 140:

    トウヤ

    >>142さん
    ありがとうございます★
    リアルタイムは緊張しますね〜笑

    2005-11-21 16:09:00
  • 141:

    トウヤ

    「ふふ、若い子は元気があってかわいいわね。京子が紫苑君にハマってる理由が分かるわ。こちらまで元気になりそうだもの。みんなで乾杯しましょうか。トウヤ君このお店のお勧めのシャンパンかワインあるかしら?」
    「今すぐリストを持ってこさせますね!麻美さんはワインがお好きなんですか?」
    ボーイにリストを持ってこさせると京子と麻美に良く見えるようにおく。リストを見ながら麻美と京子はどれにするか話し合ってるようだ。
    「ここの席の売り上げはトウヤ君のお給料になるのよね?それならちょっといい物を頼んであげるわね」

    2005-11-21 16:15:00
  • 142:

    トウヤ

    そういうと麻美はこちらにチラッと視線を送った。
    「あら、麻美トウヤ君のこと気に入っちゃったんじゃないの。トウヤ君、しっかり麻美にかわいがってもらいなさいな」
    「やだ京子ったら、こんなおばさん相手にするわけないじゃないの」
    「なんでそんな事言うんですか、麻美さんお綺麗なのに…」
    「そうそう、っていうか麻美さんと同い年の京子さんとラブラブの僕に失礼じゃないですか〜!!」

    2005-11-21 16:20:00
  • 143:

    トウヤ

    アハハ…とVIPルームに笑いが巻き起こる。
    「それじゃこのシャンパンと、ワインを。それとチーズと生ハムの盛り合わせもいただけるかしら」
    「よろこんで!」

    2005-11-21 16:22:00
  • 144:

    トウヤ

    その日京子と麻美は結局100万近くを使って帰って行った。営業終了後店長のシンゴが声をかけてきた。初めての事だ。「トウヤやるなぁ!この調子で頑張れよ。お前もこれでE'Sの一員だな。よろしく頼むよ」ぶっちゃけちょっとうれしかった。自力ではないものの、こうやってお客さんが来てくれて、自分がホストとして認められたんだ。

    2005-11-21 16:28:00
  • 145:

    トウヤ

    来る日も来る日もキャッチに明け暮れ、まともに相手をされない日々が報われた気がした。
    適当にやってたときとはまったく違う。ほんとに叫びだしたいくらいうれしかった。

    2005-11-21 16:30:00
  • 146:

    名無しさん

    2005-11-21 17:34:00
  • 147:

    ??

    みてまぁす??

    2005-11-21 19:04:00
  • 148:

    名無しさん

    あげ?

    2005-11-21 22:48:00
  • 149:

    ?

    書いて???

    2005-11-23 16:59:00
  • 150:

    名無しさん

    おもろい??はまった?頑張ってください?

    2005-11-23 17:41:00
  • 151:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    遅くなってすいませんでした!
    今からまた書いていきます。

    2005-11-24 01:38:00
  • 152:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    仕事が片付くとすぐさま、新しい我が家に足を進める。
    とにかく今は紫苑に礼が言いたくてしかたない。
    あいつ腹減ってるかな…。なんか買っていってやろうか…。

    2005-11-24 01:41:00
  • 153:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    舌の肥えている紫苑が、安物の牛丼で満足するかはさておき、何かせずにはいられない。
    290の牛丼を二つ買い、急いで家路についた。

    2005-11-24 01:43:00
  • 154:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    手渡された合鍵をかざし、オートロックの扉を開ける。
    「紫苑?いるかぁ?牛丼買ってきたけど食う…?」
    返事が帰ってこない。

    2005-11-24 01:46:00
  • 155:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    まだ帰ってきてないのか?紫苑の部屋をノックしても、広い部屋に音が響くだけだった。
    「あ〜誰かと思ったらトウヤやん。おかえり。あんたただいまくらい言うて入りぃやぁ」

    2005-11-24 01:49:00
  • 156:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    パジャマにすっぴんのヒカリが横の部屋から顔を出す。
    「まだ紫苑帰ってきてない?今日店来てくれたから、牛丼買ってきたんだけど」

    2005-11-24 02:04:00
  • 157:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    「紫苑ならあのおばはんとこやろ。トウヤんとこでなんぼつこうたんか知らんけど。ちゃんと礼言うときな」
    ふぅ、と息を吐きしらけたようにヒカリが言う。

    2005-11-24 02:08:00
  • 158:

    名無しさん

    2005-11-24 03:02:00
  • 159:

    さく

    続き楽しみにしてます

    2005-11-24 05:31:00
  • 160:

    名無しさん

    ぁげ

    2005-11-25 02:12:00
  • 161:

    名無しさん

    2005-11-25 06:34:00
  • 162:

    名無しさん

    アゲ

    2005-11-25 11:43:00
  • 163:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    また書けるだけかいていきますね!
    待ってくれていた方、ありがとうございます。

    2005-11-26 00:23:00
  • 164:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    「そんなん、紫苑の顔みたらわかるやろ?あの顔やで。紫苑っていくらか知ってる?」
    いくら?というヒカリの言葉に考え込んでしまう。

    2005-11-26 00:27:00
  • 165:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    E'Sは一番安い席の一時間セット料金が8000円。指名料は2000円。TAXを置いておくと、トウヤ一人を呼ぶのに一万円、という料金になる。

    2005-11-26 00:35:00
  • 166:

    さく

    ちょこっと更新?また続き頑張って下さい?

    2005-11-26 04:41:00
  • 167:

    名無しさん

    むっさおもろい頑張って???作り話ですか??

    2005-11-26 07:43:00
  • 168:

    さく

    あげときます

    2005-11-26 16:33:00
  • 169:

    名無しさん

    ????????????????????????

    2005-11-26 18:06:00
  • 170:

    名無しさん

    楽しみにしてます

    2005-11-27 15:07:00
  • 171:

    さく

    あげときます

    2005-11-28 02:39:00
  • 172:

    トウヤ

    みなさん遅くなって申し訳ありませんでした。
    ちなみにこれは作り話ですよ〜。
    すべてフィクションになります★

    2005-11-29 06:21:00
  • 173:

    トウヤ

    「いや全然想像がつかないな…」
    どういう仕組みで金銭のやり取りがあるのか。半分興味もあった。
    「紫苑はな、値段がないねん」
    「値段がない?どういういみか分かんないんだけど」

    2005-11-29 06:24:00
  • 174:

    トウヤ

    「トウヤ愛人クラブとかって分かる?月契約とか、時間契約でいくらって決めて契約するねん。紫苑のところはたしか1時間3万くらい。でも、あの子は人気がありすぎてそういう価値がつけられへんねんて」
    たしかにあの容貌だ。
    「だとしたらどうやって…」
    「金額は時価。つまり、オーナーと紫苑が向こうの提示額に応じれば成立。その7割が紫苑の給料ってわけ」

    2005-11-29 06:32:00
  • 175:

    トウヤ

    自分の部屋に戻り、タバコをふかしながら紫苑のことを考えていた。
    愛人だ。ホストではない。そりゃホストだって自分の力量がなければ、嫌なお客とベッドを共にしなければならないときもあるだろう。
    だかそれは自分の腕次第だし、この世界やらずぼったくりだと最近悟ったところだ。
    なぜどんないやな客でも肌を触れ合わす仕事を紫苑が選んでいるのか、トウヤには分からなかった。

    2005-11-29 06:40:00
  • 176:

    トウヤ

    同居生活も2ヶ月近くになり、だんだんあの馬鹿でかいマンションにも慣れてきた。
    紫苑はあいかわらずいるのかいないのか生活のリズムが合わなかったし、女だから…と最初心配していたヒカリに関しても、向こうが普通に接していてくれているおかげでこちらも気を使わずにすむ。
    そんなある日、疲れた身体を引きずりながら朝方家に帰ると、いつも閉まっているはずのドアが開いていた。

    2005-11-29 06:56:00
  • 177:

    トウヤ

    不思議に思いながらドアを開く。
    玄関には女物の靴。
    ヒカリが帰って来て閉め忘れたのだろうか??
    「ヒカリ〜??帰ってるのか?」

    2005-11-29 06:58:00
  • 178:

    トウヤ

    返事がない。
    まぁ部屋で寝てるのかも知れない。さすがに部屋まで入っていくわけにもいかない。
    とりあえずシャワーでも浴びようと風呂場に入った。

    2005-11-29 07:03:00
  • 179:

    トウヤ

    ドアを勢いよく開けると、大きな全身鏡の前に裸体の女。
    伸びやかな四肢。長く伸びた艶やかな髪。
    と見とれている場合じゃない。
    「ヒカリっ!!!鍵くらい閉めとけよ!!…って…え…?」

    2005-11-29 07:10:00
  • 180:

    トウヤ

    視線を床に落とすと、足元にも流れてくる赤い液体。
    「血…?…ヒカリ…?」
    急いでヒカリにもう一度視線を戻す。
    よく見ると体中に無数の傷跡。みみずばれになっているものも多く、最近のものだと分かる。

    2005-11-29 07:15:00
  • 181:

    トウヤ

    トウヤに気づいたのか、ヒカリが振り返った。
    「トウヤ…お帰り?どうしたん?」
    「いやどうしたってお前…血が…」
    振り返ったヒカリの手には血のついた剃刀。胸部の切り傷からは赤い生生しい血が流れ出している。

    2005-11-29 07:25:00
  • 182:

    トウヤ

    生々しい血と裏腹にヒカリの目はうつろだった。
    どこを見ているのか、視点があっていない。
    言葉もどこか間延びして、ろれつが回っている感じではなかった。

    2005-11-29 07:30:00
  • 183:

    トウヤ

    喧嘩で血は見慣れていたが、こんな正気の状態で見るのは初めてだ。
    気が動転する。
    とりあえず、止血しないと…!!
    と、思った矢先にヒカリの体が崩れ落ちた。

    2005-11-29 07:32:00
  • 184:

    トウヤ

    「ヒカリッ!!!!」
    急いで抱きかかえる。
    ぐったりと力なく寄りかかるヒカリをソファまで運び、急いでジーンズの後ろポケットから携帯を取り出し、紫苑の欄を探す。
    プルルルル…プルルル…。

    2005-11-29 07:35:00
  • 185:

    トウヤ

    コール音がやけに長く感じる。
    「もしもし〜??」
    30秒ほどならすと紫苑がいつもの声で電話に出た。

    2005-11-29 07:36:00
  • 186:

    トウヤ

    「紫苑!!ヒカリが…ヒカリが…」
    何から説明していいのか分からない、頭がショートしてしまったみたいだ。
    「何かあったの?今家に帰ってる途中だよ。後10分かからないくらいじゃないかな」
    深呼吸を何度かし、息を整えてから説明する。

    2005-11-29 07:39:00
  • 187:

    トウヤ

    「分かった。急いで帰るから。とにかく止血しといてね!」
    電話を切るなり、タオルを取りに行き患部に当てる。
    そうこうしているうちに紫苑が家に帰ってきた。
    「ヒカリは?血は止まった?」

    2005-11-29 07:41:00
  • 188:

    トウヤ

    紫苑がトウヤの代わりにヒカリの身体に触れる。
    「こりゃ大量だな。トウヤ、救急車!」
    救急車なんて呼ぶのは初めてだ。
    もうわけがわからない。

    2005-11-29 07:42:00
  • 189:

    トウヤ

    トウヤが少し落ち着いたのは緊急外来の待合室だった。
    ヒカリは今処置を受けている。
    医者の話によると、傷口は深いものの命自体には別状はない、とのこと。
    それを聞いて一気に力が抜けた。

    2005-11-29 07:44:00
  • 190:

    トウヤ

    かれこれ2時間になるだろうか。
    トウヤも紫苑も口を開かない。
    重苦しい空気が流れるだけだった。

    2005-11-29 07:49:00
  • 191:

    トウヤ

    その空気を破るかのように紫苑が口を開く。
    「なんか喉渇いたね〜病院って乾燥してるのかな、なんか飲む?」
    「ああ、なんか買いに行こうか」
    二人で自販機のあるロビーまで移動し、トウヤはコーヒーを、紫苑はオレンジジュースを飲んだ。

    2005-11-29 07:51:00
  • 192:

    トウヤ

    ロビーには老人や、幼い子を連れた母親で溢れかえっている。
    「なぁ。なんでヒカリの身体はあんなに傷だらけなんだ?今までにもこういうことがあったのか?」
    聞きにくい質問を潤した喉を振るわせ聞いてみた。
    紫苑はいつもとはまったく違うさめたような、諦めたような顔をする。

    2005-11-29 07:54:00
  • 193:

    あげときます♪はやく続きかいてっ!

    2005-11-29 15:18:00
  • 194:

    名無しさん

    しおり?

    2005-11-29 22:04:00
  • 195:

    トウヤ

    あげてもらってありがとうございます♪

    2005-11-30 05:31:00
  • 196:

    トウヤ

    「…自傷癖って分かるよね、リストカットしたりする人。なんでひかりがSMやってるか分かる?ヒカリはね、そんなレベルじゃないんだよ。人が感じる痛みが快感なんだ。痛くないと感じないんだ」
    痛み…。
    「俺らが普通に痛いって感じることが、ヒカリにとって気持ちいいっていうことか?」

    2005-11-30 05:34:00
  • 197:

    トウヤ

    もしそうならヒカリの身体は何だというのだ。
    自分の体が傷ついているのに、それが気持ちいいなんて。
    狂ってる。
    「そういうことだよ。」

    2005-11-30 05:35:00
  • 198:

    トウヤ

    紫苑は声のトーンを変えることなく、少し困った顔をしてこちらを見た。
    「なんで…そうなったんだ?先天的なものか?生まれつき体の痛みを感じない人間がいるってきたことはあるけど」
    「…いや。ヒカリは後天的なものだと思うよ…」
    言葉をにごす。

    2005-11-30 05:37:00
  • 199:

    トウヤ

    その先を言っていいのか迷っているようだ。
    「ヒカリがさ、そのうちトウヤにも話さなきゃいけないって言ってたから話すけど…」
    「けど…?」
    「それを聞いたからって、ヒカリを見る目を変えることだけは辞めて欲しい。トウヤなら大丈夫だと思うけど。さんざんもう傷ついてきたからさ」

    2005-11-30 05:41:00
  • 200:

    トウヤ

    思わずつばを飲み込み喉を鳴らす。
    それに気づいたのか気づいてないのか、紫苑が言葉を慎重に選ぶように話し出した。

    2005-11-30 05:42:00
  • 201:

    トウヤ

    ・・・昔々、ヒカリという小さな女の子がいました。ヒカリという名をつけたのは彼女の母親。ヒカリの家庭は裕福で、幸せそのもの。どんな境遇になっても、ヒカリの射す子でありますように。そう願ってつけられた名前でした。
    ある年のこと、会社を経営していた父親が不渡りを出し一人首をつっていました。
    それを見つけたのは3歳になったばかりのヒカリ。ヒカリは何がおこったかよく分かりません。
    母親にそれを報告すると、母親が肉の塊となった父のものに駆けつけていきました。

    2005-11-30 05:48:00
  • 202:

    トウヤ

    父親の不渡りの原因。それは母親の弟が勝手に父の名義で借金をつくり、飛んだこと。
    母は父親の親族、そして会社の社員たちの非難をいっせいに浴びました。
    母親の両親はとっくの昔に他界しており、味方についてくれる人など一人もいません。

    2005-11-30 05:51:00
  • 203:

    トウヤ

    生命保険も借金の返済や、社員たちへの分配に使われ母親とヒカリに残ったお金はまったくと言っていいほどありません。
    6畳一間の古いアパート。
    そこで暮らしていくのがやっとです。生活がついに追い詰められ、母親は夜働きに出ることにしました。

    2005-11-30 05:53:00
  • 204:

    トウヤ

    慣れない夜の仕事。手のかかる小さな子供。借金の返済。親戚からの冷たい仕打ち。
    残った母に頼るものなどありません。母親が精神的に苦しくなるのは時間の問題でした。
    最初は軽く叩かれる程度です。ご飯が抜かれる程度です。

    2005-11-30 05:56:00
  • 205:

    トウヤ

    ヒカリは母親のことが大好きだったので、なんとも思いませんでした。
    叩かれても、蹴られてもへっちゃらです。
    何をされてもニコニコ笑っています。だって泣いたら母親が悲しむと思ったから。

    2005-11-30 05:57:00
  • 206:

    トウヤ

    でもそれが母親には気に食わなかったようです。何をされても笑っているヒカリにどんどん虐待をひどくしていきます。
    でもヒカリはお風呂に顔を突っ込まれても、タバコの火を押し付けられても、大丈夫です。
    だって大好きな母親がソレをするときだけは自分の方を向いてくれるから。

    2005-11-30 06:00:00
  • 207:

    トウヤ

    そんな生活が何年も続きました。
    ヒカリは6歳になりました。
    ある日ヒカリが小学校から帰ると家に見知らぬ男と母親。
    今までも何人もの男がやってきてはいつの間にかいなくなるのでヒカリは気にもとめていませんでした。

    2005-11-30 06:03:00
  • 208:

    トウヤ

    しかし今日はなんだか様子が違います。
    母親が出て行ってしまいました。
    ヒカリは見知らぬ男と部屋に二人。

    2005-11-30 06:04:00
  • 209:

    トウヤ

    居心地が悪い気もしましたが、母親の連れてくる人に粗相は出来ません。
    早く母親が帰ってくることを祈っていました。
    「ヒカリちゃん…やんね?」
    男が話しかけてきたのでとりあえず小さな首を、コクンと振りました。

    2005-11-30 06:06:00
  • 210:

    トウヤ

    「おじさんと、少し遊ぼうか。お母さんはいいって言ってたよ?ヒカリちゃんはいい子だから、お母さんが悲しむようなことはせえへんよな?おじさんのいうこと聞けるな?」
    なんだか怖い気もしましたが母親が許可を出しているのだから、ニコニコしないといけません。
    するといきなり男がヒカリの小さな身体にのしかかってきました。

    2005-11-30 06:08:00
  • 211:

    トウヤ

    体重がヒカリの身体にかかり、息が出来ません。
    男の手がヒカリの体中に伸びていきます。
    気持ち悪くて叫びだしたくなりましたが、母親の怒った顔は見たくありません。
    だから…ずっと笑っていました。

    2005-11-30 06:10:00
  • 212:

    トウヤ

    男が白いものをヒカリの身体に出し、一息つくころに母親が帰宅しました。
    「どうやった?10万くらい出す価値あるやろ?こんな小さい体なかなかヤれへんで」
    「ほんまやなぁ。小さい子はいいわ!また金払うからよろしく頼むな」
    そんなやり取りをボーっと眺めていました。痛さに悲鳴を上げる身体を抱きながら。

    2005-11-30 06:14:00
  • 213:

    トウヤ

    それからは何度も何度もそんな事が続きした。
    見た顔もあれば、初めて見る顔もあります。けれどすることはみな同じでした。
    いつもヒカリは泣きませんでした。

    2005-11-30 06:16:00
  • 214:

    トウヤ

    中学校に上がるころにはすっかりその行為にも慣れていました。
    自分が10万で売られていることも知っていました。
    でも母親は大好きでした。
    昔はとても優しかった母。誕生日にケーキを焼いてくれた母。いつもニコニコしているヒカリをいい子だと褒めてくれた母。

    2005-11-30 06:18:00
  • 215:

    トウヤ

    ある日やってきた男はなんだか様子が違っていました。
    いつものような行為を始めるのではなく長い縄を取り出しヒカリを縛り上げます。
    食い込む縄は骨も肉も圧迫し、身体は悲鳴を上げています。

    2005-11-30 06:20:00
  • 216:

    トウヤ

    男はヒカリの身体を傷つけるのが楽しいのか、笑っていました。
    だからそれから起こる行為がどんなに痛いものであってもヒカリは笑っていようと決心しました。
    毎日のように身体を傷つけ弄ぶ男。

    2005-11-30 06:23:00
  • 217:

    トウヤ

    いつの間にか母親は帰ってこなくなりました。
    その代わりに、6畳のアパートに住み着いたのは男でした。
    もう学校も行けません。
    ただ、男が帰ってくるのを犬のように鎖に繋がれ待ち、繰り返される仕打ちを待つだけでした。

    2005-11-30 06:25:00
  • 218:

    トウヤ

    痛みはどんどんなくなっていきます。
    痛いなんて思っていたら、心が悲しくなるだけです。
    母親に売られた、という事実を認めてしまうだけです。
    痛いんじゃなく、気持ちいいんだ。そう思うことにしました。

    2005-11-30 06:27:00
  • 219:

    トウヤ

    16歳の時に裸同然で家を抜け出しました。
    男の行為がエスカレートし、何度か死、という言葉がよぎったからです。
    16の子供が一人で生きていく術はほとんどないに等しくて。

    2005-11-30 06:28:00
  • 220:

    トウヤ

    ヒカリに残ったものは、痛みを快感に変えてしまう身体だけだったのです。
    だから、この身体で生きていこう。そうヒカリは決めました。
    痛さを忘れていたら、いつか母親が帰ってくるのを期待して・・・。

    2005-11-30 06:30:00
  • 221:

    トウヤ

    「…トウヤ。コーヒー」
    その紫苑の言葉で現実に引き戻された。
    握りつぶした紙コップからコーヒーがこぼれ、派手にトウヤのジーンズにしみを作っていた。
    「今の話…」

    2005-11-30 06:36:00
  • 222:

    トウヤ

    「ほんとだよ」
    「緊急で運ばれた女性のお連れの方ですよね?処置が終わりました。もう面会できますよ」
    白衣を着た看護士が話をさえぎり、声をかけてきた。
    「分かりました。トウヤ、行こう」

    2005-11-30 06:39:00
  • 223:

    名無しさん

    2005-11-30 11:37:00
  • 224:

    みほ

    これって実話ですか?

    2005-11-30 14:54:00
  • 225:

    さく

    更新されてる?

    2005-11-30 14:55:00
  • 226:

    名無しさん

    ????????????????????????

    2005-11-30 18:47:00
  • 227:

    名無しさん

    ?…?

    2005-12-01 01:54:00
  • 228:

    名無しさん

    あげ??

    2005-12-02 09:04:00
  • 229:

    さく

    アゲッ

    2005-12-02 12:42:00
  • 230:

    名無しさん

    2005-12-02 14:32:00
  • 231:

    名無しさん

    気になりゅ???

    2005-12-02 14:44:00
  • 232:

    さく

    待ってます

    2005-12-02 19:04:00
  • 233:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    なかなか毎日更新できず申し訳ないです。
    さくさん、いつもありがとうございます。
    みほさん、コレはフィクションです。一応登場人物は実在人物を参考にはしていますが、脚色がおおいです。
    名無しの皆さん、見てくださってありがとうございます。なかなか毎日更新できず心苦しいです。気長に見てやってください。

    2005-12-03 07:18:00
  • 234:

    トウヤ

    白くて無機質な個室のドアをあけると、ベッドに横たわるヒカリがこちらを見た。
    顔は青白かったが、意識はしっかりしているようだ。右手は点滴に繋がれている。
    「ヒカリ、どう〜??またやったんだって?こんななってちゃダメじゃん」
    さっきの感じとはうって変わって、すこぶる明るく紫苑が話しかけた。

    2005-12-04 08:07:00
  • 235:

    トウヤ

    申し訳なさそうなに、ヒカリが少し笑う。
    「ごめんな。また…迷惑かけてもうたな。トウヤもごめんね??」
    そう声をかけられて、かたがビクッとなった。
    「お…おうっ!!体調はどうだ?」

    2005-12-04 08:09:00
  • 236:

    トウヤ

    しまった、声がおかしかったか…。
    個室用に設けられた椅子に座りながら、なんて声をかけていいのか必死に頭を回転させる。
    ぎこちない感じが彼女に伝わってないだろうか?
    引いた…というよりも、驚きと同様がトウヤの頭を支配している。

    2005-12-04 08:12:00
  • 237:

    トウヤ

    「僕、お医者さんに話し聞きに行って清算とかしてくるね〜」
    そういい残し、紫苑が静かに席を立った。
    沈黙。
    開けた窓から風が吹き込み、カーテンをなびかせる。

    2005-12-04 08:15:00
  • 238:

    トウヤ

    「…その様子やったら、紫苑に聞いたんかなぁ?」
    すこしうつむきながら。フフっと自嘲気味に笑った。
    「ゴメン」
    何を謝る事があるのかそれさえも分からなかったが、謝罪の言葉が口から出た。

    2005-12-04 08:17:00
  • 239:

    トウヤ

    なんだか聞いてしまったことが申し訳ないような気がした。
    「なんで謝るん?謝る必要ないやろ?」
    いつものように優しく響くヒカリの声。
    押し殺したような、優しくかぶせかけるようなヒカリの声。

    2005-12-04 08:18:00
  • 240:

    トウヤ

    不意に涙が頬を伝った。
    泣いている自分に驚く。
    「何を泣いてるんねん男の子が。ビックリさせたんやな。こっちこそゴメンな?変な身体に育ってしまってん。でも大丈夫やで?あたしは大丈夫」
    そう言いながら点滴のついていない左手で、優しくトウヤの頭を撫でた。

    2005-12-04 08:21:00
  • 241:

    トウヤ

    「トウヤは優しい子なんやね。人のことで涙を流して…。泣かんでもいいよ。もう大丈夫やからね」
    優しい羽毛のような言葉と、血の気を失い、少し冷たくなった手がなんとも言えず心地よかった。
    たったそれだけの行為が、トウヤの心に響く。

    2005-12-04 08:23:00
  • 242:

    トウヤ

    「聖母」という人がこの世の中にいたとしたら、それはこういう人のことを言うんだろう。
    どっちがお見舞いに来ているのかコレじゃ分からない。
    「…いろいろ聞いた。正直驚いた。…でもヒカリが無事でいてよかった。心配した」

    2005-12-04 08:25:00
  • 243:

    トウヤ

    嘘偽りなく。
    出会ってたった2ヶ月だ。
    でもいつの間にかすごくすごく大事だ。
    …俺は2ヶ月前、出会ったのではなく本当に拾われたんだ。…聖母に。自分の血を流す聖母に。

    2005-12-04 08:27:00
  • 244:

    さく

    更新されてたっ?気長に待ってます!!

    2005-12-04 08:50:00
  • 245:

    名無しさん

    おもしぃろい(*´ω`*)気長に更新待ってます?

    2005-12-04 12:29:00
  • 246:

    名無しさん

    2005-12-04 14:15:00
  • 247:

    名無しさん

    ???

    2005-12-05 01:00:00
  • 248:

    アゲ〜!!

    2005-12-05 23:45:00
  • 249:

    名無しさん

    2005-12-07 12:29:00
  • 250:

    名無しさん

    ?

    2005-12-09 17:56:00
  • 251:

    名無しさん

    まだかな?

    2005-12-10 00:58:00
  • 252:

    名無しさん

    書かないんσ(^_^;)?

    2005-12-10 02:50:00
  • 253:

    名無しさん

    書ぃてくださぃっ(>_

    2005-12-10 03:24:00
  • 254:

    名無しさん

    2005-12-10 04:04:00
  • 255:

    いくらで?

    100円。

    2005-12-10 04:33:00
  • 256:

    なこ

    アゲます??

    2005-12-12 07:35:00
  • 257:

    さく

    あげ

    2005-12-13 13:50:00
  • 258:

    名無しさん

    age

    2005-12-14 06:32:00
  • 259:

    名無しさん

    続き楽しみにしてます?完結させてくださいね?

    2005-12-14 19:05:00
  • 260:

    ?

    これぉもろィから
    書いてやァ?

    2005-12-15 11:45:00
  • 261:

    ☆彡

    頑張って(´∀`)♪

    2005-12-15 12:34:00
  • 262:

    名無しさん

    続き読みたいよ?頑張って?

    2005-12-15 13:22:00
  • 263:

    名無しさん

    早くよみたぃよー

    2005-12-16 04:00:00
  • 264:

    ☆彡

    待ってマァ〜ス(*^▽^)ノ

    2005-12-16 04:26:00
  • 265:

    名無しさん

    2005-12-16 09:51:00
  • 266:

    トウヤ

    気づいたら10日も放置していました…。
    気長に待っていてくれた皆様、あげてくれた皆様、心から感謝いたします。

    2005-12-17 10:22:00
  • 267:

    トウヤ

    会計を済ませ紫苑が戻ってきた。
    「もう帰れるってさ〜ヒカリは大丈夫?」
    「うん、点滴も終わったことやし、なんかお腹すいたかも知れへん。なんか食べて帰ろうや」
    まるで二人を安心させるかのような微笑み。

    2005-12-17 10:25:00
  • 268:

    トウヤ

    それでも少し安心できた。
    「もうお昼だし、こんな時間に3人でご飯行くのとか初めてだな。どこ行こうか。でも病み上がりなんだし、あんま重たいのよりは軽いご飯のほうがいいんじゃないか?」
    「そうだよね〜。んじゃお鍋でも行こうよ。外寒いしさ。暖まっていこう!」

    2005-12-17 10:27:00
  • 269:

    トウヤ

    3人で鍋をつつき、自分の部屋に戻ってきたのは昼の2時を少し過ぎたところだった。
    毛布に包まり、目を瞑る。
    トウヤは自分が恥かしかった。

    2005-12-17 10:29:00
  • 270:

    トウヤ

    自分の生い立ちが不幸だと思い、それのせいにして人生をかまけていた自分を恥じた。
    あんなに大変な思いをし、今でももがき苦しみながら生きている。
    どうしてあんなに笑っていられるのか。
    どうしてあんなに安らかなのか。

    2005-12-17 10:32:00
  • 271:

    トウヤ

    辛い経験が彼女をわざと優しくしているのなら、そんな皮肉なことはない。
    包み込んでくれるのは、ほんとは自分が包み込んで欲しいのからかもしれない。

    2005-12-17 10:34:00
  • 272:

    トウヤ

    それでも。
    それでも彼女は笑う。
    ヒカリのことを考えるとなかなか寝付けない。
    彼女を守りたい。彼女を救いたい。

    2005-12-17 10:35:00
  • 273:

    トウヤ

    うっすらと差し込む日の光を浴びながら、トウヤは祈るようにそう思った。
    とん、とん。
    ためらうようなドアのノックの音。

    2005-12-17 10:37:00
  • 274:

    トウヤ

    「トウヤ。僕、いい?」
    「紫苑?あぁまだ起きてる。大丈夫だ」
    白のバスローブの裾には金の刺繍が施してある。
    紫苑には少し大きなサイズ。でもそれは紫苑によく似合っていた。

    2005-12-17 10:39:00
  • 275:

    トウヤ

    「眠れないの?」
    自分からたずねてきておいてよく言う。自分のほうが眠れない、というのは紫苑の顔を見たらすぐに分かった。
    「どうした?とりあえず座れよ。なんか飲むか?」
    「ううん。いい。ちょっと話しておきたいことがあってさ」

    2005-12-17 10:42:00
  • 276:

    トウヤ

    「ヒカリの事か?」
    「分かってるじゃん」
    あくまで無表情。
    「ヒカリがどうしたんだ?そんな深刻そうな顔して」

    2005-12-17 10:43:00
  • 277:

    トウヤ

    紫苑の綺麗な目がトウヤの視線を釘付けにする。
    「唐突なんだけど。ヒカリの事好き?」
    強い視線と視線がぶつかり合った。
    とっさに身構えてしまう。

    2005-12-17 10:45:00
  • 278:

    トウヤ

    「なんだよ急に。普通に大事に思ってるよ。じゃなきゃ一緒に住んだり出来ないだろ?」
    「茶化さないで。分かってるだろう?質問の意味を。ちゃんと教えてよ」
    いつにも増して深くてにぶい輝きを放つ瞳。
    「…答えてどうなる。」

    2005-12-17 10:47:00
  • 279:

    トウヤ

    図星をつかれ、つい口調が荒くなってしまった。
    「答えて」
    真っ直ぐにトウヤを睨み付けてくる。蛇ににらまれたかえるのように動けなくなる。
    「…守ってやりたい。抱きしめてやりたい。今までのこと忘れさせてやりたい。もう、傷つく事のないようにしてやりたい」

    2005-12-17 10:50:00
  • 280:

    トウヤ

    「でもヒカリは、強く抱きしめたらガラスみたいに粉々に割れてしまいそうで。怖いとも思う。この感情は本当だ。それは好きだという事なのかもしれない」
    言ってしまってから、自分のヒカリに対する感情がこんなにも強いものだと始めて気がつく。
    トウヤ自信も驚いていた。

    2005-12-17 10:53:00
  • 281:

    名無しさん

    続き楽しみにしてたねん!がんばってねぇ。早く続き読みたいです

    2005-12-17 21:43:00
  • 282:

    名無しさん

    2005-12-18 08:26:00
  • 283:

    名無しさん

    続き頑張って下さいね☆

    2005-12-18 17:48:00
  • 284:

    ☆彡

    ホント頑張ってくださぃ!!!(*о*)!!!

    2005-12-20 04:09:00
  • 285:

    ?

    マィペースに空いた時間にでも続き書いてネ?楽しみにしてマス?

    2005-12-21 13:03:00
  • 286:

    さく

    楽しみにしてますよ☆

    2005-12-22 12:27:00
  • 287:

    名無しさん

    あげ

    2005-12-22 18:12:00
  • 288:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    少しですが更新します★

    2005-12-23 23:42:00
  • 289:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    ただ黙って聞いていた紫苑が黙ったままトウヤのタバコを静かに口に運び、白くて濃い煙を吐き出した。
    こんな時なのに、こいつタバコ吸えるんじゃないかよ。なんてどうでもいい事を考えてしまった。

    2005-12-23 23:47:00
  • 290:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    「安心したよ」
    まるで自分に言い聞かせるように、小さな声の呟き。「安心?意味が分からねぇよ。なんでそんな事を聞くのかも、それで安心するのかも」

    2005-12-23 23:51:00
  • 291:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    「紫苑がヒカリの事が好きで今のうちに俺を牽制しときたい!とかなら意味も分かるさ。でもなんで安心した…なんだ?ヒカリもそうだったけど、おまえも謎っていうか俺に隠してること多すぎる。そんなに信用ねえのか?俺は」

    2005-12-23 23:54:00
  • 292:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    感情的になる俺をただ紫苑は茫然と見る。
    色のない瞳で。 
    煙草の灰が落ちかけて、ようやく焦って灰皿に灰を落とし、もう短くなっていた煙草の火を押しつけ消した。

    2005-12-23 23:58:00
  • 293:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    「…なんて言うかさ。うれしさ半分、辛さ半分なんだよね」
    ゆっくり天を仰ぐ。
    何かを悟ったような、諦めたような哀しい表情。

    2005-12-24 00:00:00
  • 294:

    さく

    あげときますっ☆

    2005-12-25 23:37:00
  • 295:

    さく

    あげあげ☆

    2005-12-28 14:22:00
  • 296:

    名無しさん

    2005-12-28 16:37:00
  • 297:

    さく

    あげ★

    2005-12-31 03:32:00
  • 298:

    名無しさん

    さくってのウザい

    2005-12-31 03:48:00
  • 299:

    さく

    はぁ?黙れやブサイクワラ

    2005-12-31 03:55:00
  • 300:

    名無しさん

    わかる−うざいで−。ブスとかそんなん見たこともないのによ−ゆ−な自分のこと棚に上げて。

    2005-12-31 05:08:00
  • 301:

    名無しさん

    あげ★☆
    読みたい??

    2006-01-04 13:58:00
  • 302:

    さく

    黙れとか入れたんウチちゃうでー。

    2006-01-05 01:04:00
  • 303:

    名無しさん

    2006-01-05 05:20:00
  • 304:

    名無しさん

    2006-01-05 05:46:00
  • 305:

    にゃぁ

    あげ??主サン頑張って続き書いてください??この小説おもしろくて好きです?

    2006-01-07 02:28:00
  • 306:

    名無しさん

    2006-01-07 03:21:00
  • 307:

    名無しさん

    ?

    2006-01-10 04:55:00
  • 308:

    かかへんの?読んでるのに。。更新まってるのに

    2006-01-17 15:45:00
  • 309:

    名無しさん

    2006-01-18 00:24:00
  • 310:

    あゃ

    ??

    2006-01-18 13:47:00
  • 311:

    ☆ぇり☆

    書いてくれるの待ってるから書いてねぇ(∋_∈)続き読みたい☆

    2006-01-18 19:11:00
  • 312:

    名無しさん

    ??

    2006-01-18 23:33:00
  • 313:

    名無しさん

    あげ

    2006-01-19 16:33:00
  • 314:

    トウヤ

    ちょっと仕事が落ち着いてきたのでかなり久しぶりになりますが書かせてもらいます。
    待っていてくれた方々、遅くなってすいませんでした。
    また良かったら覗いてやってください。

    2006-01-25 12:27:00
  • 315:

    トウヤ

    「僕の家は代々官僚とかそういう家庭で僕も小さいころから英才教育っての?受けて育ってきたんだ。父親は財務省の官僚。母親は旧財閥のお嬢様。昼はお手伝いさんが付き、何から何まで世話を焼き、付属の学校へは専属ドライバーが送り迎え。家に帰ると家庭教師が付き勉強や習い事だ。毎日毎日。友達といえる人はいなかった。同じ学校には選び抜かれた2世、3世のエリートたちが新時代を担うべく勉強に明け暮れていたよ。・・・いつも醒めた目で見ていた」

    2006-01-25 12:38:00
  • 316:

    トウヤ

    紫苑の物腰の柔らかさや、どこか品の良さを隠せない立ち振る舞い。
    それを聞くと妙に納得できた。

    2006-01-25 12:40:00
  • 317:

    トウヤ

    「何一つ不自由のない生活。逆らう人はいない、欲しい物は手に入る。でも一つ。僕には自由がなかった。16になるとともに父親に頼みマンションをもらった。自立心を付けたいんだ!!と語るとすぐに了承してくれた。」

    2006-01-25 12:44:00
  • 318:

    トウヤ

    「ヒカリに出会ったのはちょうどその頃だ。家を出た僕は自由さにはしゃぐとともにそれでも家という呪縛に断ち切れないでいた。すごい雨の日だった、タクシーに乗り家へと急いでいると、マンションの近くの公園にうずくまっている女の子を見つけた。それがヒカリだった」

    2006-01-25 12:48:00
  • 319:

    名無しさん

    2006-01-25 12:52:00
  • 320:

    トウヤ

    =ヒカリ・紫苑16歳=
    その子は、公園の片隅のベンチにいた。まるで外の雨なんかその子の周りにだけ降っていないように傘も差さずにただうずくまっていた。
    かわいらしい、子だ。

    2006-01-25 13:59:00
  • 321:

    トウヤ

    興味本位に声をかける。
    「雨降ってるよ、風邪引くよ」
    反射的にその子がこちらを向いた。
    「ええねん、別に…」

    2006-01-25 14:00:00
  • 322:

    トウヤ

    関西弁。
    驚くような事もせず、うつろな眼でこちらを見据えた。
    ぐしょぐしょになった髪。体。手荷物はなかった。

    2006-01-25 14:01:00
  • 323:

    トウヤ

    その時俺は16歳、うるさい環境から抜け出し、一人暮らしを満喫していた。
    外の世界は驚くほど自由で、それなりに仲の良い悪友にも囲まれ、金と美貌に有り余った俺はそこそこオンナも知っていた。
    「ねぇ、うちにおいでよ。うち一人暮らしだし、ご飯食べよう?行く所ないんじゃないの?」

    2006-01-25 14:04:00
  • 324:

    トウヤ

    別に何の意味もない。
    時々行く所のないオンナを拾っては、自分の自由にし、飽きたら捨てる。
    あえていうなら育成ゲームか。

    2006-01-25 14:06:00
  • 325:

    トウヤ

    「ね?大丈夫だから」
    綺麗な顔の僕に誘われ断る女なんて一人もいない。
    「…いいの?」
    そのオンナの子も黙って腰をあげた。

    2006-01-25 14:07:00
  • 326:

    トウヤ

    新しいおもちゃの誕生だ。
    お風呂に入れ、ハウスキーパーが作ってあった温かいご飯を食べさせた。
    「おいしい?ねぇ、どこから来たの?家出?」

    2006-01-25 14:08:00
  • 327:

    トウヤ

    「大阪。帰るとこないねん…」
    にこりとも微笑まず、ただ悲しそうに女の子は呟いた。
    「大阪かぁ〜僕行ったことないな。そうだよかったらしばらく家にいなよ!君さえ良ければ…え〜っと…」
    「ヒカリ」

    2006-01-25 14:10:00
  • 328:

    トウヤ

    「ヒカリちゃん、ね?」
    「…ありがとう」
    ここまでくればしめたものだ。
    風呂に入れ化粧をさせ、綺麗な服を着せると思っていたより美人だ。

    2006-01-25 14:12:00
  • 329:

    トウヤ

    さて、仲間にメールを打つ。
    『あたらしいオモチャGET☆今夜とりあえず味見してみる。よかったらそっちにもまわすね♪』
    恒例になっていた。

    2006-01-25 14:13:00
  • 330:

    トウヤ

    拾ってきた女はみんなの遊び道具だ。
    感慨なんてものはなかった。
    オンナも拾ってもらえ、綺麗な服、温かい布団、美味しいものを食べさせてもらえる。
    最初は泣くものの、最後はみんな笑顔だ。

    2006-01-25 14:15:00
  • 331:

    ?ゅ??

    L1ま一気に読んだょ?続き読みたぃ??

    2006-01-25 15:43:00
  • 332:

    トウヤ

    みんなが冗談めかして、オンナが髪を振り乱しながら僕を鬼だといった。
    でもいい子で秀才の僕にとっては小気味良い勲章。

    2006-01-25 17:17:00
  • 333:

    トウヤ

    ヒカリはリビングのソファにもたげボーっとTVを眺めていた。
    どうせ大阪の実家から家出してきただけの少女だ。
    何かしたところでどうなるわけでもない。

    2006-01-25 17:33:00
  • 334:

    トウヤ

    TVを消し、電気を落とし、ヒカリに覆いかぶさった。
    声も上げない。
    嫌がる様子もない。
    なんだ。こいつはこうやって男の家を渡り歩いてきたんだ…。

    2006-01-25 17:35:00
  • 335:

    トウヤ

    そう思うと無性に腹が立った。
    自分の身体を粗末に扱うバカオンナだ。
    無意識に手つきが乱暴になる。

    2006-01-25 17:37:00
  • 336:

    トウヤ

    抵抗もしない。
    反応もしない。
    人形を抱いているみたいで気味が悪かった。

    2006-01-25 17:38:00
  • 337:

    トウヤ

    事が終わり電気をつけた瞬間ヒカリの体身体が紫苑の眼に焼きつく。
    さっきまで抱いていて体が光に照らされた。
    言葉を失う。

    2006-01-25 17:39:00
  • 338:

    名無しさん

    2006-01-26 03:02:00
  • 339:

    名無しさん

    2006-01-26 15:02:00
  • 340:

    名無しさん

    2006-01-26 16:03:00
  • 341:

    名無しさん

    続き待ってます☆

    2006-01-26 18:57:00
  • 342:

    名無しさん

    あげ

    2006-01-27 15:13:00
  • 343:

    りぃ

    ガンバってね☆彡

    2006-01-31 14:12:00
  • 344:

    名無しさん

    書いてほしぃ☆

    2006-02-05 05:57:00
  • 345:

    名無しさん

    これって主!?IPちゃぅくなぃ?

    2006-02-05 12:32:00
  • 346:

    名無しさん

    あげ

    2006-02-07 14:59:00
  • 347:

    名無しさん

    ipちゃぅしトリップついてなぃから偽やろ★

    2006-02-08 16:11:00
  • 348:

    名無しさん

    もし主が違うくてもおもろくなぃ?

    2006-02-08 17:07:00
  • 349:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    お待たせしてます。
    混乱させて申し訳ありませんが、携帯とPCで書いていますので両方主です。
    ほんとうに不定期な書きこみですがよければお付き合いください。

    2006-02-08 17:27:00
  • 350:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    傷…疵…キズ…。
    切り傷?火傷?あざ?
    ヒカリの身体の華奢なラインには無数の傷跡が残っていた。
    明らかに故意に誰かにつけられたものだ。

    2006-02-08 17:30:00
  • 351:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    びっくりして声も出せない紫苑に気を使ったのか、ヒカリがシーツで自分の身体を隠す。
    「ゴメンな、気持ち悪いやろ??これでもだいぶマシになったんやけどな」

    2006-02-08 17:33:00
  • 352:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    「な…なんでそんな傷…事故とかじゃないよね?誰がそんなこと…女の子なのに」
    動揺していた。
    聞くべき事なのかそうじゃないかという判断さえ冷静に下せないくらいに。

    2006-02-08 17:36:00
  • 353:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    その晩ゆっくりとヒカリの口からこぼれ落ちる凄惨な言葉と事実に紫苑は自分の耳を疑う。
    そんな親がいることに、そんな境遇の人間がいることに、そんな人々がいるということを想像すら出来なかった自分の甘さと無知を疑った。

    2006-02-08 17:42:00
  • 354:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    終始うっすらと微笑みを崩さず、まるで眠れぬ子供にお伽話を聞かせる母親のようなヒカリ。
    でもそれはお伽話でなく自分の痛々しい真実。

    2006-02-08 17:45:00
  • 355:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    「…人にこんな話が出来るとは思わへんかったわ。やさしい人なんやね、聞いてくれてほんまありがとう」
    そんな事…。
    不意に涙が伝う。

    2006-02-08 17:48:00
  • 356:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    あふれる涙は止まらない。嗚咽を堪えられない。
    自分がなぜ泣いているのか、なぜこんなに悲しいのか。
    紫苑にはよく分からなかった。

    2006-02-08 17:50:00
  • 357:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    気が付くとヒカリの腕に包まれていた。
    優しく暖かい体温。
    ヒカリの中でぐちゃぐちゃになるまで。
    涙がシーツに大きなしみを作っていた。

    2006-02-08 17:53:00
  • 358:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    翌月、二人は家を出る。
    幸いなことに綺麗な容姿の紫苑にはいくらでもめんどうを見てくれる人がいた。自分の身体を売ること、それでヒカリをもう誰にも傷つかせないように守りたい。

    2006-02-08 18:04:00
  • 359:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    どんな事をしても。
    ヒカリを守っていかないと。
    あれから二人に身体の関係はない。
    彼女でもない。

    2006-02-08 18:06:00
  • 360:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    愛情、敬愛、保護。
    紫苑にとってヒカリは聖母のような存在だった。
    マリアさまを守る騎士になりたい。

    2006-02-08 18:08:00
  • 361:

    名無しさん

    また待ちぃ?

    2006-02-09 19:19:00
  • 362:

    名無しさん

    http://vl-o-l.jp/gaogaojgmjgp/

    2006-02-09 22:51:00
  • 363:

    名無しさん

    あげ

    2006-02-12 00:54:00
  • 364:

    2006-02-14 17:00:00
  • 365:

    名無しさん

    待ってます

    2006-02-20 13:14:00
  • 366:

    ?ヒメ?

    これホンマぉも∪ろぃ??一気に読みま∪た??
    続き楽∪みに待ちます?

    2006-02-24 09:58:00
  • 367:

    名無しさん

    2006-02-25 01:56:00
  • 368:

    名無しさん

    あげ

    2006-02-25 22:47:00
  • 369:

    名無しさん

    おもしろい!

    2006-02-28 11:13:00
  • 370:

    名無しさん

    気になる!

    2006-02-28 22:31:00
  • 371:

    名無しさん

    あげ

    2006-03-01 10:58:00
  • 372:

    名無しさん

    ?????しおり????

    2006-03-02 05:33:00
  • 373:

    トウヤ

    毎度毎度お待たせしています。
    それでもこんな風にみて下さってありがとうございます★

    2006-03-02 06:22:00
  • 374:

    トウヤ

    >369の続き
    二人で住むのには狭くて汚い1DKの部屋。
    戸惑いながら。手探りながら。

    2006-03-02 06:24:00
  • 375:

    トウヤ

    「ヒカリ〜帰ったよ!」
    「お帰り〜今日なスーパーで豚肉安かってん。紫苑生姜焼き食べれるやんな??」
    「好きすき!!おいしそうじゃん、いただきま〜す…」

    2006-03-02 06:26:00
  • 376:

    トウヤ

    「……なにこれ」
    「いや生姜焼きや言うてたやん、むしろそれ以外何に見えるん?」
    「違うよ!なんかタレが!!関東の生姜焼きは甘辛いタレじゃなくてシンプルに塩コショウと生姜のみで味付けるんだよ〜」
    「そんなん邪道やん。この甘辛いタレがあってこその生姜焼きやろ!」

    2006-03-02 06:29:00
  • 377:

    トウヤ

    たわいない会話の幸せ。
    家に帰ると普通の同棲カップルみたいな平凡な毎日。
    贅沢なわけでも華美なわけでもない。

    2006-03-02 06:31:00
  • 378:

    トウヤ

    ただ違っていたのは、彼の職業が「若いツバメ」でそして彼らは恋人同士でない、という事。
    それでも騎士は忠実に聖母を守るべく歯を食いしばって耐える。

    2006-03-02 06:33:00
  • 379:

    トウヤ

    男色のヤクザ。
    3Pじゃないと満足出来ない風俗嬢。
    小水を飲む奥様。

    2006-03-02 06:35:00
  • 380:

    トウヤ

    紫苑の客はひと筋縄ではいかない客ばかりであった。
    1時間2万円。
    それがその時の紫苑の「値段」

    2006-03-02 06:37:00
  • 381:

    トウヤ

    2万円をくれる人ならすべての人がお客様。
    嫌もクソもない。
    それでも家に帰ると安穏とした空間がある。
    親元にいた時と比べると忙しく嫌な仕事をしているのに関わらず、心はひどく穏やかだった。

    2006-03-02 06:40:00
  • 382:

    名無しさん

    2006-03-02 14:13:00
  • 383:

    名無しさん

    トリップなし、偽物だ?

    2006-03-04 02:01:00
  • 384:

    PCと携帯使ってる言ぅてたし偽か分からんゃん☆

    2006-03-04 06:23:00
  • 385:

    名無しさん

    2006-03-04 12:13:00
  • 386:

    名無しさん

    2006-03-04 12:14:00
  • 387:

    名無しさん

    2006-03-04 12:15:00
  • 388:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    見てくださってありがとうございます。↑のかたがおっしゃってくれたように、PCと携帯で書いているのでトリップ付いてないときもありますが、御了承ください。

    2006-03-04 18:10:00
  • 389:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    「きゃぁぁぁぁ…ッ!!」
    狭い部屋にヒカリの悲痛な叫びが響く。
    「大丈夫、大丈夫だから!ヒカリ!僕が横にいるから!!」

    2006-03-04 18:10:00
  • 390:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    ヒカリは真っ青な顔でガタガタ震え、額には汗がにじみ出ていた。
    何度目だろうか。
    突然フラッシュバックのように悪夢にうなされる。

    2006-03-04 18:12:00
  • 391:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    それでも今日はマシなほうだ。
    何日か前など気付くのが少し遅れ、ヒカリは包丁で自分の太ももに何ヶ所も痛々しい傷を作っていた。

    2006-03-04 18:15:00
  • 392:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    こんな遠い場所にいてなおヒカリを傷つけるのか。
    ヒカリをここまで追い詰めた奴らに、そしてこれ以上救うすべのない自分自身がやるせなくてしかたなかった。

    2006-03-04 18:18:00
  • 393:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    「なぁ、紫苑話しあるねんけどちょっといい?」
    もうすぐ日の落ちそうな午後。窓からはこの街で一番大きなタワーが夕日を浴びてより一層赤く染まる。

    2006-03-04 18:21:00
  • 394:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    「改まってどうしたの?」
    そう言いつつも嫌な予感がする。
    「仕事の事なんやけど…あたし紫苑がどういう事してあたしを養ってくれてるか知ってるねやん」

    2006-03-04 18:23:00
  • 395:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    思わずうつむく。
    ヒカリには仕事の事を一切告げていなかった。
    それはもちろん、ヒカリに罪悪感を与えたくなかったからだ。
    賢しいヒカリの事。事実を知れば身を退くだろう。

    2006-03-04 18:25:00
  • 396:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    何としてでもそれだけは避けたかった。
    ヒカリのためでもあるし、紫苑自身のため。
    せっかく生きる糧を意味をもらったのだ。

    2006-03-04 18:27:00
  • 397:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    ヒカリを護りたい。
    何かをしたいなんて気持ちになれた事が紫苑にとっと奇跡。
    それがなくなればまた元通りだ。

    2006-03-04 18:29:00
  • 398:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    「僕自身が僕の意志で、ヒカリを護りたいと思ってるんだ。そのために手段を選ぶつもりはない」
    「……なんであたしのためにそこまでしてくれるんか、よく分からへんねん」

    2006-03-04 18:31:00
  • 399:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    「でもな、一つ覚えてて欲しいんが、紫苑があたしの事をそう思ってくれてるようにあたしも紫苑のこと思ってる」
    「……ヒカリ」

    2006-03-04 18:33:00
  • 400:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    「それにな、ずっと考えててん。あたしもこんな体治したいんやんか。この先ずっと自分自身に傷つけられて、生きたくない………だから…あたしも働く。ショック療法や」

    2006-03-04 18:37:00
  • 401:

    まゆみ

    しおりん?

    2006-03-04 20:54:00
  • 402:

    名無しさん

    2006-03-05 09:48:00
  • 403:

    名無しさん

    2006-03-05 12:00:00
  • 404:

    名無しさん

    2006-03-07 10:11:00
  • 405:

    名無しさん

    2006-03-08 00:48:00
  • 406:

    名無しさん

    更新待ってます?続き読みたいです??

    2006-03-08 14:40:00
  • 407:

    名無しさん

    あげ★

    2006-03-12 23:15:00
  • 408:

    名無しさん

    書いて

    2006-03-16 17:08:00
  • 409:

    名無しさん

    2006-03-17 00:02:00
  • 410:

    名無しさん

    2006-03-17 14:08:00
  • 411:

    名無しさん

    ……

    2006-03-18 01:32:00
  • 412:

    名無しさん

    村上 隆のトパーズ知ってるんだ!

    2006-03-18 13:07:00
  • 413:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    トパーズですか?昔読んだことはありますよ↑↑過激というかよく世間の表としての出版物でよく認められたなぁ感はありましたね。SM的要素を絡ませたのは主が元SM関係だからです★

    2006-03-20 06:50:00
  • 414:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    「ショック療法って…どういう事か自分で言ってること分かってる?」
    「あたしは短絡的にものを話す人間じゃないことくらい、紫苑が一番よく分かってるやろ??」
    「………………………」
    うつむいたまま、声がでなかった。

    2006-03-20 06:54:00
  • 415:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    「紫苑の気持ちはよくわかるで、ありがたいと思ってる…………けどあたし多分そうやって生きていかなあかん人間やねん。世の中には知らんでいいことがたくさんある。でもほんの一握りしか知らん世界を知ってしまってん。これは変えようのない運命やと思ってる」

    2006-03-20 06:58:00
  • 416:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    「それを避けられへん以上…抗う気もない」
    「僕は…僕は無力な男だよ。お金と外見に生かされてきた。僕もきっとこの先変わることはないと思うんだ。誰が何と言おうとそれが僕の《価値》で生きる意味だから。僕は何も出来ない。ヒカリのために何をしてあげたらいいのか分からない……だから、飽きられるまでずっと傍にいるよ」

    2006-03-20 07:04:00
  • 417:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    ――――――――――
    「ねぇ、聞いてるの!?トウヤってば!せっかくシャンパンがきたのに、あなたが空けないで誰が空けるのよぉ〜」
    少し肉付きのよいほっぺたを膨らませて彼女が抗議する。

    2006-03-20 07:08:00
  • 418:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    「…ゴメン、あんまりかわいいほっぺたで、どうやって食べちゃおうか作戦練ってたんだよ」
    やだぁ〜と言いつつも万更ではない下品なほほ笑み。

    2006-03-20 07:10:00
  • 419:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    ヒカリの微笑みとは雲泥の差。まぁ比べる相手が違い過ぎるか。相手は聖母だ。「じゃぁマロンちゃんのNO.1就任を祝って……カンパ〜イ!!」
    ポンッという音と炭酸が抜ける濁ったガスがトウヤを包む。

    2006-03-20 07:14:00
  • 420:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    マロンなんてあからさまな源氏名を名乗って、架空のお城で嘘のスーツをまとった王子様と一夜の宴。
    「ねぇ〜トウヤはマロンのどこが好き??」

    2006-03-20 07:20:00
  • 421:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    「なんでそんな事が知りたいの?」
    「女の子は誰でも知りたいもんだよ、好きなヒトにどこを愛されてるかって」 
    全部だよ、とか好きに理由なんてないさなんて当たり前の事をお金を出した女が望むはずがない。

    2006-03-20 07:23:00
  • 422:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    望むのは…彼氏や普通の男じゃとうてい言ってくれない、まるで蜂蜜のような言葉。
    甘い匂いととろける口当たり、そしてクセになる言葉。

    2006-03-20 07:26:00
  • 423:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    「深さと、匂い…かな」 
    「どういう事?」
    「会うたびに、言葉を交わすたびにマロンの事を知っていく…でもそのたび俺のなかで謎が増えていくんだ。もっと知りたい、謎を解きたい…そう思った瞬間にマロンは俺を擦り抜けて階段を下りて帰ってしまうんだ」

    2006-03-20 07:30:00
  • 424:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    「でもマロンは悪い女だから、ガラスの靴さえ残していってくれない。帰った後かすかに鼻孔に残るのは、マロンのいつも付けてる香水の残り香だけだ。………そんな女、誰が嫌いになれる?いるとしたら教えてほしいね」

    2006-03-20 07:34:00
  • 425:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    さすがにクサ過ぎたかと、自分自身がおかしくなる。外でこんなセリフ恥ずかしげもなく言えるやつがいるとしたら、そいつは間違いなくパリジェンヌだ。

    2006-03-20 07:37:00
  • 426:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    しかしあんなセリフでも城の内装のようなこった作りのセットで、蝋燭の炎に照らされた中では効果も絶大だったに違いない。
    それの証拠に、マロンの頬は上気して紅く染まっている。
    もちろんシャンパンのアルコールとは違った意味で。

    2006-03-20 07:40:00
  • 427:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    ヒカリの過去、紫苑の過去、そして二人の過去。
    二人で暮らしていたのに、《男と女の関係》でなかった意味。
    怒濤のような数か月。

    2006-03-20 07:45:00
  • 428:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    受けとめることも、受けとめなきゃいけないこともトウヤには多すぎて軽く飽和状態だ。
    ホスト業もだんだん板に付いてきた。
    一人も指名客がいなかったのに今ではすでにランキングに名を連ねるようになってきた。

    2006-03-20 07:47:00
  • 429:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    紫苑もヒカリも相変わらずでいつが仕事なのかオフなのか分からない。
    たまたま三人の時間があえば広いダイニングで食事をともにする。

    2006-03-20 07:49:00
  • 430:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    あの話から紫苑も何一つ変わらない。
    一つ変わったことといえば、トウヤの中のヒカリへの想いくらいか。

    2006-03-20 07:50:00
  • 431:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    何が変わったなんてトウヤにもよく分からなかった。護っていかないと、という義務にも似た守護感。
    それ以上どうこうしたいかと言われても困惑するばかりだ。

    2006-03-20 07:52:00
  • 432:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    他の女に思うような肉欲だとか征服してやりたいなんて気持ちは微塵もない。
    そうたとえば、ヒカリの胸に抱かれながら、優しく眠りにつきたい。

    2006-03-20 07:54:00
  • 433:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    これが恋ってやつなのか?一方的な、そしてこの純粋な想い。
    ホストやってる俺が笑ってしまう。
    少なからず俺に体を掻き回されて突かれたいがために、札を投げる女は数多い。

    2006-03-20 07:56:00
  • 434:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    そんな俺が忠誠にも似た片思いをしているなんてな。紫苑もいる事だし?
    言い訳にすぎないけど。
    あいつみたいな騎士がいるかぎり俺のでる幕はない…か。

    2006-03-20 07:59:00
  • 435:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    merry-go-round
    メリーゴーランド。
    幸せは…回る。
    永遠の片思いもメリーゴーランドみたいに回るのか。

    2006-03-20 08:01:00
  • 436:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    日曜の晩。
    異変は突然起きた。

    2006-03-20 08:02:00
  • 437:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    「トウヤ…あのな…紫苑と連絡つかへんねん…」
    紫苑?確か客と一週間ほど旅行に行くと言っていた。一週間で七百万。
    それをヒカリに告げたかどうかは分からないが、意気揚揚と俺にその値段をつげ、たくさんお土産を買ってきてあげる!と出ていった。

    2006-03-20 08:06:00
  • 438:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    それが確か10日前。
    マメな性格の紫苑は基本連絡をかかさない。
    俺にはともかく、ヒカリには毎日帰宅時間をメールなり電話しているはずだ。

    2006-03-20 08:08:00
  • 439:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    「海外だろ?確か…」
    「ニース」
    ニースはフランスの南部にある世界有数の保養地だ。世界のありとあらゆる金持ちの集まるバカンス。

    2006-03-20 08:10:00
  • 440:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    「そこ!携帯使えないんじゃないのか?」
    「例え携帯がつながらなくても、紫苑PC持っていってるねん。ニースやで?世界のトップビジネスマンが集まってるんやで?PCが使えへんはずないやん…」

    2006-03-20 08:12:00
  • 441:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    めずらしく顔を歪め、動揺が瞳に浮き出ている。
    そんな姿も痛々しくて可愛いな…なんて思っている場合でもなさそうだ。

    2006-03-20 08:14:00
  • 442:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    「出発して10日、連絡が途切れてからは?」
    「4日目までは毎日メールが届いててん」
    言うなりリビングのPCを開き、メールを見せてくれた。

    2006-03-20 08:17:00
  • 443:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    《件名:ニース着いたよ!本文:こっちは、日差しが強くて暑いけど日本と違って湿気がないから気持ちいいよ!!ちょっと間離れるけど、ちゃんと連絡入れるからね★  紫苑》

    2006-03-20 08:20:00
  • 444:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    カチカチと画面をスクロールしていく。確かに四日目を境に受信メールがなくなっていた。
    胸の奥にざわつきを感じる。

    2006-03-20 08:22:00
  • 445:

    名無しさん

    読んでます?頑張って下さい?

    2006-03-20 08:25:00
  • 446:

    名無しさん

    >>1ー200 >>201ー400

    2006-03-20 12:29:00
  • 447:

    名無しさん

    更新されてる!頑張って下さい☆彡

    2006-03-20 18:18:00
  • 448:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    いつもいつも遅いのにみてくれている方ありがとうございます。
    少しですが、更新させてもらいます。

    2006-03-21 08:34:00
  • 449:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    「…あれだろ、一応仕事なんだし忙しいんじゃないか?」
    不安な眼を隠そうとしないヒカリに苦し紛れに言い放つ。
    言っている俺自身のほうが動揺してるな。

    2006-03-21 08:37:00
  • 450:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    「ほんま…一体どうしたんやろぉ?こんなん初めてやわ。だって帰国の予定日からもう三日もたってるねんで?忙しいって言っても遅れるなら遅れるでなんかアクションあるやん…」

    2006-03-21 08:39:00
  • 451:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    確かにそのとおりだった。帰国予定が延滞するなら連絡の一つないはずがない。やばいな。
    何を言ってやったらいいか全然分からない。
    口から出そうになるのは大丈夫だって!そんな不確実で安っぽい言葉ばかりだ。

    2006-03-21 08:42:00
  • 452:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    「なぁ!行かへん??」
    「え…ニースに…か!?」
    「だってこんなとこで待っててもどうしようもないやん!?ホテルだって聞いてるんやし、行ってみようや…」

    2006-03-21 08:45:00
  • 453:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    「…行きたい気持ちは分かるけど、ヒカリフランス語喋れるのか?リゾート地だから英語とかも通じるかもしれないけど、向こうで捜索となったら言葉も困るんだぞ?」

    2006-03-21 08:47:00
  • 454:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    「それはッ…そうやけど…」「冷静に考えて、入れ違いとかもあるかも知れないしここにいて連絡待ってたほうが賢いよ」
    「でも…でもッ」
    プルルルル…プルルルル…ヒカリの声を遮るように家の電話が鳴る。

    2006-03-21 08:59:00
  • 455:

    名無しさん

    続き読みたい〜ッ(〃∇〃)

    2006-03-21 09:53:00
  • 456:

    名無しさん

    続き読みたいのでァゲます?

    2006-03-22 17:03:00
  • 457:

    名無しさん

    続きめちゃ気になリます!!!
    頑張って書いてください(´∀`@)

    2006-03-24 11:03:00
  • 458:

    名無しさん

    2006-03-24 14:00:00
  • 459:

    名無しさん

    頑張って☆

    2006-03-24 14:05:00
  • 460:

    名無しさん

    楽しみにしてます???

    2006-03-26 06:45:00
  • 461:

    名無しさん

    まだかな

    2006-03-26 09:23:00
  • 462:

    2006-03-28 02:04:00
  • 463:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    いいところで引っ張ってしまいましてすいませんでした…。改めて続き書きます!

    2006-03-28 09:29:00
  • 464:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    二人の間を冷たい機械音が走る。
    プルルルル…プルルルル…たまりかねてトウヤが受話器をあげた。
    「はい…はい、そうです…」

    2006-03-28 09:31:00
  • 465:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    ヒカリはいてもたってもいられなかった。
    どう考えても嫌な予感が胸をチリチリと焦がす。
    それにこの電話。
    この電話ははっきりいってパソコンを引いたのと同時に名目上付けただけでめったになることはない。

    2006-03-28 09:34:00
  • 466:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    それなのにどうしてこんな時に限って…。
    「えっ!?そうですけど…はい…それは間違いないんですか?」
    神妙に喋っていたトウヤの声が一瞬大きくなり、そして少し震えている事に嫌でも気付いてしまう。

    2006-03-28 09:37:00
  • 467:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    ガチャ…。
    「トウヤ…何の電話?」
    聞きたくはない。でも聞かずにはいられない。
    「………警察。」

    2006-03-28 09:39:00
  • 468:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    胸を焦がすチリチリは次第に大きくなっていく。
    「警察…?何の用…なん?」「………………紫苑の乗ったセスナが墜落して生死の安否が分からないらしい」
    瞬間胸の焦げは爆発した。「つまり…行方不明だ」

    2006-03-28 09:47:00
  • 469:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    警察に事情を聞きに行き、現地でガイドをしたという人の話を聞いた。
    紫苑の乗ったセスナは、パリへと戻る道中で雷雨に巻き込まれ、川へと墜落した。乗っていたのは紫苑の他四名。だが濁流に流されて遺体があがったのは一名だけだった。

    2006-03-28 09:53:00
  • 470:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    遺体がない葬式なんてのに初めて参列した。
    まだ少し幼い頃の位牌の紫苑が少し生意気そうな顔でこちらをにらむ。

    2006-03-28 09:54:00
  • 471:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    財務省勤務というのにふさわしい貫禄のある父。
    有閑マダムという言葉のぴったりハマる母。
    参列者が思いの外少ないのは、事情を考えれば当然のことだ。

    2006-03-28 10:10:00
  • 472:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    いかにも美しかったであろう母は見る影もなく、ただただ肩を落として泣いているばかりだった。
    喪主の父は忙しそうに参列者に頭を下げている。

    2006-03-28 10:13:00
  • 473:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    「紫苑の荷物は結構です。そちらで処分しておいてください。……それと…この件の真相についてはどうか内密にお願いできませんか、あまり口外できることではありませんので」

    2006-03-28 10:16:00
  • 474:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    申し訳なさそうに。
    しかし、キッパリとした口調でトウヤにそれだけを伝えにきた。       「僕らも一切口外するつもりはありませんので」
    その答えに安堵する様子が伝わってくる。
    きっと財務省ではやり手なのだろう。

    2006-03-28 10:20:00
  • 475:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    「では、これを…」
    茶色の、分厚く膨れ上がった封筒を外から見えないようにトウヤに握らす。
    「なんのつもりですか」
    怒りを押し殺すのに精一杯だった。
    「なに、ほんの迷惑をおかけしたお詫びということで…」

    2006-03-28 10:24:00
  • 476:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    言い終わるより先に、トウヤの拳が欲にまみれた顔にめり込んでいた。


    封筒からいくつもの束になった札が散らばっていた。

    2006-03-28 10:26:00
  • 477:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    ガチャ…。
    いつものようになれた手つきでマンションの扉を開く。いつもの玄関。いつもの観葉植物。いつものリビング。
    ただ一つ違うのは、そこには二人しかいないという事実だ。

    2006-03-28 10:29:00
  • 478:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    「ヒカリ…帰ったよ」
    あの日からヒカリは涙を流すわけでもなく、叫ぶわけでもなく、一人自室に閉じこもるわけでもない。
    リビングの真ん中でひたすらパズルをやっていた。

    2006-03-28 10:32:00
  • 479:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    どこからか買ってきたパズルはトウヤが今まで見た中で一大きく、そして難しそうだった。
    ゆうに一万ピースはあるだろうか、リビングのカーペットの半分を占めている。

    2006-03-28 10:35:00
  • 480:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    そしてそれは――――──────真っ白だった。
    柄も文字もないパズル、それを無表情にパチ、パチとはめていくヒカリ。

    2006-03-28 10:37:00
  • 481:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    その音がなんとも言えず、トウヤの胸に響く。
    泣き叫んでくれたらどれだけ楽だっただろう。
    毎晩枕を濡らしてくれるならどれだけ救われただろう。

    2006-03-28 10:40:00
  • 482:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    ご飯も食べず、睡眠も取らずただひたすらパズルに向き合い、穴を埋める。
    やはり難しいらしく、なかなか空白は埋まっていかない。

    2006-03-28 10:42:00
  • 483:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    白い小さなピースしか写さないヒカリの瞳。
    なんていう言葉を掛けたらいいのか、なんて慰めたらいいのか分からない。
    ヒカリにも、そして自分自身にも。

    2006-03-28 10:44:00
  • 484:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    出来ることは、ただ黙って一段と小さくなったように感じるヒカリの背中を椅子に座って見つめることだけだった。

    2006-03-28 10:45:00
  • 485:

    初カキコ

    リアルタイムぢゃーん?おもれいっ

    2006-03-28 11:25:00
  • 486:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    「あっ……」
    声なのか吐息なのか区別がつかないくらいの小さな声が、ヒカリの乾いた唇から漏れる。
    ふと、視線を落とすと、トウヤの足元に病的なほど白いピースが転がってきていた。

    2006-03-28 22:41:00
  • 487:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    黙ってそれを拾い、ヒカリに手渡す。
    カタッ。
    小さな塊は、手と手の間を擦り抜け床に落ちた。

    ヒカリの手は震えていた。

    2006-03-28 22:44:00
  • 488:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    「ねぇ、信じられるん?」
    拳をぎゅっとにぎる。
    「紫苑が死んだなんて、トウヤは信じてるん?!あたしは信じられへん。遺体も上がってないんやで!!」

    2006-03-28 22:59:00
  • 489:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    「約束したやん…お土産買ってきてくれるって言ってた。あの子は約束やぶるような子じゃない。紫苑は…絶対に生きてる…」

    2006-03-28 23:05:00
  • 490:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    いつもより一段と低いその声は、我が子イエスのこの先の困難を宣告する聖母マリアを彷彿させる。
    …またか。
    自分でも嫌になる。どうしてもっと普通にヒカリが好きだと男として思えないんだろう?
    これじゃ紫苑と一緒じゃないか。

    2006-03-28 23:19:00
  • 491:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    …紫苑。
    そこまで考えて、ハッと気付く。
    ここにはいない。
    なんでだ?

    2006-03-28 23:35:00
  • 492:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    通夜、葬式。
    そんなものは何も意味をもたない。
    だって目の前に紫苑の「死」なんてどこにもない。

    2006-03-28 23:40:00
  • 493:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    ここしばらく調査隊だとか、紫苑の両親だとか、警察だとか、まわりに振り回されて何も見えてなかった。「そうだよ、誰が死んだって決めたんだ?」

    2006-03-28 23:42:00
  • 494:

    名無しさん

    あげます?

    2006-03-28 23:45:00
  • 495:

    サィナ

    本間おもろ!!かれ感動しますな!!

    2006-03-29 08:39:00
  • 496:

    名無しさん

    2006-03-29 12:15:00
  • 497:

    名無しさん

    2006-03-29 12:16:00
  • 498:

    名無しさん

    2006-03-29 13:25:00
  • 500:

    名無しさん

    2006-03-29 14:11:00
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